Joi Ito's Podcast - 変革への道

テクノロジーに精通しているだけでなく、サブカルチャーやネットカルチャーにも詳しい伊藤穰一。 かつて、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究所メディア・ラボの所長も務めた伊藤穰一がさまざまな人物を巻き込み、「これからのニッポン」を考え、どう変革していくべきなのかを議論する新しいポッドキャストがスタートします。 番組には、伊藤穰一のネットワークを通じて、世界中から様々なゲストが出演。 また、解説者として、メディア美学者である武邑光裕氏が登場し、デジタル社会の大局的な指針を伊藤穰一と共に掘り下げていきます。 議題となるテーマは毎回その時に注目されている話題や、伊藤穰一が気になっているテーマをピックアップ。 伊藤穰一の頭の中をそっくり丸ごとお届けしていきます。是非、お楽しみください。

今週のゲストは、クリエイティブ・ディレクターの辻愛沙子さんです。最近では、報道番組でもコメンテイターとして活躍する辻さんですが、普段は広告クリエイティブを通じて女性を取り巻く社会の問題に取り組んでいらっしゃいます。自らをクリエイティブ・アクティビストと呼ぶ彼女に広告の視点から見る女性の社会進出について伺いました。


編集ノート

編集ノートには毎回番組で登場した難解な用語や固有名詞などの意味や内容をまとめています。また、ETHアドレスの取得方法やNFTの確認方法についても、まとめています。ぜひご参照ください。


JOI ITO 変革への道 - Opinion Box

番組では、リスナーの皆様からお便りを募集しています。番組に対する意見はもちろん、伊藤穰一への質問があればぜひ投函ください。先日からイーサリアムのアドレス記載欄も設けました。

特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFT会員証をプレゼントしています。


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Podcast Transcript

伊藤穰一:こんにちは、伊藤穰一です。きょうは女性進出を広告業界の視点からお話をしたいと思います。今日のゲストは、Nex-Genのクリエイティブディレクターの辻愛沙子さんです。よろしくお願いします。まず辻さん。何かメディア見てるとクリエイティブ・アクティビストとか強い言葉も使ってるんですけども、そのクリエイティブディレクターとかクリエイティブアクティビストの話をちょっと説明してもらっていいですか。

辻愛沙子:ありがとうございます。普段はarcaという会社をやってまして、アクティビズム・カンパニーみたいなことを目指して、今クリエイティブを中心にやっている会社なんですけど、なかなかビジネスでアクティビズムとかアクティビストみたいな言葉を聞くことってそんなに多くないというか。何かプラカードを持って署名活動みたいなイメージがすごくTWITTERかといううイメージが強いと思うんですけが。もちろん個人としては普段、報道番組に出てたりすることもあって、社会活動をいろいろやってたり、街頭演説したりとかもうあるんですけど、仕事でいうと、普段デザインを作ったりとか企画考えたりとか、内装のディレクションをやったりとか、いわゆる作るとか表現するとか何かを届けるとか、それこそ今日のテーマ通り広告で言うと、文字通りの広く告げるっていうことを生業としている仕事をしてるので、何かそういうこう誰かに何かを届けるとか、当事者を増やしていくっていう仕事とか手法の中で社会に対して何ができるだろうみたいなことを少しずつ考えることが、仕事のキャリアの中で増えてきてて。それってよくジャーナリズムとか言われたり、ブランド・ジャーナリズムとか言われたりするんですけど、そういうジャーナリズムって結構、視点的なものでアクティビズムってもうちょっと私の解釈ですけど、アクションに基づいた本当にこう実際の視点を与えるってこととか、視点を届けるってことでだけじゃなくて、その上でじゃあどんなアクションしていくのかというもうちょっと能動的なもののイメージで当事者の声を増やしていくって言うか。なので、そういうこうアクションが伴う社会変革をビジネスの側から何かサポートできないかなっていうことを考えながら仕事をしております。

伊藤穰一:なるほど。僕もニューヨークタイムズのボードをやってたんだけども、やっぱりニューヨークタイムスって古いメディアはとにかく中立な立場で事実を伝えるっていうので、ブログとかそうしたメディアで視点を持つようになって、やっぱりジャーナリストはアクティビストになっちゃいけないっていう話で結構してるよね。でもあと最近こうSDGSだとかPurposeとかみんな会社のこと言ってるので、何か何か。やっぱり社会的なアクティビズムがない会社ってダサいっていうイメージって今あるよね。

