Waitress and Daniel Suarez
2009年にロスのメイドカフェで会って飲んだ時に僕が撮ったDanielの写真

Daniel Suarez(ダニエル・スアレス)著の小説『Kill Decision』(キル・デシジョン)を読み終えたところだ。Danielは『Daemon』読後に僕の最も好きなSF作家の一人となった。『Daemon』が未読なら、ぜひとも読んでみてほしい。2008年にもここで話題にした。Danielはその後『Daemon』の続編『Freedom™』も書いていて、そちらも素晴らしかった。

途中で読むのをやめられない手に汗握るスリラーであると共に、これらの小説に登場するのがいずれも現存もしくは近未来の技術であるため、ストーリーが尋常じゃないくらい恐ろしく、説得力をもっている。Danielは「Daemon」の執筆時点で「Fortune 100社の複数社に独立系システムコンサルタントとして貢献。防衛、金融、エンターテインメント業界用の企業向けソフトウェアでのデザイン実績」を持ち、小説に登場する技術のほとんどを実際に自分でいじれるスキルをもつ。

『Daemon』および『Freedom™』では、おかしくなってしまったMMORPG世界のごとく、オンライン世界がリアル世界を侵食していくのがテーマとなっている。

『Kill Decision』ではダニエルは方向性を変えており、大量生産された自律型ドローンの大軍が戦争を新たな時代へと進めた世界へと我々をいざなう。とある場面では、登場人物の1人が以下のような興味深い理論を展開する。

中世では、訓練され、鎧を着け、馬にまたがる騎士たちは、多数の民兵を一掃し、一方的な被害を敵に与えることができる重要な戦力単位であった(『七王国の玉座』をイメージしてもらえるとわかりやすいだろう :-) )。これは政治の形、封建制度に影響を与えた。後に火薬が発明されると、おおむね技量に劣る民兵でも大人数を揃えてライフル銃を装備させれば比較的多勢の敵にも伍することができるようになった。これにより力の不均衡が解消されて、民主主義への道が拓かれた。

自律型ドローンに殺傷判断が委ねられたとなれば、力技的な量産とビッグデータの解析、すなわち金(かね)が、権力の主たる決定要因になっていくのかもしれない。

レッシグと利権の影響による現代の立法の腐敗ぶりについて話すにせよ#occupy 運動について話すにせよ、金、そして資金の凝集は制御できず、世界を席巻しつつあるのは確かだ。『Kill Decision』でDanielは、我々の誰もが礼賛する最新技術とこの傾向とを至極直接的につなぎ合わせ、恐ろしくもエキサイティングなひねりを加えている。

ストーリー上のいくつかの重要な要素が大学の研究室で展開するので、キャラクターの何人かを、MITメディアラボでの僕の新たな生活における実在人物たちと比較するのがかなり楽しかった。(Danielがメディアラボに遊びに来てくれるのを楽しみにしている。)

総評としては本気で良作だ。全面的にお薦めできるし、完璧なタイミングでこれを世に出したDanielに賛辞を贈りたい。見逃している人は、今年のTEDで発表された、自律型クアドローラーに関するTEDプレゼンを見るといい。『Kill Decision』で重要な役割を果たしている。また自分としては、Comic Sansに関する一節など、緻密なディテールもとても気に入った。 ;-)

『Kill Decision』は7月19日発売予定で、著者のウェブサイトで予約を受け付けている。

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This page contains a single entry by Joi published on 2012年7月 2日 12:00.

Daniel Suarez の新作小説 『Kill Decision』 was the previous entry in this blog.

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