Joi Ito's Podcast - 変革への道

テクノロジーに精通しているだけでなく、サブカルチャーやネットカルチャーにも詳しい伊藤穰一。 かつて、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究所メディア・ラボの所長も務めた伊藤穰一がさまざまな人物を巻き込み、「これからのニッポン」を考え、どう変革していくべきなのかを議論する新しいポッドキャストがスタートします。 番組には、伊藤穰一のネットワークを通じて、世界中から様々なゲストが出演。 また、解説者として、メディア美学者である武邑光裕氏が登場し、デジタル社会の大局的な指針を伊藤穰一と共に掘り下げていきます。 議題となるテーマは毎回その時に注目されている話題や、伊藤穰一が気になっているテーマをピックアップ。 伊藤穰一の頭の中をそっくり丸ごとお届けしていきます。是非、お楽しみください。

今週は、年末スペシャル企画としてN&A代表、森美術館特別顧問で、美術キュレータの南條史生氏が運営するYoutubeチャンネル「N&A アートトーク」との特別コラボ企画が実現しました。いつもはインタビュワーとして、質問を投げかける立場のJoiさんですが、今回はインタビューを受ける立場となります。いつもとはちょっと構成が異なりますが、このあたりも楽しんでいただければと思います。

NFTはもちろん、ビットコインとイーサリアムの違いやアート市場におけるNFTの現在の立ち位置などさまざまな角度からクロストークを展開しております。NFTアートにちょっと興味があるけど、何が何だか分からない、なんていう人に特におすすめしたい「入門書」的なエピソードとなりました。

アーティスト名や用語など様々な固有名詞が登場しますので、ぜひ下記編集ノートと合わせてお楽しみください。

編集ノート】 伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちらにまとめてあります。また、ETHアドレスの取得方法やNFTの確認方法についても、まとめています。ぜひご参照ください。

JOI ITO 変革への道 - Opinion Box】 番組では、リスナーの皆様からお便りを募集しています。番組に対する意見はもちろん、伊藤穰一への質問があればぜひ投函ください。先日からイーサリアムのアドレス記載欄も設けました。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFTをプレゼントしています。

番組のコミュニティ醸成実験の参加フォーム】 番組では、リスナーの方々とコミュニティを作る実験をしています。この実験に参加をご希望の方は下記フォームから参加メンバーの登録をお願いします。メンバーのダイバーシティを考慮しながら、徐々にメンバーを拡大していく予定です。参加時期がきましたら、スタッフから個別に連絡をさせていただきます。興味のある方、まずは登録だけでもしてみてはいかがでしょうか。

Podcast Transcript

南條史生: 今日はゲストとして伊藤穰一さんに来ていただいております。色々お願いします。このトークは一番最初に結構大きなシンポジウムをやって、NFTとアートっていうテーマで話をしたんですけどね。ということもありますので、今日はNFTの話から話をお聞きしたいと思いますけれど。伊藤さん自身は、NFTとどういう風にに関わってらっしゃいますか?

伊藤穰一: 最近特にいろいろ、色んなサービス使ってみたりいろんなアーティストとかと話してるんですけども、ちょっとね、遡って話をすると、90年代けっこうデジタルキャッシュの実験に参加したり、90年代中旬に日銀の中村孝雄君と一緒にDigital Cashっていう本で、クリプトカレンシーをWebの前にやってたんだけども。で、ビットコインに似てるような構図を考えたりして、あの当時、今のビットコイン作った連中も仲間だったんですけど、それでこなかったからまあ気にはしてたけど、あんまりやってなくて。それで2014年ぐらいかな、ビットコインがまた面白くなったんでMIT Degital Currency Initiativeって言ってビットコインのプロジェクトを当時立ち上げて、ビットコイのメインの担当の人をMITで雇ったりして、結構ビットコインで。それで、ビットコインの後に イーサリアムっていうのができて、ビットコインの連中って、結構イーサリアムを軽蔑してたような。いろんなトークンとかそういうのはちょっとインチキ臭くて、ビットコインに何て言うのかな、悪いイメージがあって、結構溝ができてた。なぜかというと、 イーサリアムっていうのっていろいろプログラミングできるんだけども、ビットコインはセキュリティのためにあんまりいろんなプログラム書けないようになっている。それはビットコインの人たちはフィーチャーで、イーサリアムみたいにいろんなことができちゃうって危ないっていうイメージがあった。だからいろんなことできるから、イーサリアムでやってる人たちが増えて、今のNFTブームってこうイーサリアム関係なんだよね。そうするとだからちょっとビットコインに僕は集中してたから、この最初のNFTとかトークンのところはちょっと僕はあんまり参加してなかったのと、あとMITで中央銀行とか政府とかやってたから、自分ではあんまり投資投資してたのも全部売却して、自分でもコイン持たないっていう立場で。で、最近MITから離れて、でNFTもどんどん面白くなってきたのでいじり始めようって言って、たぶんだからもうそんなないんで、まだ1年ぐらい前からちょこちょこデジタルスマートコントラクトかNFTをいじって、今はいくつかスタートアップをアドバイスしたりアーティスト売買したりして。