辻愛沙子:そうだと思いますし。だから日本のどこの国がいいというわけじゃないですけど、日本の企業も、もうちょっと寄りで見たビジネスパーソンもこれは教育の問題だと思うんですけど、意志を持つみたいなことがなかなかないなっていうのをすごく感じていて、さっきおっしゃってた、アクティビストにならざるべしと言うか、中立であることが大事というのがジャーナリズム。ジャーナリストの視点で言うとある意味、それはそうかもしれないですけど。ただ、やっぱり企業とかビジネスパーソン個々人でいうと、やっぱり意志を持つことっていうのがそもそも大前提なんじゃないかなと思ってて。パーパスって言葉通りで、何のためにそのビジネスをやっていくのかっていう根底だと思うんですけど。ただ、やっぱり教育の中で平均点を求められたりとか、こうあなたはどう思うのというよりかは何かこう正解を求められたりとか、うんこうみんなで合意形成をみたいなことをすごく大事だと思うんですけど、自分の個の意見を尊重される体験みたいのが、なかなか教育の中で多くない比較的文化の国なのかなって思うので。だから、そういう教育が積み重なった上にある。今のビジネスでいうと、なかなかこう意思を表に出すといいんだとか、そういうことがビジネスを加速させていくんだっていう感覚はなかなか持ちづらいのかなと、特にソーシャルの軸でいうと感じてます。

伊藤穰一:なるほど。で、今までやられてきたプロジェクトで一番それを表現できているのって何か紹介してもらっていいですか。

辻愛沙子:ありがとうございます。一挙手一投足頑張ってやってるつもりなんですけど、何が一番大きいかなでもやっぱり意志を表明することっ勇気がいることではあるので、私自身ってこともそうなんですけど、クライアントさんがそういう意味でいうと、そういうアクションができる企業さんはやっぱどうしても限られてくるし、

辻愛沙子:どのクライアントさんもほんとすごいなと毎回思いながらやってるんですけど。例えばえーと2019年のときにやったミルボンさんというヘアケアの商材カラー剤とかトリートメントとかを美容室に卸してる企業さんでミルボンさんって会社があるんですけど、そこの企業広告を作らせていただいた時に女子力って何だろうというキャッチコピーの屋外広告を出したんですね。駅貼りで。で、その後にいろんな方をキャスティングして。えーと例えば当時整形を公表された直後だったタレントさんとか、元々おっきなアイドルグループにいて、その後脱退されて、今、赤い髪の毛のショートカットされたアーティストやられている方。いわゆるこうアイドルっぽいこう髪型とかヘアメイクじゃないと言われている感じの子アーティストの方だったり、結構こうポップなキュートの独特の世界観を表現してらっしゃるYOUTUBERさんだったり、いろんな方々いろんな女性たちをキャスティングしたんですけど。何かこう、いわゆる女子力って言われて、特にこれ日本語で言うと何か3歩下がって控えめで、ハンカチは常にアイロンがかかっててみたいな、サラダ取り分けます。みたいなイメージがいわゆるジェンダーロールがすごくはっきりしているものとして描かれることが多くて、例えばGOOGLE画像検索すると女子力って見るとすごいこうわかりやすい。そういう女の子像ってちょっとステレオタイプっぽい画像がたくさん出てくるんですけど、英語に直訳するとガールズパワーになるじゃないですか。Girl's Powerで画像検索すると、もっと何かワンダーウーマンみたいなすごい強くて格好いい自立した女性たちの絵が出てくるんですね。画像検索だけでもで、それぐらいなんか私たちの頭の中で、勝手にこれはこういうものって思ってる。本当はそこに縛られる必要なんてない。でも、それに苦しめられてしまってる状況ってたくさんあるなと思ってて、何かそういうことを女子力っていうのか。ヘアケアの商材の会社さんなので、美しさを届けてた企業として、美しさのそういう縛りを少しでも解放できるアクションがやりたいねということで、「女子力って何だろう」という問い掛けのあのコピーの広告を出してみたりとか、いろんな強さとかいろんな美しさを表現している女性たちにフィーチャーした屋外広告を作ったりとか、何かそういうアクションをやってみたんですけど、そこまでのストレートなメッセージとかこう意見を届けられる企業さんはすごいなと改めて思った次第です。

伊藤穰一:それって愛沙子さんの考えとか視点なのか。そのクライアントなのか。クライアントに自分に合わせてくるのがポリシーなのかクライアントとこう話が合わなかったりすると、どうするのか?とかって言うと…

