From Upside/downside graphs
From Upside/downside graphs

長年にわたり、Reid Hoffmanと僕は、ベンチャー投資や、ベンチャーで成功の鍵となる要素について色々と話し合ってきた。Reidは紙ナプキンに小さなグラフを描いて、ダウンサイドへの注力とアップサイドへの注力の違いについて話すのが好きなんだけど、その話を少し肉付けして皆さんにもご紹介しようと思う。

販売重視の通常の企業や組織は、営業がうまくいっていれば毎月売り上げが伸びていく。売り上げを伸ばすために相当な量のエネルギーが使われている中、長期的にみると大抵はそこそこの売り上げ成長率で頭打ちとなっている。

一方で、企業のダウンサイドというのは際限ないものだ。プロジェクトの運営が不適切だと、無限に近い費用がかかってしまいかねないし、運営会社に大量の出費を強いるリスクが無数に存在する。

企業の規模が大きく、定着の度合いが強いほど、組織全体としてリスクを軽減し、コストを最小限に抑えることで利益を増やして自らを守ろうとする傾向になりがちだ。

これに対し、ファンドもしくは個人ベンチャー投資というものは、ダウンサイドが比較的限られている。どんなにひどくても、投資した金と時間を失うくらいですむ。

一方でベンチャー投資のアップサイドというものは、レバレッジが大きい。いい案件に投資すれば、わずかな増分コストだけで投資額の何百倍、何千倍の金を得ることも可能だ。鍵となるのはそのいい案件に投資が出来ることで、場外ホームラン級の大きな一発を打てる会社に必要な協力と支援を提供し、成功の可能性を最大限に高めてやることだ。

実際、成功を収めている投資家のほとんどは、子飼いの企業のうち成功している企業に時間の大半を割いており、業績の振るわない会社にはほとんど時間を使っていない。

多くの場合、業績の悪い会社こそが手助けを必要としているのであり、直感的には自分がした投資を守ることを考える。投資家の多くは、業績の悪い会社の支援と管理に時間のすべてを費やしている。

伝統的な企業理論に基づいた教育の影響で、人は脇目を振らずにアップサイドに一点集中するのではなく、ダウンサイドを最小限に抑えることに注力してしまうようだ。しかし、ベンチャー投資の話となると、最大でも投資額が失われるだけの話なのだ。弁済により、投資した5000万のうち1000万を取り戻すことの重要性は、次のいい案件にしっかりと乗って、可能性を秘めた投資先がちゃんとその可能性を開花させ、取得してくれる親会社やパートナーを見つけられるようにすることに比べれば、遥かに些細なことなのだ。

契約交渉のしかたにも同様の影響がうかがえる。数パーセントや取引上の数ポイントの差でも、企業およびその企業との関係に悪影響を与え、足止めをし、崩壊させてしまう可能性がある。ベンチャーとの取引で、少しでも高いパーセンテージで取り分を増やそうとするのは、その会社が成功を収めない限りは無価値のままのものを取り合う行為だ。利益を得る可能性は、企業家を壁際に追い詰め、少しでも高いパーセンテージの取り分を得ようとする場合よりも、手助けや支援を提供した場合のほうがよっぽど高くなるはずだ。

カモにされたら馬鹿みたいな話しとか、いいかげんにやってしまうのは無用心だけど、企業家を不必要に追い詰めてはした金を得るのは、アップサイドの可能性拡大が本命である状況では割りが合わないだろう。失敗した事業の取り分が多くても、たいした金になるわけではないのだ。

腕のいい投資家は誰もがこのアップサイド対ダウンサイドの注力について理解しているのに対し、ダウンサイド最小化モデルの中に生きているパートナー、共同出資者、企業家と接する際には僕も苦労することが多い。ダウンサイドの最小化は、多少は金の節約になるかもしれないが、長期的にはアップサイド重視のモデルのような利益が得られることはないだろう。

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