今回は、シビックテック集団として知られるコード・フォー・ジャパンの代表理事、関治之氏に登場いただきました。 関さんはこれまで、オープンソースの技術を応用して数多くの社会的課題を解決してきました。関さんが手がけてきた東日本大震災の被災・支援情報を集約するshinsai.infoや、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトなどももちろんオープンソースによる賜物です。 伊藤穰一もこれまで、クリエイティブ・コモンズや、ウェブブラウザーのFirefoxを開発するMozilla、オープン・ソース・イニシアティブ(OSI)で理事を務めるなど、オープンソースを推進する活動を行なってきました。 そんなオープンソースをこよなく愛する二人が、日本や世界のオープンソースを取り巻く現状について大激論。これからを見据えた新しいオープンソースのあり方などについて話し合いました。
【JOI ITO - 変革への道- Opinion Box】 番組では、リスナーの皆様からお便りを募集しています。番組に対する意見はもちろん、伊藤穰一への質問があればぜひ投函ください。先日からイーサリアムのアドレス記載欄も設けました。伊藤穰一が「これは!」と思った方には本人から直接なにかが届く......かもしれません!アドレスの取得方法などは、下記編集ノートに記載してあります。ぜひチャレンジしてみてください。
【編集ノート】 伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちらにまとめてあります。
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Podcast Transcript
伊藤穰一: みなさんこんにちは。伊藤穰一です。今回は、以前行われました変革会での模様をお伝えしたいと思います。
伊藤穰一: 変革会には、Code For Japanの代表理事を務める関治之さんをゲストにおよびしました。すごい盛り上がったので是非お聞きください。
伊藤穰一: 今日はゲストは関さん。Halさんってよくネットで呼ばれてるんですけども。最近会ったんだけども、もっともっと昔から本当は知ってるべき人だなと思って。で、会ってみたら、何か実はすごく近くにいたっていう。なんか「デジタル庁助けてよ」って言ったら、いや私デジタルにいますけどね。「ごめんなさい」って感じだったんですけど。ちょっと自己紹介してもらっていいですか。
関治之: はい、ありがとうございます。関といいます。Halさんとか言われてますけれども、自分自身はエンジニアです。で、オープンソースソフトウェアをいろいろ活用する中で、いろんな活動をやってるんですけど。自分で営利企業もやってますし、あと非営利団体も経営したりしています。たぶん今日のコンテキスト的にはですね。Code for Japanと言うのが結構中心になるかなと思ってるんですけれども。ま、非営利団体ですね。コミュニティをやっています。僕はインターネット大好きになったんですけども。それで人々はつながってですね。そういう色んなことが可能になったわけですけど。まあ、行政とか、そういった、ちょっとまだ変わり切れてないような部分、そこもオープンソースの何か力で変えていけるお手伝いができたらなと思って。今はそういう活動に結構、注力をしています。
伊藤穰一: さっき出た、Code for Japanの話をもうちょっと聞きたいんですけど。いつ、どうやってできて、どういう組織なんですか。
関治之: Code for Japanは2013年に立ち上がったんですけど。それより前に東日本大震災があって。で、その時にいろんな情報ボランティア活動みたいなことをやる中で行政とかって、もっとデジタル活用することでいろいろとできるんじゃないかっていうふうに気付いて。で、Code for Americaっていう団体が、その当時活動してて。でその活動をヒントにで日本でも同じようなことできるんじゃないかと思って、2013年から始めたという形でですね。その時から仲間を集めて草の根でやりたい人たちが集まって、やりたいことをどんどん進めていく。それをネットワーク的につなげていく、みたいな活動をずっと今でも続けています
伊藤穰一: 今、どういうところに、どのぐらいの人数でどんな活動をやってるんですか?
関治之: 複数の活動があるんですけどひとつ一番重要なのは、我々は「ともに考えともにつくる」って言ってるんですけれども。地域の人たちとか、課題を解決したいような若い人たちとか、そういう人たちが何か行政とか公共サービスにただ文句を言うんじゃなくて手を動かしながら、課題を解決していくそういうコミュニティ作りをやっています。そのコミュニティーづくりは、各地域日本のいろんな地域でコミュニティーが活動してまして。今、国内で80地域ぐらいで、Code for SapporoとかCode for Osakaとかそういう団体が活動しています。で、それらを僕らがコントロールしてるわけではなくてそれぞれ独立した団体で、我々はゆるくそのコミュニティーとして、横をつないでいるみたいなことをやっています。で、もう1つCode for Japan本体でもハッカソンをやったりとかシビックテックっていうんですけど、そういうアクセラレーションプログラムをやったりとかあと自治体向けにいろんなデータ活用のワークショップをやったりとかそういったことをやっていて、で、Code for JapanをSlackのワークスペースがあるんですけどそこにはだいたい5千人ぐらいが参加して、いろんなことをやったりしているっていう感じですね。
伊藤穰一: そのCode for って言ってるけども実際にコード書く内容とそれ以外の内容ってどんな感じなんですかね?