辻愛沙子:それはいろんな視点があるなと思ってて、一番は生活者のその企業さんが普段届けている。生活者の人たちって誰なんだろってのをまず考えて、その人たちが自由に生きられたりとか、その人たちが少しでも痛みを感じなくて済む。こう取り払うべき障壁ってどこなんだろうかっていうのを次に考えて。で、その壁をどうやったら取り払えるのかとか、その壁がたくさんあったりすることもあるので、例えばうんおむつの商材とかだったら、ターゲットはもうお母さんだったり、お父さんだったり、親御世代になっていて。でもじゃ、実際に購買層を見てみると、圧倒的に女性に偏ってます。じゃあここには何か、壁なるものがあるんじゃないかとか。逆に言うと、最初から購買層が女性たちなので、お母さんたちが普段抱えている大変なことって何だろうみたいなことをツイッターで検索してみたりとかすると、子育てのこんなところが大変とか、おむつ捨てる場所がなくて困っているとか、いろんな障壁があると思うんですけど、じゃあどこの障壁に今回はフォーカスを当てて、それを取り除くのか、あるいはそれを広く社会に届けて問題を可視化して、そういう声なきものにされてしまってる。痛みを社会ごととしてこう関心を高めていくアクションにしていくのか。いろんな手法があると思うので、今回はどのお客さんの層に向けて、さらにどんな痛みに目を向けて、「どんな壁をどういう風に取り払うことにアクションしていきましょうかね。例えば、こんなことがあると思うんですけど」、っていうのは私の視点からご提案をして。でも、やっぱりあくまで私は社会をこうしたいっていうよりかは、企業さんの主語で届けていく広告なので、やっぱり企業の主語でも私の主語でもなく、その企業さんが届けている。お客さんが抱えている痛みっていうのが中心にある一応その三方よしの接着地点を見つけるようにしています。

伊藤穰一:では、愛沙子さん自身がアクティビストでいろんなクライアントワークを通して大きく社会を変えようとしてるのか。社会を変えようとしてる会社をこうサポートするサービスプロバイダとかちょっと微妙に違うけどどっちかっていうとどっちになるんですか?

辻愛沙子:私個人でいうとどちらかというと、前者で、でも会社でいうと、自分でやってる会社なんだなって規模なんですけど、会社でいうと後者の視点であるので、これじゃ両方目線的にはあるなって思ってるのと。1個目の前者の方でいうと、普段報道番組に出てるってお話させていただいたと思うんですけど、それがなぜかっていう話にも繋がっていて、アクティビスト的にそういう企業さんたちを増やしていきたいっていう気持ちもあるし、そういうアクションを増やしていきたいっていう気持ちもあるし、それによって痛みを感じる人が少しでも減ってほしいという思いもあるんですけど。でもそれをやっていく過程で、企業さんの中にもそう思ってる人は当然、たくさん私がロビイング活動をするまでもなく、たくさんいらっしゃって。でもその人達がそういうアクションができない障壁みたいなのが、また企業の中にもあったりして、例えば担当者の人はそう思ってるんだけど、こう上進していくとなかなかこう通らないと。例えば女性活躍みたいなことも、今ではだいぶ言われるようになってきましたけど、それは一部の人たちが思ってることだから、うちは関係ないよっていう人ももしかしたらしたらいるかもしれないとか、社内の中でいろんなマイノリティーの視点とあると思うんですけど、その担当者の人は思ってても、社内でそれをどういうふうに動かしていったらいいかっていう障壁があったり。逆にいうと、その企業が思ってても、もう意思を明確にするっていう文化ではなかなかなかったりするので、もう悪目立ちしてしまわないかとか、良かれと思ってやったのに炎上しないかとか、議論を炎上って捉えがちな文化だったりするので、何かそれがリスクにならないかとか、株主の人達に何かネガティブな影響がないかとか、あるいは生活者の人たちにこう何て言われるかとかという怖さがあると思うんです。なので向こう側が見えない生活者の人たちが見えてないところに、自分の意思を持って飛び込むってかなり勇気がいることなので、じゃあメディアに出て、そういう発信を普段から生活者側とか社会側とか世論側の中で土壌を作っておきますということも一つかもしれないですし、いち生活者としてこうSNSで発信して、そういう空気感をこう私も一個人としてつかんでいくみたいなことかも、そうですし、企業さんが意志を持ってる企業さんが動きやすくする土壌を作るっていうのも一つのアクティビズムだったりするので、個人としてはそういう活動も結構意識を持ってやってたりしますね。

