2008年8月 Archives

Lessig

一大ビッグニュース:司法がフリーライセンスを支持

法律フリークの方でもなければ、この件は重要には思えないでしょう。でも信じていただいて大丈夫。これは大勝利です。

こうしてご報告できることを大変名誉に感じています。米国連邦巡回控訴裁判所(知的所有権に関する米国でのご意見番的法廷)がクリエイティブ・コモンズその他の事業を明示しつつ、フリーの著作権ライセンス(先方は「オープンソースの」と呼んでいます)を支持しました。(ここで対象となったのは、アーティスティック・ライセンスでした。)これはとても重要な勝利であり、Stanford Center for Internet and Societyがその実現の鍵となる役割を担うことができたことを大変うれしく思っています。特に同センターのChris RiddderAnthony Falzone両氏には賛辞を贈りたいと思います。

非専門的な言い方をすれば、同法廷はクリエイティブ・コモンズのライセンスのようなフリーのライセンスは著作物の使用に対し(誓約ではなく)条件を設定するものだと認めたのです。その条件に違反した場合はライセンスが消失し、違反側は単なる著作権法違反者となるわけです。これこそがGPLと、すべてのCCライセンスの理論なのです。正確には、それらは契約であるかどうかにかかわらず、条件を守りそびれた場合に失効する著作権ライセンスということです。

きわめて重要な米国の法廷により、重要な明確化と支持が得られたわけです。

提出された概要はここで読める。

我々がクリエイティブ・コモンズのライセンスを使用する意向のある組織と協議する場合、その相手方はどうしても司法部門ということになる。これらの司法部門は多くの場合、当然のことながら保守的であり、話し合いの場では多くの『うまくいかないであろう』理由を挙げてくる。しばしば法的な理屈をもって攻略不可能な壁を作り出し、経営陣や組織内の担当チームにクリエティブ・コモンズのライセンス使用を諦めさせてしまうのだ。

CCライセンスが、ユーザーからのクリックによる承認といった手続きを要する単純な契約に過ぎないかどうかといったことは、まさに今回の判決で明確にされた定義にかかっている。今回この点が明確にされたことで、保守的な司法部門を説得するのが相当容易になるはずであり、組織におけるCCライセンスの採用をこれまでよりもずっと容易なものにすることが期待できる。

スタンフォードのチームと、関係者の皆さんに大いに感謝したい。今日は実に素晴しい日だ。

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もう1年以上、色々な面々の写真を撮っては「freesouls」のタグをつけてFlickrに投稿し続けてきたブログにも以前に書いたけど、Wikipediaなどのフリーコンテンツ系プロジェクトのために、友人たちの魂を解放するのが僕の務めだと考えたからだ。「freesouls」という言葉は実はLawrence Lessigのアイデアだ。

2007年に台湾で開催されたWikimaniaにて、むちゃくちゃカッコいいアート系雑誌の創始者・編集長であるSophie Chiang、そして、ライターのChristopher Adamsと出会った。当時僕自身も出版で四苦八苦していて、クリエイティブ・コモンズの本のビジネスモデルを検討中だったため、Christopherにクリエイティブ・コモンズの写真集を作ったらどうかと提案した。

彼がその案を気に入ってくれたので少し検討を進めてみると、僕の写真を使って実演的位置づけの本を作ったうえで、他の写真家たちにも同様のものを作らないかともちかけるのが最も簡単だろう、ということになった。

このプロジェクトに取り組んでいくにつれ、だんだんと野心が膨らんでいった。幸いChristopherはハッカーとしてのセンスもなかなかで、SocialtextとFlickrとGoogle Docsを使って本の編集作業を効率よく管理できた。Christopherは本の画像およびカテゴリを管理するためにFlickrのAPIを使ってPythonのスクリプトを書いてくれさえした。

Christopher率いるデザイナー陣の作業がもうすぐ終わるので、最後の校正を手配して印刷の計画を立てる準備に入っている。

本にはLawrence LessigやHoward Rheingold、Yochai Benkler、Isaac MaoにCory Doctorow、Lawrence LiangとMarko Ahtisaariのエッセイも掲載される。

Lessigの本の前書きから次の一節を引用する。

Joi Itoは、技術と創造の自由を広めるための重要なムーブメントの中心にいつづけてきた。彼は自分の仕事を愛し、上手にキャリアを積み上げてきた。自分がなれなかった何かをしのんで毎朝悔しがったりすることはない。

彼の仕事のフィールドにおける成功はまた、それらのフィールドの人々のことを彼自身に理解させることになった。二十余年に及ぶそのキャリアの中で、各分野(営利、非営利の両方)の人々をよく知るようになり、そして友人となった(Itoには敵はいない)。友人として彼らに接し、常に気にかけ、寛大で、決して力が及ばなかったり短気になったりすることはない。彼特有の視点で人々を見て、人々を理解する。彼は人々の最も美しい一面や特徴的な一面を見ることを学び得て、友愛をもって接するのだ。