関治之: 結構ですね。Code forって言ってるのですごいエンジニア集団だと思われたりしてるんですけど、実際にはたぶんエンジニアは3分の1ぐらいだと思います。でやってる活動もあんまりこう、そのTech Techしてるわけではなくて。もちろん何か開発したりするプロジェクトもあるんですけど。さっき言ったように、こうデータを活用するためのワークショップを自治体と一緒にやったりとか。あと街づくりですね。Make our Cityって言ってるんですけど、その何か街に対して何かやりたいって思った人が手を挙げてアイデアを出して、それに対して周りの人たちがチームを作ってで実際にこうプロトタイピングをしていくみたいな。そういった活動をやったりしています。で、そういったのって別にエンジニアだけでできないじゃないですか。なので普通に地域で活動している人とかもいますし。そのいわゆるこう企業でプランナーみたいなことやってる人もいますし、営業みたいな人もいますし、っていうことで普通の会社と実はチーム構成はそんなには変わらないかなとは思いますね。
伊藤穰一: なるほど。で、なんか実は村井純先生とこないだインタビューしていてそして、こういう風に言ってるんだけども。
村井純: 日本ではね、震災の度にやっぱデジタルテクノロジーの意味っていうのが出てきたし、やっぱりこの国はそういうね、デジタルテクノロジーをうまくつかって、こういう災害に対して、どうやって人を助け合うかとか人の命を救うかとか、そういう視点でテクノロジーを使っていくっていう歴史があるんだよね。
伊藤穰一: ちょっとさっき、その話もしたんですけども、何かそういうテクノロジーがそういうときにすごく役に立った事例とかって何かありますか?
関治之: まず東日本大震災の時にシビックテックと呼ばれるもののような活動のはしりみたいなのがすごい起きてきました。例えばJoiさんも、セーフキャストっていうのをやってたんですけども、あれと似たように我々もその地域の人たちが災害の情報を集めて地図上にマッピングをしていくっていう活動をしていました。それとかはやっぱりニュースとかって地名だけ言われてもあんまり土地勘ない人は分からないんじゃないですか。それを地図にまとめていくことで、より近くの情報がわかるみたいなそういう効果がありました。で、インターネットなんで、クラウドソースでいろんな人達がジョブを入れられる。で、今回コロナが発生した時もたくさんのサポート活動っていうのが生まれていて、例えば東京都が新型コロナ感染症の対策サイトっていうのを作ったんですけど。それを我々Code for Japanがオープンソースで開発させていただいてで。それをオープンソースで作ったので、よりいろんな人が、サイトの見栄えを良くしたりとか、機能追加したりということの改善はお手伝いできました。そうするとこうサイトがどんどん日に日に勝手に良くなっていく、みたいな。
伊藤穰一: それ聞いて、僕も「な、なんでこのサイトこんなに格好いいんだ」と思ったら。「あ、やっぱり!」って思ったんですけど。で実は、次のゲストは台湾のデジタル大臣のオードリー・タンなんですけども。何かオードリーも何かそれに関係してたって聞いたんですけど、どういうつながりなんですか?