南條史生: それ驚きますね。90年代からあったとすると、その時はもう既にブロックチェーン。

伊藤穰一: ブロックチェーンみたいなものはパーツはあった。僕らがそのNeotenyっていう会社で、日銀とかと一緒に考えていたので、もう今ビットコインのProof of Workをやってる奴ももうその時代から結構繋がってたり、今あの時代書いてたことを読むとほぼ8割9割までは行ってたんだけど、ちょっと早くて、そしてそのときやらなかったんですけどね。

南條史生: イーサリアムはこの2年ぐらいですよねたぶん。

伊藤穰一: そうだよね。イーサリアムも結構新しくて、イーサリアムの周りでもやっぱり不正な使い方っていっぱいあったんだけども、やっぱりいろいろあって、でもやっぱりそれで学んでどんどん強くなってる。で、今はもう大分おもしろくなってはいると思うんだけども、ただ一番面白いのはその上でやってるいろんなイノベーションが面白くて、これ本当に90年代のHTMLができて出てきたのとすごく似ている。

南條史生: もう、ということでいろんな使い方のできる。

伊藤穰一: 色んな使い方ができるし、あとやっぱり書ける人のあんまり難しくはないんだけど書ける人も少ないし、その構造を理解している人も少ないから、最初やっぱりホームページ作りとかウェブができたときってHTMLできる人が少なかった。そんな難しくなかったんだけど。そのときに僕らもいろんな仕事をしてたんだけども、それと同じスマートコントラクトってそんなに難しくないんだけどできる人が少ないから、少ない人たちで今いろんなアーティストの作品をやったり会社を作ったりしてるので。

南條史生: アートのすごい金額いってるんですよね。何だこれは、ってアート業界まだわかってないですから、状況が。

伊藤穰一: だから今回のNFTのブームはやっぱりアート業界とかオークションとかでね、あの盛り上がったのがきっかけになってるよね。でもそれがきっかけで他のアプリケーションがいっぱい出てきてる。

南條史生: 伊藤さんもね、じゃあNFTある程度投資してる、関わっているとといったときにね、それはそのNFTの通貨に投資するんですけれど、そういう作品とかねそういう部分も持っていらっしゃる。

伊藤穰一: 今のいわゆる一時的な投資、その金儲けのためにじゃあNFTに投資しているかっていうと、それはしてないです。これは自分の学びと実験のためにしていて、そしてあとはAnimocaっていってたぶんNFT業界では、アメリカの外で一番大きい会社があっていろんなオープンシーかなにかで投資している会社で、そこの立ち上げ僕が関わってたんで、そこのお手伝いして、そこの視点からも見たりして。で、だからファンドに今ちょっと関係しているのと、あとは例えば認証の部分だとかあのプラットフォームの部分とかやってる会社もお手伝いしたり、あとはこれからNFTをやろうとしている人たちとお話をして、でもまだ9割。ただお勉強も。

南條史生: じゃあアートはどうです?

伊藤穰一: アートね。僕だからアートは、だから今日来たのはやっぱりアートの人の意見をちょっと聞きたい。で、やっぱり今どっちかっていうとね、その、あのCryptoPunksとかBoredApeみたいなプロファイルピックになるようなアートの方が安定して伸びてるのね。で、これ多分ゲームの中のアイテムってやっぱりその見栄えとか機能とか、どのぐらいレアものなのかっていう感覚ってあるので、ゲーム遊んだ子たちは集めやすいと思う。でも一点ものアートってあんまり値段がつきづらいんです、今。で、 やっぱり一点もののアートのコレクションってやっぱり統計的にみんなの雰囲気を見て、何かオークションでやりとりするっていうよりも、ちょっと本当に自分のセンスがないと買えないじゃないですか、なかなか。で、そこはやっぱりまだそこの方がね、だからアート業界、だからプリントと一点物の違いで、プリントの方が結構盛り上がってると思うんだけども、あのボリュームも動いてると思うんだけど、一点物のアートがこれからどうなるかっていうのが知りたくて。

