2011年3月 Archives

アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞受賞から1年を経て、『ザ・コーヴ』の日本語吹き替え版が制作側により無料でオンライン公開された。加えて、「海を考えるグループ」という地元団体がDVD版を、イルカ漁と『ザ・コーヴ』の舞台となっている太地町の全町民に配布した。

僕は自分なりのやりかたで日本国内での『ザ・コーヴ』に対する注目を高めようと試みてきた。日本人の間からは映画に対する批判の声がいくつかある。「イルカって言っているけれど、ウシはどうなんだ?」と問いかける人もいれば、日本の文化を槍玉にあげていると苦言を呈する人もいる。日本人は大概、日本国内のことについて外国人が変化を起こそうとすることを快く思っていないのだ。

ただしこれは日本人に固有の気質ではなく、中国や、ムバラクやカダフィが最近行ったスピーチを聞けばすぐわかる。日本には、日本に対する国外からのあらゆる批判に反発する強固な国家主義的な動きが存在する。

日本国内における映画『ザ・コーヴ』のオンライン公開が重要なのは、日本の人々が映画を観て自分たち自身で是非を判断する機会になりうる点だ。この映画のことをどう思おうが、公開禁止にするというのは言語道断だ。太地町の数名の人のグループと国家主義者たちの手により、この映画の全国レベルでの公開は阻止されてきた。

日本の人々は映画に含まれる主張や批判が的を射たものかどうかを自ら決めるべきであり、もし必要十分な数の日本人の心と精神に共鳴が起きるのであれば、日本の人々は国内問題としてとりあげ、調査と変革を求めるだろう。

僕の考えでは、この映画には日本国内の様々な集団の注意を引く要素が含まれている。「イルカを助けよう」的な要素は、イルカが好きな人や、ダイバー、動物愛護派の人々に訴求するだろう。

イルカについて特に関心を持っていない日本人も大勢いる。ただし、この映画ではイルカの体内の水銀濃度が高いことを示す根拠、およびその肉がクジラ肉と称して販売され、子供たちの学校給食に出されている可能性も示している。そうと知りつつ学童らに水銀中毒を起こすことは一種の不正行為であり、またまったく別のタイプの日本人たちに訴えかけることにもなろう。捕鯨を擁護する保守派ですらそこに含まれうる。

みなさんには以下のURLを知り合いの日本の方々に是非とも吹き込んでいただきたい。このブログ記事も日本語訳を近日中に投稿予定。

日本語吹き替え版のURLは:http://thecovemovie.com/freejapanesedownload

なお、影山優理氏がForbesでこのことを記事にしている(英語)。


捕鯨問題の争点は、Wikipedia(日本語)によくまとめられている。

日本からダウンロード出来なくなってしまったみたいですが、誰かミラーをつくたみたいです:http://goo.gl/hww2K