関治之: 元々、台湾でオードリーさんが始めたg0v(ガブゼロ)っていうコミュニティーがあって。それもCode for Japanと似たようにシビックテックを推進している団体なんですね。で、同じ時期に始めていて。結構その前からですね、僕らが台湾のカンファレンスに遊びに行ったりとか、逆にオードリーさんがCode for Japanのワークショップに来てくれたりみたいな、そんな感じで交流があったんですね。やっぱりすごい。彼らから学んだことはめちゃくちゃ多くて。でそういったことをやる中で今回コロナが発生してさっきの東京都のサイトを作ったときに、オードリーさんが我々のGitHubのリポジトリを見てですね。漢字が1文字、その間違ってるわけじゃないんですけど、この書き方の方がいいみたいな提案をこうプルリクエストしてくれて。すごい夜だったんですけど、それはすごい興奮しましてね。すごいと思って。
関治之: そのオードリー自体はそれより前からですね。我々のワークショップで全然有名になる前に我々のワークショップ来てたりとか。僕も実際向こうで直接話をしたりとか、もともと関係はありました。非常に仲良かったんです。で、逆にもうコロナ後めちゃくちゃ有名人になっているという感じで。まあまあ確かにすごい人だからすごい話題にはなるよなとは思いました。
伊藤穰一: 僕もオードリーのことを周辺で見てて、本当にオードリーがやったそのg0v(ガブゼロ)とか見てると何か凄いコミュニティーがvibrantで元気なような気がするんですけども。それに日本と比べて台湾でどんな感じだと思いますか?
関治之: 台湾はですね。これはもう、向こうのカンファレンスとか言ったり向こうの人たちと話すと、感じるのは非常に若い人たちがものすごく積極的に、その社会を変えるっていうことに対してコミットしているっていう姿勢ですね。オードリー自身、結構若くしてデジタル担当大臣に抜擢されているところもすごいですけど、やっぱ彼女だけじゃなくてg0v(ガブゼロ)のコミュニティーが今、1万人以上、Slackとかにもいるんですけど。やっぱりいろんなアイデアが常に出てきていて。で、それをどんどん手を動かして実装していくようなエンジニアとか持っていて。でだからそこら辺の勢いみたいなものが日本に比べるとやっぱりすごい。こう、やっぱり危機感もあると思うんですね。メインチャイナに対する危機感とか。だからすごく危機感の違いとその行動力のアクティブさみたいなものがだいぶ違うなって思いますね。
伊藤穰一: なので危機感って大事ですよね。これ、よく諺であるんだけど。ゆっくりと動くと危機感が上がんないから、結局動きづらい。何か、台湾みたいにこう目に見える危機感を感じてる方が元気で。僕、中近東に住んでるとき、よくベイルートとかの人達と話していて。で、彼らもあの戦争で育ってるんだけども、すごい元気なんだよね。んでやっぱりこう生きてて良かったみたいな、普通のもののありがたみの中で暮らすと、なんか逆にハッピーになるって感じがしてて。そして、そのアメリカもそうだし日本もそうだけども、逆に豊かだから何か豊かが普通になっちゃって。その普通の中で何かエネルギー不足になっちゃうような気がして。だから不幸をこう、願うのはおかしいからそれは良くないと思うんだけども。こう目に見えない危機っていうのがなんとなく一番、実は危ないかなと思っていてですね。そういう意味で僕、最近見てて思うのは、環境問題の危機がみんな多分感じるようになってきたので。で、環境問題の良さっていうと変だけども、世界がみんな一緒に入ってるから多少。だからそういう意味で言うとポジティブな動きが出てくると思うんですけども。その今Code for Japanとかの中でもその環境問題って、どのぐらいの話マインドシェアなんですか。
関治之: マインドシェアとしてはですね、もちろんこう世間一般よりはその強い危機感を持っている人が多いと思います。が、例えば具体的に、プロジェクトがどれだけ起こっているかというと、残念ながらもうちょっとこう具体的な、例えばコロナで起きたような活動に比べるとまだまだ、例えば台湾とかに比べるとプロジェクト数は少ないのかなとは思いますね。
伊藤穰一: なるほどね。で、ちょっと聞きたかったのは、オープンソースで他でも言ってるし例えばサイバーセキュリティーの戦略でも何かオープンソースとかいろんなとこで言葉は出てるんだけども。オープンソースって、そのオープンソースのコミュニティがすごく重要だったりお金で別に作れないし、あとはそのはこうなんだ調達のし方からプロジェクトのやり方も全部変わるじゃない?で、今日本ってのオープンソースに対してどんな感じで本当に全部オープンソース化って可能なのですか?