デジタル技術のおかげで、我々はJoiがどのように世界を見ているのかを垣間見ることができるようになった。技術を手にすることや実践するためのコストは下がり、Itoは熟練したアマチュア写真家になることができた。ここでの「熟練」とは、彼が見ている相手の本質を写真で捉える方法を身につけたことを意味する。大抵10分間で被写体の人物について「知る」ことを求められるプロの写真家と異なり、彼は、彼のプロとしてのキャリアすべてを費やすことができたのである。彼は人々の最も美しい側面や驚異的な側面を見るようになり、それを写真に写し取る技を完成させ、我々全員と共有するのだ。

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本は、ボックスセット版、通し番号つきの限定版、普及版の3つの版でリリースする。このうち1種類か全種類が、秋以降にAmazonで入手可能になる。また、我々は一定期間、断片的にオンラインでも様々なフォーマットや形式で公開していく予定だ。またこのプロセス全体を、可能な限りカーボンニュートラルにできるよう調整中だ。

ボックスセット版は50部しか作らない予定なので、興味がおありの場合はなるべく早めにchrisアットマークraysend.comにEメールを送って欲しい。

最後に、本の校正をしてくれるボランティアを数名募集している。手を貸していただけるならこちらもChristopherにメールを送って欲しい。

なお、Amazon.comのページで申し込んでいただければ、発売時に通知を受けることもできる。

まだ完成していないのだけど...。Christopher率いるチームのみんな、いくつものモデルリリースに対処してくれているMika率いる僕のアシスタントのみんな、SFの撮影に手を貸してくれたPat、エッセイを提供してくれた皆さん、そしてモデルリリース文書にサインをしてくれることで、この本の扱いの自由度を大幅に高めてくれた皆さんに感謝したい。

僕の大切な友人たちの中で、本に登場しない人たちにはお詫びしたい。画質を基準にして限られた枚数の画像を選んだため、本に登場してしかるべき、大勢の人物が登場していないんだ。もう一弾追加する必要があるかもしれない。お気に入りのバージョンとか画像とかが本に載らなかったという皆さんにもお詫びしたい。デザインの基調をより細かく調整できるように、画像の選別の最終判断はChristopherとデザイナー陣に任せることにしたんだ。

もちろん、本も画像もCreative Commons Attributionライセンス下でライセンスされ、被写体の皆さんからもモデルリリースをもらっている。

本がリリースされたら楽しんでいただきたい。終盤の製作作業も報告するからブログは引き続きチェックしておいてもらえればと思う。

ここのところ僕自身考えていて、最近人に訊かれるようになってきた命題なんだけど、クリエイティブ・コモンズのライセンスを使用している会社に対する僕の投資は、クリエイティブ・コモンズのCEOとしての役割から考えると、利益相反になるのではないか、というものがある。

これはいい質問であり、複雑な質問だ。自分でこれは重要だと思える大きな問題に取り組んでいくことは、僕のライフワークの一つだ。基本的に僕は、ビジネス、政府、学術、社会の改革を可能にするオープンネットワークの信奉者で、オープンなインターネットは21世紀の開かれた社会の重要な柱になるだろうと考えている。

このような変化が実現するためには、我々は、TCP/IPやHTML/HTTP、そしてクリエイティブ・コモンズのような、コミュニティを支えるソフトウェア、サービス、インフラを作り出す爆発的な改革を可能にするオープンスタンダードを作り出し、守っていく必要がある。このようなソフトウェア、サービス、インフラの一部は非営利のプロジェクトとして作り出すこともできるけど、多くは新興企業の形で誕生するだろう。

僕の現在の仕事には、クリエイティブ・コモンズを使っている会社との仕事と、クリエイティブ・コモンズのプロセスと組織の管理を手伝う仕事があり、それぞれにおよそ同程度の時間を割いている。最近僕が行った新たな投資のほぼ全てがクリエイティブ・コモンズを使っているインターネット関連の営利企業であり、クリエイティブ・コモンズをまだ使っていない会社に対しては、絶えず仕事にクリエイティブ・コモンズを組み込むように促し続けている。つまりビジネスという側面で僕は、コミュニケーション、情報共有、共同作業の手段としてクリエイティブ・コモンズを使う素晴らしい会社の一群を形成しつつあるわけだ。

利益相反には様々な側面がある。僕が注意しなければいけない点の一つは、クリエイティブ・コモンズのリソースを使って僕自身もしくは僕の会社を不当に有利にしてしまうかもしれないことだ。また別の問題として、僕がクリエイティブ・コモンズのCEOという役割ゆえに機密情報にアクセスできてしまい、僕が関わっている会社を不当に有利にしてしまいうる点がある。