南條史生: そうですよね。だからダミアン・ハーストが1万点の版画を1万点刷って出したんですよ、NFTで。で、普通は1万点刷らないわけですよね。だいたい60とか100とか。だけどその前にそのNFT上のアートの価値はどうやって維持されるのか、という議論をしたときに、ジェシカ・ウォンさんっていうのが行きのスピーチを前回やったんだけど、その人が「それを信じているコミュニティーの大きさです」って。そうすると彼女が言った面白いことは、「これは一点しかないから貴重ですっていう、かつての価値観は通用しません。だから1万人に持たせた方が得だ」と。「1万人持ってると1万人の人がこれはいいものだ」と。で、「この価値は上がってほしい、思っている人がいるわけだから、それは価値が安定する」と。でも1個だけだったら安定しないってことを彼女は言ったんですよね。逆転してるんですね、考え方は今までと。

伊藤穰一: ブランドに近いよね。ロレックスとか車、車は例えばじゃあBMW持ってますと。で、誰も持ってなかったら値段が付きようもないんだけども、難しいんだけども、ただもうひとつはコミュニティの中身だよ。常になんかこう相応しい人たちに使ってもらいたいけどちょっとブランドにマイナスの人たちは使わせたくない、とかっていうのと同じで、たとえばBoredApesとかでやってる人が嫌な人だっととしたら、離れたいってなるので。コミュニティーの中身と、あとはそういう意味で人数が丁度いい人数、で、溢れちゃうと価値が下がっちゃうし、足りないと誰も持ってないっていう。

南條史生: BoredApesを持ってらっしゃるんですよね、その時の経緯を。

伊藤穰一: これはたまたま最初NFTをいじってたときに、僕のSean Bonnerっていうセーフキャストを一緒にやってる奴がいて、そいつが結構NFTやってていろんなアーティストのNFTやってて、何が面白いとか言ってちょうどこの話してたの、コミュニティーが面白いねって言って。彼はCryptoPunksとかいろんなもの持ってるんだけども、今どのプロジェクトが面白い?って聞いて、BoredApeといくつかあったな、で、買ったときたぶん8000ドルぐらいでちょっと高いなと思ってたんだけど、まぁでも一応買ったらバンと上がって。そしてたぶん1500万ぐらいになったところで、「あ、そういえばあったなー」みたいな、でもちょっとね、買ったときちゃんと見なかったの。そして「あ、これそれって嫌だな」と思ってたの。で、やっぱりもうちょっとちゃんと見ると、もうちょっと自分の雰囲気に似てるのがいたのでその時買ったやつを売って、同じような値段のやつ買ったの。ただ今度はそれがピンチなのは、その日本とアメリカの税だと税金かかっちゃうんだよね。で、また下がっちゃうとさ、結構面倒くさいんで税法上ちょっとめんどくさいんだけど、やっぱこの子は最近買ったやつだけどそれは前買ったやつと交換した。でもよくあるの、ゲームとかでさ、自分がキャラクター選ぶじゃない、その時急いで買ったバババっと作って、そうすると何十時間そのキャラクターみなきゃいけないんだけど変えられない、とかっていうのと おんなじで。結構NFT、だから最近選ぶときにすっごい時間かけて選ぶ。もしかしたらこいつが当たっちゃうとそれがプロファイルPicとかになっちゃって、そん時なんか「えっ、なんかタバコ吸ってるじゃん」とかなんかあると嫌だからね。それで勉強になりました。

南條史生: じゃあもう、今その一番かわいいのってことですね?

伊藤穰一: 自分のブログとおんなじブルーの背景に、なんかちょっと怪訝な顔してたらいいかな。

南條史生: BoredApeっていうのはシリーズで出てるの?

伊藤穰一: そう、シリーズです。で、たしか8000ぐらいかな。でもね、今もうBoredApeを買い占めて結構かっこいいBoredApeを集めたやつが今度はバンドのユニットを作って登場したり。で、確かね、どこだっけな、タレントエージェンシーと組んで結構お金になってるんで、彼らもイベントをやったり、あとはBoredApeのこのジャンパーとかフーディとか、あとは本当にパーティーに入るにはBoredApeなきゃいけなくて、そうするとBoredApe持ってる連中でもうコミニティがすごいんだよね。で、もうすごい高くなっても、結構売らないの、みんな。本当お金ない人でもね。で、あとはBoredApeに今度は変な薬みたいなのが配られて、それを薬飲むとMutant BoredApeっていう変な無茶苦茶なBoredApeが生まれるっていうのが出ていて。それはまたすごい値段がついて、そいつもいたり、あとBoredApeのワンちゃんが届いたり、だからそのBoredApe持ってる人たちにどんどんどんどん追加で。で、その追加のいろんなアイテムとか構造、あとゲームもあったりね。そういうのはBoredApeで良く最初に作った人たちが今どんどんどんどんそのBoredApeコミュニティ、このお金を投資していってる。

南條史生: すごいビジネスですよね、それ。

伊藤穰一: そういうビジネス。

南條史生: どのぐらいの人数の人が関わってるんですかね。支えてるんですか?

