# Weblog - Looking Back To the Future

- Author: Joichi Ito
- Date: 2002-08-12T08:03:50Z


　2001年の後半に「blog」という言葉を聞くようになったと思ったら、アメリカでのウェブログの流行り方はここ数ヶ月なかなか尋常ではない。Weblog...略してblog。私の知ってる人たちもやたらblogに手を出している。なんでみんなこんなにハマってるのか? これは、以前日本で流行った日記サイト作りとどこが違うのか? はたまた2チャンネルとはどう違うのか?

　ウェブログをよく見ていくと、実は立ち上げてる人には二種類の傾向があることに気がつくはずだ。一つは、現役ジャーナリストたちで普段の仕事とは別に立ち上げているもの。もう一つは、プロのライターではないけれどいろいろなアイデアがあって、今までに自分のサイト構築もトライしてきた自己表現を求める人たちのもの。しかし両方に共通している点が一つある。「言いたいことがあったらその場ですぐ書く」ということだ。
　紙の世界では一度印刷されたらその記述から逃げられない。そこで現役ジャーナリストたちは、編集デスクとの交渉や干渉を気にせずダイレクトに自分の記事をアップでき、違うと思えば後でも変更できることに意義をたぶん見いだしている。
　そのひとりは、ウェブログを「Journalism 3.0」と呼ぶ、シリコンバレーのSan Jose Mercury News紙の記者 Dan Gillmor だろう。有名なのは、彼がEsther Dysonが主催するベンチャービジネスイベント「PC Forum」でのパネルディスカッション中に客席から無線LAN経由で自分ウェブログに記事をアップしていたら、それをステージ上で同じく無線LAN経由でチェックしていたパネリストから「その発言の要約は違う」と指摘され、その場でアップデートしたという話だ。
　また、SF作家Bruce Sterlingは「Hacker Crackdown」「Schismatrix」などのサイバーパンク作品で知られているが、blogデビューも果たしている。(Schism Matrix)

　自己表現を求める人たちは、bloggerやMovable TypeなどのXML化されたツールの出現のおかげで、今までのウェブの構築よりもHTMLいじりから解放されることで、ずっと内容に集中できることに意義をたぶん見いだしている。(http://www.blogger.com/,  http://www.movabletype.org/) 
　Justin Hallは、「Justin's Links from Underground」でウェブの生成期の94年ごろから注目されていたが、彼も最近はウェブログ・エバンジェリストになりつつあるようだ。 Justinはこのblog (http://joi.ito.com/) の立ち上げも手伝っている。

　「言いたいことがあったらその場ですぐ書く」というなら、実はアメリカにはウェブ以前からその下地があった。アメリカでは書店とは違った雑誌のみを扱うニューズ・スタンドがどこにでもある。その流通網には大出版社以外の自主制作誌も流れていて、それらのことを「Magazine」の後ろだけ残して「Zine」と呼ぶ。だが日本語で「自主出版雑誌」と言ってしまうと語感がかなり違ってしまう。なぜなら「Zine」とは発音的に「Gene」(遺伝子)との掛言葉だからだ。
　「bOING bOING」(http://www.boingboing.net/)は、その流れで非常に面白い立場にあるウェブログだ。これを始めたMark Frauenfelderは元US版ワイアード誌の編集者だが、それ以前89年から「bOING bOING」を出していて、一時は15000部くらい流れていた。MarkとCarlaのインタビューを読むとその歴史がわかる。(http://www.zinebook.com/interv/boing.html) 余談だが、Markは最近Appleの「Switcher (WindowsからMacOSへの乗り換え組)」のTVコマーシャルにも出ている。
　ただ当時からMarkの視点はgeekから見た世界の面白さを出していて、それが紙メディアに収まらず、かといって単純にウェブだけでも不十分といった感じがあった。しかしそれが、雑誌のように定期発行する必要もなくウェブのデザインの手間に労力を取られることもないウェブログだと、全開に出来ている印象がある。さらにJustin Hallの指摘するところでは、関連リンクをトピックスの最後に置くboingboing.netの形式には、紙の出版の経験が生かされているという分析もある。

　ということで無理やり結論に持ち込もう。アメリカでのblogの爆発は、実は「Zine」カルチャーの流れに乗っていたから起きたのだ。

(text modified and added for this weblog. originally writen for Books & Computer magazine but did not fit into 800 chracters limit for printing. )




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