伊藤穰一:最後の質問なんでしうが、女性の健康に関する何かプロジェクトをやったって聞いたんですけど、ちょっと話してくれますか。

辻愛沙子:LadyKnowsっていう自社プロジェクトをやっていて、これはもともとFACTFULLNESSという本があったと思うんですけど、それを読んでた時に。なんとなく人間ってこう自然にドラマチックな方向に思考が暴走しがちなんだなってのを改めて気づかされて、何かいつの時代もそういう悲しきものって常にあり続けるみたいなイメージがあって、でもデータで見てみると、飢餓ってどんどん減ってるんだなとか世の中ってちゃんと良くなってるんだなという。すごい希望を感じて。でも人の頭ってついつい何かこうそうじゃない良くなったないっていう方向に認知的に行ってしまったりすることってあるなっていう気づきがあったので、じゃあそれをジェンダーの観点でいうとどう考えるかっていうと。例えば。男性対女性。うん家庭に入られてる女性とうん、フルコミットで働いてらっしゃる。女性ととか結構こう本来、そこの2つって感じてる痛みは違うんだけど、それぞれ生きづらいなと思ってる領域があるとしたら、それの形は違うんだけれども、ルーツは実はさっきお話したみたいなこうステレオタイプみたいなとこだったりしてて、実は同じところに根っこがあるんだけど、表面化してる課題を違ったりすることってよくあって。でも表面化するものが違うので、男性対女性とか働いてる人対家庭に入れてる女性とか結構対立構造で語られがちなんですね。

辻愛沙子:お互いが闘い合うんではなくて、社会の構造を理解して共に課題に向き合うみたいなことってどうやったらできるだろうみたいなことを同じタイミングで考えたときにFACTFULNESSを読んでたので、じゃあまずジェンダーにまつわるデータを求めてみようと思って、例えばさっきお話しした無痛分娩の各国比較とか、あるいは上場企業の女性役員の割合とか賃金格差とかいわゆるジェンダーギャップとかジェンダーにまつわる話の中でよく挙がるトピック、選択的夫婦別姓の話とかをファクトベースで届けるっていうのを、普段デザインをやっている会社なので、行政が出してるデータとかめっちゃ見にくいので、それを分かりやすくグラフにして記事をつけて届けるっていうのをやり始めて。で、その中で20代30代の若い女性の健康診断の未受診率受けてない人の率がものすごく高いっていうデータに出会いまして。男性と比べても、男性も含めて全体的に日本は未病医療というか、病気になる前の医療の意識がすごく低いと言われてるんですけど、その中でも特に例えば30代というと、女性半分弱ぐらい40何パーセントぐらい受けてない人がいるんですけど、男性でいうと20何パーセントとかでいやいやダブルスコアぐらい差が開いていて、これって意識だけの問題じゃないんじゃないかなと。ここまで乖離するのは半分近く受けてないって相当だなと思って、いろんなデーターを見ていくと、正規雇用が少ないとか、例えばご結婚されてとか出産されて退職される方が30代でがっと女性が増えるので、正規雇用じゃない人の割合だったりとか、あるいはそれゆえの賃金格差だったりとかで、一応扶養に入ってたら保険受けられるけど、受け入れる範囲も限られてたりとか、結構こうキャリア的な話だったり、それこそジェンダーギャップ的な話だったり、身体的な不均衡によるものだったり、賃金格差によるものだったり、そういうこう別の領域が理由になったそうだなということを思ったので。

辻愛沙子:結婚式場トランクギャラリーっていうめっちゃ入るオシャレな結婚式場があるんですけど、そこ1戸を借りて1階をミュージアムにして、いろんな展示を作ってで2階をチャペルなんですけど、普段はそこをトークイベントの場所にして3階4階は健康診断書にするっていう1棟まるまるで婦人科検診をやってみたんですけど、ポップアップで普段女性のヘルスケアにまつわるプロダクトを作ってらっしゃる会社さんに今マーケティングの場所として捉えていただいたりとか、あるいは健康啓発だったりするので、CSR的な観点で捉えていただいて、企業さんにスポンサーに入っていただいて、そのスポンサー費から健康診断の費用を捻出するっていう構造にして500円のワンコインで受けられるレディース特区っていうのをやってみたんですけど。ようやくオープンして即日完売したんです。オシャレな場所でSNSでみんながインスタで写真ミュージアムで撮ったりしてあげてくれたりすると話題にもなっていくので、これ何よってなって行ってみたいってなったりすることもあったりして。北風太陽両方のアプローチを一つの場所でやっていくと、何か変化の起点みたいなものって生まれるんだなっていうのをポップアップだったので、サステナブルなものじゃないんですけど、すごく学びに私自身の学びにもなるほどなった取り組みですね。