伊藤穰一: うーんでもね、もう何十億のお金あるから、結構ちゃんとしたチームになってると思うんだよね。だからこないだのニューヨークのイベントとかでもパーティーをやったりして、結局BoredApeのパーティーとかさ、なんとかのパーティーとかもやっぱり話題になるじゃない。そうするとああ欲しいと思って高いお金で入ってくる奴とかもいるし、でも一番やっぱりカッコつけてるのは、一番最初から持ってる人たちが一番そのステータスは高いんだけど、やっぱりそのBoredApeの偽物?やっぱり結構ね、ここみんな勘違いしてるんです。でもコピーできるじゃん、でもBoredApeのコピーもってたって、パーティーにも行けないし、あとは今後たぶんツイッターとかでも認証するから、本物じゃなかったら偽物って出ちゃうし、だからその画像の価値ではなくてその画像が。

南條史生: 信頼性というか。

伊藤穰一: 画像がちょっと表にあるんだけれども、その裏に付いているいろんな権利とかいろんなものが付いてるから、その価値がある。

南條史生: でもそこはNFTだからカチっと押さえられるわけですよね。

伊藤穰一: そうなの。そこがね、やっぱりプリントとかと違ってそのアーティストとのつながりがずっと続くよね。だから僕が、彼らが例えば今BoredApe持ってる人たちにみんなにコレを贈りたいって言ったり全部贈れちゃうけど、何かプリントがもう出回ったらどこに誰が持ってるかもわからないし、偽物が出てもわからないし、そのリアルタイム性がないのと、あともうひとつ重要なのは売買がもう全部1つのマーケットになってるから流動性が高いんだよね。僕BoredApe売りたいと言ってももう24時間ではもう必ず売れちゃうから、もう何千万だろうが。

南條史生: そこが普通の美術品と違う。株みたい。

伊藤穰一: 株みたい。だから株みたいな流動性がアートにひっついてる。だからもちろん良いことも悪いことがたくさんあると思うんだけれども、ただ必ず売れると思えば、あと必ずマーケットプライスがわかるからそれはちょっと安心だよね。今何かアート買って売れなかったり、売った時にすごい値段が分からなかったり、手数料を取られたり、ニセモノ買っちゃったりっていうそういうリスクは無くなるよね。

南條史生: でもね、結局その調べていくと、今までの古いアートも同じみたいなんですよ。クレーとね、カンディンスキーがあると、カンディンスキーはあんまり作品がマーケットにない、クレーはたくさんある。クレーの方が参照例がいっぱいあるわけですよね、価格の。価格が安定してきて売買が簡単にできる。カンディンスキーは参照例がないとね、これいくらなのかっていうのはね、あんまり確定できなくて動きがないっていうようなことが起こってくる。それがだからNFTなんかの場合は捕捉されてるんじゃないかな。

伊藤穰一: そうだよね。

南條史生: この前僕もシンポジウムをやった理由っていうのはその、NFT上のアートってのはどうしてもやっぱりモニターを通して見ることになるじゃないですか。そうするとモニターを通して見たときによく見える、っていうものがやっぱりいいわけですよね。そうするとその筆の跡が細かく残ってるとかね鉛筆の線だとかっていうものはもう見えなくなっている。じゃあそういうアートはやっぱりね、まあリアルの世界のアートであって、NFT上はちょっと違うタイプの美学ってものが発達するんじゃないの。

