今週もほぼ月イチでおとどけしている一人語り回です。 今回は、彬子女王殿下とのトルコ訪問を振り返りつつ、落合さんの「null2」万博パビリオンへの所感、ALife(人工生命)についての考察、そしてAI駆動コーディングである「Vibe Coding」に関する話題を取り上げます。
- Joi
番組は各種ポッドキャストプラットフォームからお聞きいただけます
今回のPodcastの理解度をより深めるための12のキーワード
ALife(人工生命/Aライフ)
Artificial Life(人工生命)の略。コンピューター上で生命のような振る舞いをするシステムを研究する分野。1987年にクリストファー・ラングトンが提唱した学際的な研究領域で、進化、自己複製、適応、創発といった生命の特性をシミュレーションや人工システムで再現しようとする。従来のAIが「知能」に焦点を当てるのに対し、ALifeは「生命」そのものの本質を探求する。コンウェイのライフゲームやボイドのシミュレーションなどが有名な例。
池上高志先生
東京大学大学院総合文化研究科教授。A-Life(人工生命)研究の第一人者で、複雑系科学、人工生命、認知科学を専門とする。1989年に東京大学で博士号取得後、一貫してコンピューター内での生命や知能の創発を研究。「生命とは何か」という根源的な問いに、シミュレーションとロボティクスの両面からアプローチしている。落合陽一氏とも親交が深く、番組内で伊藤氏は「池上先生なんかはもう十分生命はコンピューターの中で実現できると思ってる」と言及している。アートとサイエンスの境界で活動し、山口情報芸術センター(YCAM)などでも作品を発表している。
Vibe Coding(バイブコーディング)
AIを活用したプログラミング手法の一つ。O'Reilly社の書籍でも取り上げられている新しいコーディングスタイル。従来の「一行一行コードを書く」スタイルではなく、AIに大まかな指示を出してプロトタイプを素早く作り、それを反復的に改良していく手法。「vibe(雰囲気・感覚)」という言葉が示すように、厳密な設計よりも直感的でスピーディな開発を重視する。GitHub CopilotやCursorなどのAIコーディングツールの普及で注目を集めている。
僕のGitHub
Joiさんのお茶プロジェクトのGitHubのレポジトリはこちら。我こそはという方、ぜひ参加を。
Sora2
OpenAIが開発したテキストから動画を生成するAIモデル。2024年2月に初めて発表され、2024年末に一般公開された最新版が「Sora2」。テキストプロンプトから最大60秒の高品質な動画を生成でき、カメラワーク、照明、物理法則まで理解した驚異的なクオリティを実現。自分の顔を入れると動画の中に登場できる機能や、友達をパーミッション設定で仲間に入れる機能も搭載。
オプトイン/オプトアウト
データやコンテンツの利用に関する同意方式の違い。オプトインは「使いたい人だけが明示的に許可を出す」方式で、事前の同意を前提とする。一方オプトアウトは「嫌な人だけが拒否を申し出る」方式で、デフォルトで利用が許可されている。Sora2の著作権問題では、OpenAIがオプトアウト方式を採用しており、「この作品は使わないでと言えば除外する」というスタンス。しかし多くのクリエイターは「オプトインで、使いたい人だけ入れてくれ」と主張している。ディズニーなどはオプトアウトしているが、日本のコンテンツは多数含まれたままだという。GDPR(EU一般データ保護規則)ではオプトイン原則が基本となっており、地域によって法的扱いが異なる重要な概念。
AI企業とメディア企業との訴訟や提携の図
Joiさんが番組中に話していたチャートの話はこちらのリンクでご覧になれます。(が、有料記事!高い) しかし図だけはこちらでもご覧になれますよ。
Lawsuits with GenAI companies.