辻愛沙子:ということで、ちょっと前半私がたくさんお話ししてしまったので、今度ちょっと私からもういくつか質問させていただけたらと思うんですけど、仕事がを始めたのが大学在学中のときで。一番最初会社員から始まってその途中で独立したんですけど、大人になってから学びたいことみたいなのがすごく増えてきていて。実際に仕事を始めてみたら、学びがすごい外にたくさんあるなんてすごい。息ができているみたいな感覚に仕事始めってなったんですけど。ただ、一方で仕事をたくさんやっていく中で、今7年目6年目か7年目ぐらいなんですけど。仕事すればするほど、逆に学んでみたいこと。それはアカデミア的な領域の中で学んでみたいことがすごく増えてきていて、特に人文学系のことだったりとか、社会学系の話だったりで、大学で受けてみたい。授業とかも増えたりしていて、もうこういうことってあるんだなと本もすごい好きなんで色々読むんですけど、思ってる今日この頃で、一番最初DJの時代の話とかもあったと思うので、何か大人になられて、もういろんなお仕事されてきた中で、学びをどういうふうに捉えてるのかとか、学問みたいなことにどう向き合ってるのかみたいなのをちょっとお伺いしてみた。あと、大学は卒業すべきか否か論とかあると思うんですけど。

伊藤穰一:多分いくつかあるけど、まず人それぞれ。たぶん学び方とか自分のモチベーション出し方って違うと思うんで、その人によって違うと思うんだよねんで。たぶんその何かやるためにものを学ぶ。はい。それから学んでからやるっていうまず、それ2つ、根本的に違ってで、やっぱり準備全部できないとやりたくない人達とちょっと失敗してもいいから学びながらっていう、それまず性格の違いがあるし。

辻愛沙子:ちなみに、Joiさんはどっちですか?

伊藤穰一:僕はやりながら学ぶ。学ぶことが楽しみっていう人って結構それが一つ、プロジェクト型がいて、ただあと世の中がの変化が遅いと、あんまり世の中で変わんない時ってあんまり学びを続けなくてもいいのね。だから、あの昔、特にゆっくりの産業だと学んで学んで学んでで大人になったらもうそれを繰り返すだけ。だから、そんな学びから生産に入るよね。そういう人たちってあんまり今度学び続けなくてもハッピーになれる人の方が、だからお金の蓄積でハッピーになって学びがなくてもいいっていう職業とか性格ってあるんだけども、こう変化が激しいIT業界だとかトレンドとかはこう学び続ける。だから、子供の時は学ぶけど、大人でも学ぶっていうのが多分、今の世の中には合ってて。もう一つはやっぱりみんながそれぞれ違うから、こう学校で、いろんな学び方を学びながら、外に出て多分、愛沙子さん、そんな感じで学んで。で、学んでいるうちに、またこれも学びたいなっていうのが好奇心とか出てくると思うんだよね。で、今、インターネットとか昔なんか覚えてないかもしれないけど、昔って検索できなかったようなよく飲み屋で何かフィンランド人口は何人かっていうのをもう1晩中喧嘩してた時代ってやっぱ携帯で検索できないから時間だけあって、その時代は学校に知識があるで、その知識をもらいに学校に行ってたんだけども、今は知識はもうネットワークにあるし、あとエキスパートもネットワークにあるので、そのネットワークの使い方とモチベーションの持ち方と学び方を本来大学が教えるべきでで、その知識そのものはもう世の中にある。