クリエイティブ・コモンズという組織のリソースを不当に自分の会社の利益のために活用しうる点について僕がすべきなのは、CCのスタッフとコミュニティに対して、僕の会社に一切の不当な特別扱いをすべきではないということを厳格な規則によって明確にすることだろう。僕が初めの顔合わせなどを促すことはあっても、CCがこれらの会社との対話や支援にどれだけの時間を使うべきかは、僕との繋がりに関係なく決定されるべきだろう。

機密情報については、倫理的行動を取るという責任が僕に課せられているのだと思う。僕はここに、機密保持に真剣に取り組み、機密情報や内密な対話の発生をできる限り抑えるように努めることを誓う。

僕が倫理に則って行動しているかどうかを確認するのは、最週的には理事会とコミュニティの役割だと考えている。

基準策定のプロセスに営利企業が関わることは歴史的には決して新しいことではない。オープンスタンダードの使用や支援に興味を持つあらゆる企業が、その基準の管理組織・機構に出資したり運営に参加したりしているものだ。ここで成功の鍵となるのは、これらの組織が企業の利害にとらわれてしまう可能性をなくすことだ。

僕はそう信じているんだけど、他の人たちにも僕がCCのプロセスを「つかみ取る」ことなど不可能なのだと安心してほしいところだ。同プロセスはますます多岐に渡り、コンセンサス重視のものとなりつつある。我々は現在、組織の発展上重要な時点にあり、小回りが利かせられるだけの小ささでありながらも、どんどん複雑になりつつある。複雑さはプロセスを生み出すけれども、僕はICANNのような複雑なプロセスになってしまう事態は避けたいと考えている。

僕が関わっている全ての会社が実際にクリエイティブ・コモンズに貢献しているはずだ。CCを使う会社の数が増えれば増えるほど、CCの価値も高まっていく。CCを使って成功を収める会社の数が増えれば増えるほど、CCの支援のためにより多くの人的・資金的リソースを割くことができるようになる。なので、僕は正直、罪悪感は感じていない。

とはいえ、この問題に関する批判や一般により納得してもらえそうな方法の提案があれば、聞かせていただきたい。情報開示は問題解決の重要な部分を担っていると思う。僕の仕事、その他興味の対象は全て、僕のwikiエントリにまとめてある。僕が関わっている会社のほぼ全社がクリエイティブ・コモンズを使っていると思う。

長々とした投稿になってしまって申し訳ないけど、この問題には真剣に取り組んでいる。皆さんの意見を是非とも聞かせてほしい。

デジタルガレージのプレスリリース

デジタルガレージ、米Technorati社との連携を強化

2008年7月30日

株式会社デジタルガレージ(JASDAQ 4819、本社:東京都渋谷区、代表取締役/グループCEO:林 郁、以下:DG)は、ブログ検索サービス最大手の米Technorati社(本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ市、社長兼CEO:リチャード・ジャリチャンドラ)と、株式会社テクノラティジャパン(本社:東京都渋谷区、代表取締役:林郁)のブログ検索サービス事業などに関する合弁契約を締結しました。
2005年1月にDGの全額出資により設立されたブログ検索サービスのテクノラティジャパンは、今回の契約によりDGとTechnorati社の合弁会社となります。
テクノラティジャパンは、合弁契約の締結と同時に、Technorati社との間でライセンス契約を締結し、日本語市場に向けたブログ検索技術に関し、ロイヤルティ(特許使用料)の発生しない恒久的なライセンスを同社から取得しました。この結果、テクノラティジャパンは、独自の意思決定に基づき、日本市場の特性に合わせた商品を開発できるようになります。こうした企業活動を通じて、1000万以上のブログを対象とした国内最大級のブログ検索サービスをさらに拡充していきます。

先日書いた通り、今回の発表はデジタルガレージと米Technorati社にとってとても重要な意味がある。これまでテクノラティジャパンは、流通系の事業でよく見られるようなマーケティング・アライアンスに基づいて運営されてきた。これは、典型的な日本展開の手法に比べれば良かった。しかし、今回のような日本側と米国側がともにステークホルダとなって合弁会社を設立する方法は、優秀な人材の採用や、現場での賢明な意思決定といった点でとてもうまく働く。米国法人に対して日本法人を支援するためのインセンティブを与えながら、日本法人は迅速に動けるというメリットもある。

ぼくは合弁会社に移行できたことをとてもうれしく思っているし、新しい体制でどういった成果を上げられるかワクワクしている。少しばかり複雑だった今回のディールを成功に導いたみんなに感謝したい。

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