1998 年8 月26 日のノートから
コースは、組織としての「企業」を、雇用主と従業員、主人と従者の関係を決定する
ものと定義づけている。いわゆる「簡素派」の人々の解釈だ。そして、企業の雇用
の必要性は企業の取引コストの最適化で説明できると説く。
興味深い主題で、他の理論も厳密で有益だが、コースの結論と論理は彼が論破しよ
うとしている理論と同じ意味で限界がある。
まず、企業が数種類の製品分野に進出していても企業の規模が適正であるかどうか
をあらわす曲線があるはずだという考え方は、多少短絡的だ。また、企業内に存在
し、企業の体力や価値をきめる知識や競争力についての彼の分析にはあまり深みが
ない。無論、彼が論文を発表した1937 年当時はシリコン・ヴァレーもネット企業
も存在しなかったが、あの時代に企業に生命を与えた規模の拡大と取引コストの減
少を可能にする技術革新が、既存の枠組みを超えるネット企業やコミュニティーを
生み出したのだ。
企業の定義をと評価基準をきめる論文としては面白かった。
1999 年2 月16 日
あと知恵だが、岩村さんと話してみるととくに、コースは企業を市場を超えたもの
として捉えていたようだ。私がコースに言及すると、岩村さんは、コースがはじめ
にそれを考え付いたわけではないとおっしゃっていた。どちらにしても、岩村さん
のような人たちは、すべて市場の延長だと言うのだろうけれど。

Translated by Yuki Watanabe

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