伊藤穰一:だから、やっぱり今でも、ただその情報をこう自動販売機のように、子供に押し込んでそれを試験で検証するっていうのって結構もう僕は古いと思うんだよね。で、そういうそういう職業はなくはないけれども、ほとんどの職業はあまりにも変化が激しいし、あと技術って今、若い子達の方が上の人よりもわかってるから、ちょっとやっぱり合わないよね。その上の人が下の人にスクィーズをしている。だから、そこは多分変わんなきゃなくて、後はその大人になってから学び続けなきゃいけないっていうことは、これ自律的内在的にこうモチベーションが出てくるのが必要で。で、これ結構教育学とかでも出てるんだけども、ちっちゃい子達がやっぱり遊びで学ぶっていうことは、自分のモチベーションで学んでいるわけじゃない。はい。んで、先生とか親に言われたものを勉強して試験でやるっていうのはこれ何かっていうと、命令に従ったことをこなす、ノウハウなんだよね。で、これはトップダウンだとか。大量生産だと結構その必要なんだよね。みんながきちっと兵隊とかがやる。ただ、今の世の中って言われたことを、きちっとこなす人は日中には必要だけれども、どっちかっていうと、みんなが自分達でいろんなこと考えて色んなこと試してね、イノベーションが起こすっていうのが必要で、そうすると、やっぱりその遊びを学んで、その自分でこう上に誰かが立ってなくてもモチベーションわくで、それをやっぱり本当は子供の時に学ばなきゃなってで、それには多分、今の学校のあり方が変えなきゃいけないかなと思うんだけどね。

辻愛沙子:確かにめっちゃ面白いです。何かよく、中学校の時に日本で中学校までは幼稚園からずっと1貫校通ってて、中学で学校を辞めてでを海外に出てボーディングスクールに通って。

伊藤穰一:どこですか。

辻愛沙子:最初英語が全くされなかったので、イギリスの語学学校に行って、中学がスイスででアメリカの高校を出て。大学で日本に帰ってきたんですけど、日本も大好きなので、大学で日本に帰ってきたんですね。ファッションも音楽も日本のものが大好きなので、食べ物もでもやっぱり教育ってことでいうと知識を学ぶっていうさっきおっしゃったとこと何かそのモチベーションは新しい気づきでなるほどなってすごく思ったんですけど、モチベーションの生み方を学ぶみたいなことと、あと思考を学ぶみたいなことってあんまり日本の学校でなかったなと振り返ってみると。違いを比較すると思っていて。何かこう、もうそれはさっきおっしゃってた内在的なこうモチベーションとかあるいは。自分での責任の取り方を学ぶみたいなことで近いのかもしれないですけど、何か私、何を学びたいんだろうなとか、何が面白くて何が面白くないと思うんだろうなとか面白くないものもやらなきゃいけないんですけど、何かそんなことを必然的に考えたりとか、授業の中でも黒板に書かれたものを板書するだけっていうよりかは。某会社の言葉みたいですけど、あなたはどう思うのとか、あなたはどうしたいのとか。実験とかでもそうですけど、そういう問いかけが多くてフィールドワークがすごい多かったなと思うので、何かそういうこう知識だけじゃない知識ももちろん大事なんですけどおっしゃるとおり。ググれば出てくるので、思考するやり方を学ぶみたいな思考する癖を作るというか筋トレと同じで、そういうトレーニングは確かにあったかもしれないなと改めて思ったんですけど、大人になってから学び続けられる人ってそんなに多くない気がして、その学びもビジネス書のとことか行くとなんかこう上に上がっていくかってくみたいな本が多かったりするじゃないですか。でも何かそうじゃない。もうちょっとこう視点を広げるとか。好奇心をくすぐられる新しい学びを得るとか、何かそういうこう上に上がっていくだけじゃない。横に視野を広げるとか、文化を深掘ってみるとか、そういう学びがすごい。今の大人に少ない気がしてて。

伊藤穰一:そうだね。だからこう死ぬ気でうん学ぶっていうのと、やっぱり競争のために学ぶのとやっぱり遊び?だから、結構、その子供の要素って遊びとか、喜びだとか。あとソーシャルだとか。後はそのびっくりするとか笑うっていうのって。笑いって何かっていうと笑いって学びの表現なんでね。笑いとかって思ったふうにいかなかったものをおかしいと思ってリワードしるのね、脳で。

辻愛沙子:確かに。

伊藤穰一:だからこうやっとびっくりした手品だけどもびっくりした。びっくりって何かって言うと思った通り行かなかったものが面白い訳で、それってそうやって学びなのよで、それやっぱり子供のこう大人があまりびっくり。好きじゃないんだよね。で子供は結構微くすぐられても子供は好きだけど、大人になるともう嫌じゃない?