伊藤穰一: で、それがさっきのコミュニティで、だいたいNFTのこれはアメリカがメインかもしれないけどDiscordっていって、そのチャットのサービスがある。もともとゲームとかでよく使われてるんだけども、Discordが面白いのはいろんな機能を拡張できるので、例えばこのNFTを持ってる人しか入れないとか、このNFTの例えば3つランクがあるとこのランクの人はこのチャンネルが見れてこのランクの人がこのチャンネルを見れるとか、このNFTとこのNFT両方持ってる人をここに入れるとかって設定細ってできるのね。そうするとそのディスコードチャンネルでコミュニティがいるの。だから大体みんな何にするかっていうと新しいNFTが出来てくると、まずディスコードチャンネルに行ってコミュニティの雰囲気をまず味わうのね。で、コミュニティの雰囲気が良かったら、多分あとファンがいっぱいいて雰囲気が良かったら、あとボランティアがいっぱいいたりするとそのNFTが変なことしないし、今後何かいいことやっていくだろっていう。要はワインのヴィンヤードに行って、すごいいいのと似てるのかもしれないけど、だから製造元を見に行けるのね。だからコミュニティが変なところだと結構危ないってて投資されない。で、それまた悪循環でコミュニティが雰囲気が悪いといい人も入ってこない。

南條史生: 雰囲気がいいとか悪いってのは見てると匂ってくるんですか。

伊藤穰一: まあナイトクラブ、ディスコに行ったときと同じで、とにかくその言葉遣いが荒いとか質問答えてないとか、みんながお互い助け合ってるとか、それは見てすぐわかるよね。あのバーっってチャット見ると、あの文句言ってる奴ばっかりいるとかさ。だからそれはそのコミュニティの主催者の雰囲気もあるけれども、そこに集まってくるやつもある。だからそれも今度はビジュアルとかそのバックストーリーと関係してきて、結構な何かラフでバトルっぽいやつだとやっぱりゲーマー系が集まるし、結構ピースフルなやつだと、ただ案外ね、僕も今これはNFTじゃなくてトークンなんだけれども、カーボンクレジットをトークンにしてストックしていくっていう環境にすごいいいNFTがあるんだけども、NFTがトークンがあるんだけども、そこのDiscordは結構みんなね、怖い人がいっぱいいて、なんかこうすごいピースなコンセプトだけどコミュニティーがちょっと乱暴だから、どう考えるべきなのかっていうのがあるんですけどね。

南條史生: じゃあね、これは僕が聞かれそうな質問なんですけど、NFT上のアートっていうのはアートだと思いますか。

伊藤穰一: いや、僕はでもね、何でもアートだと思っちゃう人だから、そうなんだよ、逆に。

南條史生: それはとりあえず置いておいて。

伊藤穰一: いやあの、ぼくはだからそのなんだろう、何かのエステティックをちゃんと表現できて、そしてその表現によってまたいろいろな社会的な拡張が起きるようなものってすごい あると思うんだよね。で、さっき南條さんの言っていたその筆のとことか凄くなんかいろいろあるっていうのと、まあ一緒にコミュニティーのところもあるし、あとNFTのその構造の仕組みだとかすごくね、毎日のようにいろんな面白いクリエイティビティーの発布とイノベーションが起きてると思うんで、で、僕はだからビッグAアートかどうかわかんないけども、小文字のアートでは絶対僕はある。

南條史生: 僕もその、まあマーケットの話だけどNFTっていうひとつのドメインができてて、そこの中でアートが売買されていると。これやっぱり無視できないんじゃないかと思うんですよ。それで今までのアートは廃れてなくなるわけではないけれども新しいアートというものは登場した。それは新たに付け加わってアートというもののドメインを増やしてく、拡張していくということになるんだろうと思って見ているんですけどね。

伊藤穰一: だから結構ね、NFTの連中は言っているのは、昔アンディー・ウォーホルはアートじゃなかっけど途中でアートになるんじゃない。で、やっと最近このスケボーの世界ってストリートアートって認めてる。で、たぶんね、そこまで時間がかかるかもしれないけれども、みんなアートコミュニティってちょっともう死んじゃったころに注目して出す。だからそういう意味では、今クリスティーズとかでやってるのはたぶんそこから学びが起きてんじゃないの。ここで無視しちゃうと乗り遅れるから今のうちにやや認めた方がいいかなっていって、今面白いのはやっぱりクリスティーズに出るって言う時と、僕MoonCatっていうの持ってるんだけど、じゃあクリスティーズのオークションにバンドルされたって言われたらみんなね、その自分のNFTのキャラクターにスーツを買って着させるとか、だから「これからクリスティーズのオークションだよ」みたいな感じでNFTのキャラクターがドレスアップしたり、だからその辺もね、すごいかわいいよね。何か、だからそのクリスティーズとの関係がね、またコミュニティーがちゃんとリスペクトしてクリスティーズに出るとまたみんなの値段がちょっと上がるし。

