『アメリカの民主主義』 1835 年執筆
大学時代に出会った文章だが、時をへた今も共感できる。
時折、抜きんでた向上心を持つばかりに、踏み固められた道をただ歩むことにあき
たりぬ進取的で野心的な人物が、民主的な社会において決起行動をおこすことが実
際にある。そうした革命好きな輩は変革を叫ぶが、彼らの追い風となるよほどの大
事件でもおこらない限り、実際に変革をもたらすことは難しい。時代と国の精神に
逆らいながら有利に戦い続けられる者などいない。彼がどれほど強力な力をもつこ
とになろうが、おおかたの感情や欲望とは相容れぬ感情や意見を、同時代の大衆と
共有できるようになることはまずない。
身分の平等が社会の規範として長らく一般に認められ、国の性格を決定づけるもの
として定着したとしても、人々が、軽率な指導者や粗野な革新者がまねきうる危険
に簡単に運命をゆだねるようになると考えてはいけない。人々は、考え抜いた、或
いは、予め練りに練った策略をもってあからさまに抵抗するわけではない。真っ向
から精力的に戦いはせず、たまに賞賛さえするが、ついていきはしない。激しさに
は惰性で、革命志向には保守的興味で、冒険への情熱には家庭嗜好で、天才のひら
めきには良識で、詩情には散文的退屈さで抵抗するのだ。多大な努力をもって革新
家は大衆を高揚させるが、大衆はたちまち彼のもとを去り、その重さに従って再び
落ちていく。彼は無関心でばらばらな群集をたちあがらせようと躍起になり、つい
には、征服されたためではなく、孤独であるために自分はもはや無力なのだという
ことを思い知らされる。

Translated by Yuki Watanabe

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