辻愛沙子:確かに。わー雪!とか、わー雨!とかですもんね。

伊藤穰一:そのその事実に対する違和感を楽しむのが、子供の要素でで、そのまんま大人になっちゃうと学び続けられるんだけども、その思った通り行かないと不愉快になる大人っていうのがそこでそういう遊び的学びはなくなってるんだよね。

辻愛沙子:確かに。それめちゃくちゃありますね。

伊藤穰一:で、日本の子育てって早く大人にさせるじゃない。お利口さんていうのってだいたいこうきちっと座ってマナーよく、おっきい声出さない子供なので。だからやっぱり、そこからもう変えないと、もう子供の時からも大人になっちゃってる子結構いて見ててちょっとかわいそうだなと。

辻愛沙子:ほんとうに、おっしゃる通りで。その2、3年前、コロナの前だったんですけど、高校生の方々と話をする機会があって。週末の日に何してますかとか、最近興味あることなんですか、趣味なんですかみたいな話を聞いたらあの。私、何か喫茶店に行くのが好きでするとか、このゲームが面白くてとか、フォートナイトばっかりやってますとかね。そういう話が出るかなって思ったら何かちゃんとしなきゃとか、大人と喋るからとかそう思ったのかなと思うんですけど。あの。何か。将来はマーケティングの仕事がしたいので、何かインスタを使ってみたかな。すごい難しい話をしていて、すごいなとは思うんですけど。あのー、もっとまずそれをあなたがやりたいのかという動機のところがなかなか見えてこなくて、何か正解を出さなきゃみたいな、ちゃんとしなきゃみたいな抑圧が社会にあるから、こういう発想に高校生なんてどこまでも自由に楽しめる時間のはずが、そういう思考になってしまいがちなんだなと、それを悪いとは言わないですけどでちょっと思ったのを思い出しつつ、ちょっと全然違う話も質問していいですかすいません。もう1個。

辻愛沙子:大学でもそういう学部間連携とかもされたりするわけじゃないですか。そういうこう垣根を越えて越境して一つの方向に向かっていくとか、一つのアクションを共にやるみたいなことのコツがあれば、すぐに教えというか。

伊藤穰一:これは僕は最初のプロジェクトの話に戻ってくるんだけども、理屈の議論になると、やっぱり相手の存在意義を否定したり、言葉が通じなかったりする。学問上の。議論ていうのは結構実りがないで喧嘩になるんだけども、何か作る。例えば、その教育ロボットをロボット学者と人類学者人類学者と教育学者が一緒に作ろうとするとで、相手に子供がいたりすると、もう動く動いてるかどうかって何か見れば分かるしでミッションがあるし。でコラボレーションになってるから凄くいいんだよね。だからやっぱり具体的なものをみんなで作って作りながら学ぶで自分の絵だけど、建築家ってそうなんだよね。やっぱりこういう工具木材の専門家だとかデザイナーだとか。色んな人達がコラボレーションして建物ができてね。それが美しくて機能的なエネルギーい比率がいい。何か建物ってみんな美しいと思うのとおんなじで、だからやっぱりものづくりだとか、プロジェクトを中心に置くと結構、こういう異業種のコラボレーションもできてで、メディアラボの時は僕らはディスプレーには入っていて脱専門性。その今までみたいにこの大学ってこうどんどんどんどん狭い分野はどんどん深く掘っていくで、その間の空間の方が実は広かったりしてで大学って大体学位と研究費っていうのは学問のとこに入っちゃうんだよね。はいで何かこれアメリカの諺なんだけども、その酔っ払いが常にその伝統の下で鍵を探してるんでで、もうそこで落としたかっていうと違うんだけども、そこでしか見えないからそこで探してるっていうので、学問って結構光が当たってるとこしかいけない。だから、やっぱりその脱専門性をやるためには、学校が何が必要かって言うと、やっぱり今の学位がないところにお金とか何て何て言うか。その可能性をこう流してあげないとどんどん学位と離れちゃってて空間が入っちゃってるんで。だからこれは今の大学のあり方ってすごく難しくて建築だとか。応用の方でやらなきゃいけないんじゃないかなとんでね。

辻愛沙子:なるほど、それこそビジネスでも業種間を繋ぐところに今お金流れないよねって言うんですね。面白いそういう中、越境して繋げていくある意味でのプロデューサーみたいなそういう人がもっともっと社会増えていくと、それこそ社会とビジネスを繋ぐもそうですし、より良くなっていくのかもしれないですね。

伊藤穰一:で、それで愛沙子さんのそのアクティビストのところに戻るって思うんだよね。こうそもそもこういうことやりたいやるためには何でもやります。そうすると、業種間が結構埋まると思うんですね。