— Rohan Paul (@rohanpaul_ai) September 8, 2025
Data: Axios research; Chart: Erin Davis/Axios Visuals pic.twitter.com/dL7cepj8r3
わたくしシナダ、一応メディア出身でして、この図をずーっと眺めていられます。なるほどな。。。。
Open-ended Evolution(オープンエンデッド・エボリューション)
終わりのない進化。A-Life(人工生命)研究における重要な概念で、MITプレスなどで活発に研究されている。従来の進化論が「競争に勝つこと(Survival of the fittest)」を目的とするのに対し、Open-ended Evolutionでは競争は手段であって目的ではないと考える。真の目的は「面白いもの(Interestingness)」を探し続けること、複雑さや多様性を生み出し続けること。
Objective Function(目的関数)
機械学習や最適化問題において、「何を最大化・最小化するか」を定義する数学的関数。例えば「予測の誤差を最小化する」「利益を最大化する」といった具体的な目標を数式で表現したもの。Open-ended Evolutionの文脈ではこの概念を批判的に捉えている。現在のLLMやAIの多くは目的関数の最適化に基づいているため、既存のパターンの組み合わせから抜け出せず、真の創造性を発揮できないという構造的限界があるとされるそう。
Survival of the fittest(適者生存)
「最も適応した者が生き残る」という進化論の中心概念。チャールズ・ダーウィンの『種の起源』(1859年)で提唱された自然選択説を、ハーバート・スペンサーが1864年に「survival of the fittest」という言葉で表現した。環境に最もよく適応した個体が生存・繁殖し、その特徴が次世代に受け継がれることで進化が起こるという理論。
好日会(こうじつかい)
2024年9月25日に裏千家の道場で開催されたお茶会のこと。数寄者として知られる潮田洋一郎さんが濃茶席、Joiさんが薄茶席の席主として50人の席を11回実施し、約500人が参加したそうです。去年の末から準備を進めてきたという大規模なイベントで、お茶会の前はすんごい忙しそうにしてました。
地球学研究センター
千葉工業大学に2019年7月に設置された研究機関。正式名称は「千葉工業大学 地球学研究センター(Institute for Geo-Cosmology)」。松井孝典氏が所長を務め、彬子女王殿下が特別教授および主席研究員(非常勤)として研究活動に参加されている。人類が築き上げてきた文明の起源と変遷を、従来の考古学では利用してこなかった最先端の自然科学的分析機器を活用して解明することを目的としている。トルコのアナトリア地方にあるカマン・カレホユック遺跡などで発掘調査を実施。彬子女王殿下の祖父にあたる三笠宮崇仁親王(「髭の殿下」として知られる)が中近東研究の専門家であったことから、皇室とトルコの考古学研究には長い歴史的なつながりがある。
松井先生にご出演いただいたポッドキャストでもそのプロジェクトについて語られています。
先月Joiさんからお告げのあったAIシステムの行方
はい、ここからはシナダがお届けします。 覚えていらっしゃいますでしょうか?ポッドキャストの月イチ企画をAIを使ってDXする!という話をJoiさんが突然宣言したことを。はい、収録の15分前に言われ、よくわかってなかったですが、シナダがんばりましたよ。
シナダはですね、実は千葉工大のweb3/AI概論という授業の運営をしておりまして。授業では偉そうにしております。宿題の発表で、突然いろんな人を当てる、恐ろしい担任の先生の設定です。 今年から今日の番組でも登場したVibe Codingを取り入れておりまして、こら担任の先生がんばらねば、と仕事の合間に作ってたわけです。GPTと話してね。
で、ですね。結果はですね。「まだ出来てません。。。」はい、すみません。授業でも偉そうにしてごめんなさい。
かいつまんで事の状況をお伝えしましょう。
これまで、Joiさんと私の月イチ企画の打ち合わせはNotion上で行われておりました。
こんな感じで、私が気になったニュースを挙げておき、その後Joiさんが気になるニュースを足したり、メモを足したり。。。
するとですね、誰が書いたメモなのかとかわかんなくなるわけです。
おまけにJoiさんはAIにも色々質問してるそうで、その回答も出てくる。するとどれがニュースでどれが回答なのか、収録時にはようわからん...という状況になっておりました。
かつ、この状態だといちいちコピペしなきゃならず、AIにも食べさせるのも一苦労。。。できればjsonファイルかmdファイルで出せるようにしてほしい。 かつ、その回答を表示できるようにしたい。というのがJoiさんのリクエストでした。
そこで、シナダ、頑張りました。 とりあえず、NotionのデータベースをGoogle App Script(GAS)で動かせばいいんじゃね?と。 そしたら、メモ書きとかもしやすいじゃん。かつ他の番組のメモとも連動しやすいじゃん!と。
はい、今思えばここが間違いの始まりでした。最初っからClaude CodeとかReplitとかで全部作っておけばよかった...。
まずは、私の使っているニュース収集サイトで記事のxmlファイルがダウンロードできることがわかりました。これを、Google Driveに投げることで、いい感じでNotionのデータベースにまとめてくれれば、なんかいい感じになるんじゃね?