南條史生: あともうひとつそのアート業界にちょっと出ている話はこれは結構真面目な話なんだけど、そのNFTを使った場合にはそのプライマリーマーケットからセカンダリーマーケットに動いていくわけですよねアートが。その時に利益が出てる、つまり値上がりしてるとそこでもってオーナーのすごいプロフィットを得られるわけです。で、そのけしからんと。そうすると何にもしていないコレクターがね、大儲けしてると言って怒ってるアーティストは結構いたわけですよね。そのアーティストが売った時には1000ドルだった、買った人が1万ドル、という ことが起こる。だけどNFTを使えばそのうちの利益の半分、例えばね、半分はアーティストに戻るというふうにできる。ということになってくると、その非常にそのアートによる富の配分がね変わってくるんじゃという期待があるんですよ。で、これうまくいったら著作権なんかやめた方がいいんじゃない。だって著作権料って数パーセントでしょ。これはものすごく大きいですよね、値上がりしたらすごい金額。それがきちっと最初に作ったアーティストに戻ればそのアーティストにメリットあるわけですよね。

伊藤穰一: そういう意味で、今、著作権はもうだいぶ考え直してるよね。だから結局NFTが本物だとみんなが宣伝してくれてるみたいなもんだよね。だからそういう意味で僕もクリエイティブコモンズやったときに同じこと言ってて、やっぱりライブで稼げる人は音楽はタダにしてもいいはずだっていう風に思っていたの、宣伝になるから。それと同じでNFTにいろんな価値が付いてて、そいつがどんどんいろんなところで使われるのはいいことなんじゃないかなっていうのと、あと南條さんが言う通り、毎回のマークアップの値段のところの配分って設定できるんで、それもアーティストだけじゃなくてその音響をやった人とか、あとはスクリプト書いた人たちに配分全部できちゃう。

南條史生: そうだね、から映画とかだったらすごいですよね。関係者いいるわけだから。そこにものすごく細かく富の配分ができるわけだあ。

伊藤穰一: だから今までのギャラリーとか映画だとスタジオの何て言うのかな、ちょっといやらしい配分が、もう見えるから透明性も高くなるんだよね。

伊藤穰一: 南條さんNFTのコレクションを始めました?

南條史生: いや、まだ始めてないです。ちょっと乗り遅れたかも。

伊藤穰一: いやいやまだまだですよ。

南條史生: 7月に買っておけばよかった。

伊藤穰一: 南條さんが選ぶのはちょっと見てみたいですけどね。

南條史生: やっぱりその、例えば動くとかね、そういうNFTらしいものを多分選ぶと思います。

伊藤穰一: でも絶対自分が好きじゃない、もしくは自分気にならないけどみんなが言ってるからって買わない方がいいってのはつくづく思う。アートも同じだよね。結局持ってるわけだし、あとNFTの変なのはイーサリアムのメーンのチェーンでなんか送る、今これ下がるけど今転送するのに3000円、4000円かかるんだよね、ガスって言ってガソリン代が。そうするとね、ゴミが入ってきても、ゴミを捨てるのに3000円かかるの。だからいくつか僕価値があるNFT持っていると、広告のようにゴミNFTが来るの。そうすると僕のプロフィール見るとこれ買ったように見えちゃうの、まあ履歴、ターンズアクション歴見ると買ってないとわかるんだけど、ゴミがあるわけ。でもゴミ捨てようと思ってもお金かかるから癪だから残すんだけど、残すとまた嫌だし、なんかねこれ多分これから機能拡張で変わってくると思うんだけども、突然起こり、送り、変なものを送りつけることができるっていうのが ちょとね、ピンチだね。

南條史生: それで誰々所有みたいなことかな?

伊藤穰一: 南條さんのアカウント番号を入れると、南條さんが持ってるアートは全部見れちゃう。そうするとそこにならんじゃう。

南條史生: こういうのを持ってるんだ、って見えるんでしょ。

伊藤穰一: で、それをまた何してるかというと、コレクター達が何買ってるかってトラッキングすることができて、そうすると南條さんが買ったら僕もすぐ買うっていうのがある。今アートワールドだとそれみんなやってるけど、すぐわかんないからディレイがあるから、南條さんずいぶん買い集めてからみんなに見せるじゃないですか。だけどNFTだとすごいコレクター達が買い集めだすと、ワーっとみんな動くの。だから結構トラッキングされて。