辻愛沙子:ほんとそうで。手法は極論言うと、何でも良くて。社会がより、インクルーシブでより自由なものになっていくのであれば。という感覚なのででかつ平和になってくるとある分野で、その手法として今自分がとれる方法はこれなので、こういう方向に行きたいので、一緒にやる人みたいな感覚だったりしてて。何かそういう。なので最初にも改めて戻りますけど、意志を持って意志を声に出してで、それも別にすべての人を巻き込む必要はなくて、意志を共にできる人たちと出会うために旗揚げをするみたいなことで、改めてすごくアクティビストとしてもアクティビズムカンパニーとしても大事なことだし、もしかしたらきっと進む先は間違ってないなと見とれて思いました。ありがとうございます質問攻めにしてしまいましたが。

伊藤穰一:じゃ愛沙子さん。はい。今後の抱負があれば教えてください。

辻愛沙子:はい。私95年生まれで、今26歳なんですけど、日本という失われた30年って言われがちでこう経済的にも停滞していて。出生率もどんどん下がっていて、大丈夫かみたいなことがやっぱすごく多いわけじゃないですか。今で何かこう日々見てるとうん。すごく平和のいい国である一方で、なかなかこう主体性を持って自分たちの国に向き合うみたいなことができなくなっている。国にどんどんなっていってるなというのを日々感じていてで、なので26で言うと失われ続けてるんですよね。失われた30年なので。生まれてこの方、ずっと失われ続けてるので、何かそういう環境の中でうん。それはそういうものと諦めたくないみたいな感覚がどこかにあってでarcaっていう会社は方舟っていう意味なんですけど、ノアの方舟が豪雨が来るぞと思って、あの告を受けてカンカン照りの時に方舟を投下とか作ってみんなに晴れてるのに、何やってんのわけじゃないのって笑われながらも作ってそしたら大洪水が来てで、その時笑った人達もそうだし、いろんな動物たちも人間だけじゃなくて、本当に多様性の極みだなと思うんですけど、いろんな人たちを乗せて走る船になってっていう物語がすごく好きであるかって付けたんですけど、今例えるならば本当洪水なのか洪水やや手前ぐらいなのかっていう時代だと思うんです。なのでそういう中で、まだ日本をそういうもんだからと思わずに、何か今の私よりも更に若い人たちだったり、私たちの世代が優秀な人たちは、みんな海外に行くぞみたいなムードがあったりするので、そういう気持ちはわかるんですけど、何か少しでも主体性を取り戻して、自分たちの未来に自信と可能性と希望を取り戻せる。文化を少しでも少しでも作っていくために1個ずつ、さっきのステレオタイプとか、そういう障壁になるものを取り除いていきたいなと思うので、日本に希望をもたらすために何ができるだろうみたいなことをちょっと大きな話ですけど、あの思ってたりします。

辻愛沙子:最近、結構企業の炎上が増えてるなと思ってて、それは一概に悪いことではなくて、昔は無かったことにされてた人たちの痛みとか、あるいはもう軽視されてた倫理的問題とか、そういうことがちゃんと指摘されるようになったりとか、問題視されるようになってうん。そういうこうちょっと何て言うんですかね。浄化されていくプロセスに今ある転換期だと思うので、もうそういうことが起こり得ると思うんですけど。ただ、その辺時代の変化のスピードが早すぎて。個々人のアップデートが追いつき切れない時代になったんじゃないかなと思ってて。なので大事なことはわかるんだけど、どうしたらいいかわからないっていう人たちが特に価値観のアップデートみたいなことで言うとすごくたくさんある気がしていて、何かそういう中でそこに対して提供できる学びがあったりとか、サポートがあればいいなと思うので、特にジェンダーの視点が最近は炎上でいうと多いので、これの何が問題だったのかとか。一回一回何か炎上とかBUZZで終わらせずにちゃんと知見をストックしてビジネスパーソンが学べる土壌とかガイドラインというかみたいなものをフローではなく、ストックでつくっていきたいなと思って、ちょっと今プロダクトを準備してたりして。

伊藤穰一:失敗とか間違いのときには学びにつなげないともったいないですよね。

辻愛沙子:そうなんですよね。何か炎上して退場して叩かれて何か問題になったねって何が問題だったのかを因数分解せずに語ってしまうと、みんなそれが怖くてそういうトピックフレームをやめようってなっちゃうので、それも本質的じゃないなといて、問題の因数分解をちゃんとしていきたいなと思います。

伊藤穰一:本当に今日は面白い話、ありがとうございました。

辻愛沙子:こちらこそです。勉強になりました。楽しかったです。