News XML feed (export) ↓ Google Drive → GAS Import_XML ↓ Notion database ↓ Download links (JSON / Markdown) ↓ AI summarization / email formatting (next step) ↓ Manual review / memo writing (by Joi)
そんな思いから、まずはGoogle Drive-->Notionとなるよう、GASを動かし始めました。
しかし、なかなかうまくいかない。2日、3日と時間は過ぎていく。翌週になってもまだうまくいきません。一個上手くいっても、別が上手くいかなかったり。なんか知らないうちにもう一個データベースができちゃってて、ぐっちゃぐちゃになったり。あとはJoiさんが言うように記憶喪失になったり。
そして、もう完成も間近というある日。 GASがエラーを起こしてぐるぐるしたまま、永遠にぐるぐるし続けるようになってしまいました。 そして貯まる他の仕事...。実はポッドキャストでは出張も予定していたり、立て続けに収録が入ったりして結構現場はバタバタしていた頃だったんです。
えええい!!!もうダメだ!!! しばらく開発はほっておく事にしました。
* * *
気がつけば、2週間ほど時間がワープしていました。 すると、もうすぐそこに月イチ収録が迫っている!!! Joiさんに!!!怒られる!!!
ちょっと焦りながらGASを開きます。 以前はぐるぐる永遠に回り続けたGoogle App Scriptさん。2週間後にもう一度開いたら、ちゃんと動いている。 どうも機嫌を直してくれたみたい。
そこで、一念発起し完成させたのです!!! ご覧ください!!!
カテゴリーごとにソートされたニュース!
そして、ニュースをクリックすると!!!
Jsonやらmdやらをダウンロードするボタンが! さらにOpenAIのAPIで記事は日本語化してあるので、収録中にシナダはカンニングできる!! かつメモ欄も多彩に用意しております!!!
ようやく完成したこのNotionをJoiさんにいそいそと送付しました。 きっと朝起きたら見てくれるかなと、夜11時ごろslackでリンクを送ったのです。
しかし、結果は...
なんでーーーー。
(しかもなんで朝の2時に起きてるのだ。。。起床は5時のはず。。。)
その後、何度も修正をし、別のパソコンとかでも開けるのを確認して、改めてJoiさんにリンクを送っても、やはり結果は変わらず。。。
そして週末も続けましたが、はい、今朝。 収録時に目の前で開いてもらいましたが、やはり同じ画面が出ました。
きっと!これは!Joiさんのパソコンが壊れているんだ!!!!!
はい、嘘です。。。
もうよくわかりません。。。。しかし、もうnotionのデータベースを動かすのは諦めました。。。だって、もう疲れたんだパトラッシュ...。
天使が私の周りに降りてきました。 さようならみなさん。さようならNotion。 そしてさようならGAS...
さあ、そんな老犬とともに疲れた私を助けてくれる方はいらっしゃいませんか。
そんな変わった方、ぜひこちらより連絡してください。 お待ちしております。
(つづく)
今週のおさらいクイズの申請先
「おさらいクイズ」の申請先は以下の通りとなります。
番組オリジナルNFTを無償で配布中!
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NFT受け取りのひみつの「あいことば」と書かれた部分に今日の問題に対する答えを記入してください。
ヒント:大文字半角英数字で入力ください。
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