南條史生: それはその自動的にそれが動くようになってくるとね、本当に投資的な動きに変わるかもしれない。

伊藤穰一: そう。で、結構バブルとかが起きるよね、早く。例えばアボリジニーのアートを何年かかけてもうガーッと持ったらアートバーゼルで全部見せたらみんな欲しいと言って値段が上がって株たら絶対違法なんだけど、アートにはそれが普通なんだよね。だからそれがなんか、

南條史生: そこが面白いと。

伊藤穰一: 凄いピッチで多分動くようになっちゃうと思うんだよね。だけど多分ね、アート業界の人から見るとすごいね、わかりやすいモデルだと思うの。で、これ株の人達が見ると凄い警報が鳴るぐらい危険で、アート業界と株の業界がぶつかって、で、アメリカとか日本も規制しよう規制しようってなってる。でもこれアートだったら普通なのに、っていうところでたぶんね、その感覚がすごいズレてるんだ。

南條史生: だから金融の人が結構アートコレクターに入ってきてますよね。彼らが見たときにそういう動きが規制もなしにいろいろ動いてるっていうのは結構面白いんじゃない。

伊藤穰一: 懐かしい気分。出していた昔こういうの金融でもできたんだ、みたいな。

伊藤穰一: いやこれ美術館とどう関係する?なんかNFTを展示しようとしてるアクティビティとかたまに見るんだけれども、さっきあのモニターを通じていいものしか、いいものがNFTに出てきて面白いんじゃないかっていうそのギャラリーの設計とか何か展示を考えるNFTってなんか意味あるのかな?

南條史生: 一回今年の7月くらいだったかな、原宿のギャラリーでNFTアートの展覧会あったんですよ。でも結局行ったら全部モニターなわけね。だからモニターがずっと同じサイズで並んでいるのはどうなのかっていう感じがする。

伊藤穰一: 僕もアルスエレクトロニカの審査員をやっていて、インターネットアートっていうカテゴリーを作って、一回目をやったんだけども、展示もそれこそモニターとポスターボードでどうやって展示するんだ、みたいになって。だけどみんないまだに困ってるよね。

南條史生: じゃああれはどうですか?そのメタバースとかマルチバース。

伊藤穰一: それは今ね、すごく面白いのがメタバースの中でイベントをやるのよ。だから例えばこれペルーのアーティストだったかな、やっぱりDJがいてメタバースの中でパーティをやって、パーティに来てる人たちにNFTを配って、そしてその後パーティーに来てた人たちだけにまずオファーしたNFTをドロップして、で、もう一人このアーティストとコラボレーションしたらそのNFTを2つ持ってるやつらは何か違うのがあって、そいつらオンリーのパーティーをまたメタバースでやるとか。だからその音楽とかパーティーとか、パーティに入るためにNFTとかいたらもらえるNFTとかで結構ね、そのファンたちの管理ができちゃうのね。そうすると何時何分の9時に僕のパーティに来たらあのひみつのNFTもらえます、っていうとみんな集まるんだよね。そこでDJが音楽かけたりしてると、だからちょっとやや金銭的なインセンティブが出せるので、そうするとなんか面白いイベントができたりするっていうのは。ちょっとね、だからいいんだか悪いんだかわからないのがなんでもちょっと金銭的インセンティブな匂いがするから、ちょっとあのなんだろうね、あのダーティーな感じもややする。ただまあアート業界ってプンプン金銭的な匂いがしているから、それはもうすでにダーティだからいいんだけど。やっぱりコミュニティーをちゃんと大事にしている人たちにしたら、ちょっとお金のために来てる人たちが思うと嫌だなっていう人たちは結構いる。

伊藤穰一: 最近コレクターはやっぱりそのネット上に土地を買ってね。そこに家へ建つっていうギャラリーを作って。そこに自分のコレクションっていうのはNFTのコレクションを入れる。ときどきお客に見せたいですっていう世界の。

伊藤穰一: 僕もね土地持ってるの。シェパード・フェアリーのすぐ隣なんだけど。で今は、なんか鯉の池か何かしか置いてないんだけど。やっぱりいつかって。でもどんどんねそこの土地のOfferが高くなってきて。いつか自分の店を開くのか売るのかはまだ決めてないっていう。ウォーターフロントのすぐ近くでね。

伊藤穰一: だから、そこに最終的にはねこうモニターを見てる状態ではなくてね、感覚的に見てる人がねそういう所の中に入れるくらいのある種の何て言うんだろう。そういうニーズは出来たかもしれないね。

伊藤穰一: だからフェイスブックが今やってたぶんアプリって対面ですVRも入ってるしあとはその。Cryptverseみたいな他のメタバースみたいな中で履ける靴とか本物の靴が買える、買うとメタバースの中でも履ける。で自分のキャラクターが着てるものもそういうNFTが身に付けられるし、部屋に飾れるものもNFTになって。だから今本当にこんな時計ぐらいにしかできないようなものが自分のメタバースの家に飾れる。で、そこで自慢するのが。いやこれはメタバースがある前から持ってるんだよ。その時代は何で買ったの。いやそんなことがいずれあるからって思ってたんだよ、みたいな話がきっとなるんだろうなってみんな想像してるよ。だからみんな売らない。

南條史生: どうですかね、他に。

伊藤穰一: いや僕さっきの質問にもどるんですけど、アートの立場からそのNFTとアートはまず、まずさっきのアートかどうかっていうゲームそれを聞きたいんですよ。

南條史生: 泥沼になるんですね。

伊藤穰一: いやちょっと泥沼になってる。

南條史生: これがアートかどうかって泥沼なんだけど、基本的にクリエイティブなプロダクツはアートだっていう風に定義しちゃうとね、かなりのものはアートなんですよね。で、しかもその中である程度ビジュアルな表現、ある程度ね、って言うともうちょっと狭まるかなって思っ たりもするんするんですけど、今やアートの定義を語るよりも、これはクリエイティブか否かという問いの方が意味のあるような気がするんだよね。アートっていうのは結局みんな自分の体験からアートを知ってるわけですよ。生きてきた体験の中でこれがアートだろうと思うんでしょ。ところがこっちの人は自分の体験からこれがアートだ、で。この人が例えば美術館のそばにすんでたら、美術館の中にあるようなものをアートだってこっちは思って生きてる。ところがこっちにはそういうものはなくて、小さな村でね、演劇ばかり見てきた人は演劇がアートだと思ってたりする。するとこう重なってるとこもあるんだけどズレてるところもある。このズレてるところを解消する定義がないんです。言語的定義がない。だからみんな思ってるとかズレたままでいやそれはアートじゃないっていうわけでしょう、そういう議論は面白いんだけど、快適なんですよこれはね、だけど結論はどうせない。だからそれよりはその一個づつのものについて議論していくほうが意味があるということになるんじゃ。

伊藤穰一: 今見た感じでアート業界にどういう革命が起きると思いますか?今は、みんなオークションはやり出したじゃない、このままアート業界のたとえばギャラリーのあり方とか、っていうのはリアルワールドの作品もNFTをタイトルみたいにして売買はNFTのマーケットでやろうと思えばできちゃう。だいぶもうわかったと思うんだけども、これって革命起きると思う?アート業界。

南條史生: いやだからそのNFTでしか表現できないようなデジタル系のアートっていうものはもっとそれが発達するとは思う、NFTにおける。だけど今まであったアートのマーケットを拡大するというのはそんなにないんじゃない。

伊藤穰一: あと今までのマーケットに流れ込んでいたお金がNFTに移っちゃうってことは

伊藤穰一: 一部はある可能性ある。

南條史生: 一部はあるけど、今のところはね、こっちの元々のアートマーケットの人達はNFTのマーケットあんまり分かってない。まだ入っていってないです。

伊藤穰一: じゃあこれはあらたなマーケットが勝手に生まれてきて、今までアートに投資してなかった人たちが投資していて、それで一部のアート業界の人たちはNFT業界を設計するので稼いでるっていうそんな感じかな。

伊藤穰一: そうですよね。だから何て言うのか、このNFTの中でアートをやってる人たちは、に、そのいや君たちそれがいいと思ってやってるだろうけど、実はアートにちゃんと歴史があっていろいろあってね、こういう美学の進展があって今はこういう作品があってこれが重要だと思われてるんだよ、アンディーウォーホル60年代に言ったけど、今はゲルハルトリヒターなんだよ、みたいなことを言っても、したくないと。そんな古いアートの話を俺たちにしないでくれ、俺たちはまったく新しいアートを作り出し、それを楽しんでコレクションしてるんだからそんな話は余計なお世話だとなるわけですよ。

伊藤穰一: なんか昔のアート業界の必殺技がバーンと出てきて、おわーってなったりしないのかな。.

南條史生: だから2つの分裂したマーケットの存在してるってことね。で、これがどのぐらい近づいていくかっていうことはそれはあるんだろうし、それがいつなのかなっていうちょっと感じる。

伊藤穰一: ちょうどいいちょうどいいぐらいがここらへんでこの辺で終わりかな?

伊藤穰一: 今後のご活躍を応援してます。

伊藤穰一: 南條さんもね。ありがとうございます。