関治之: まず日本がどんな感じかというと、結構オープンソースに関する認識って日本の国内では10年前ぐらいから変わってないと思うんですね。あんまりそのオープンソースコミュニティーが正直育っていないですし、企業側もオープンソースはあんまりこう戦略として取り入れてるようなところは少ないと思います。まあ使ってはいるし、多少コントリビューションもしているけれども、戦略的にそのスタンダードを作ろうみたいなものか自分たちの作ったものをオープンにしてその影響力を持とうみたいなことをやっている企業は少ないというのが、残念ながら現状だと思います。自治体なんかは特にそうです。政府と地方自治体で、年間1兆円ぐらいですね。そのIT予算支出してるわけですけども、そこの中でオープンソースになってるものも、ほとんどないと思いますし、政府側も別にそれを条件に入れたりしないんで、なかなかそれを例えば今からオープンソースします、っていうのはかなり時間のかかるチャレンジですね。
伊藤穰一: こないだTravis OliphantっていうのNumPy作って話したけど、結構みんな何パーセントをオープンソースになるべきかっていろんなターゲット言ってて。6割なのか7割など、いろいろあるんだと思うんだけども。だから全部ではないと思うんだよね。だけど、もっともっとなるべきだと思うんですけども、それはおんなじですよね?
関治之: 同じです。連邦政府とかが数年前に、これからする調達のうち20%をオープンソースにするみたいなことを挙げましたけど。日本もそういうような、その何パーセントぐらいはオープンソースにしようみたいなことはやった方がいいですし。地方自治体が1741あってそれがそれぞれスクラッチで作ってるって普通に考えてやっぱり非効率だし、やったほうがいいとは思うんですよね。
伊藤穰一: 確かね、Code for AmericaのJenne Pahlkaだったと思うんだけども。ポリシーとして、何か作る前にまず既に存在してないかっていうのを調べて。でそれがオープンソースだったらなるべく、どうしてそれに貢献しないかっていう説明をしてから、調達だったり、作るって言ってるんだけども。そういう何かベーシックなことをやれる、それこそデジ庁でそれのexampleにしてもいいと思うんだけども。僕も何か構想会議みたいなちょっと遠くて見えない距離でしかいないんだけども、話せないこともあるかと思うんだけどももうちょっとそのデジ庁みたいなところの中でそういうベストプラクティスというのって作っていく動きとかってあるんですか?はい。
関治之: それは、実際たとえばcocoaとかは今、バグがあったせいで、なかなかこう信頼感がまだないソフトで。僕が今そのプロジェクトに関わってるんですけど、それとかは今オープンソースで公開をしてですね。いろんな人が関われるようになっていますし、あと実はその最近ちょっと話題になっている。そのPLATEAUという国土交通省が作って公開しているソフトウェアなんかは、オープンソースがベースになってたりするんですね。なので活用していくための体制作りっていうのは着々と出来つつあるので、あとは認識が変わっていって、いろんな調達の中にそういう条件が入ってくることだと思っています。
伊藤穰一: でも結局、今度は、じゃあ何パーセントでやろうって言ったときに、それを作る人が必要で特に地方にそんだけ行くとそのCapacity Buildingっていうのかな。その人材育て?それは学校とかもちろんなんだけども、それこそCode for Japanみたいなのがそのキャパシティをサポートしていくっていうのはあるんですか?
関治之: まさにそういうコミュニティーにしていきたいなと思っていて。すごいおっしゃるようにオープンソースってやっぱコミュニティが必要で。海外だとやっぱりそれを企業が支えているっていうのがいっぱいありますよね。でだから我々ももちろん頑張りますけど、その普通のIT企業側がオープンソースを使って、どんどんこう逆に調達とかも「オープンソースを使った方がいいよね」っていう世界になって、そういった形でちゃんと給料をもらってオープンソースコミュニティーでこうコントリビューションするとか、逆にオープンソースコミュニティーからはハイヤリングしてシステム開発するみたいなそういう動きが出てこないと、多分ちゃんとは広がらないとは思いますね。
伊藤穰一: よくMicrosoftがGitHubを買ったのは、オープンソースコミュニティーへのブランドビルディングで。でもたぶんオープンソースを本当に助けたいのか、人材が欲しいだけなのでちょっとわかんないんだけども。そういうのは結構あるけれども。ただそういう人にもかかわらず、やっぱりAppleはほとんどコントリビューションはゼロですよね。たぶんねAndroidがそんなにうまくいかなかったからGoogleも、ややオープンソースネガティブな雰囲気が最近出ていてで。Facebookもあんまり出してないんで。結構オープンソースの優秀な人達はああいうところにどんどん入っていっちゃって。アメリカも今ちょっとあんまりよろしくない状況に向かっていると思うんですよね。だからたぶんね、新しいオープンソースのあり方が必要かなと思うんだけれど。ただ、crypt currencyとかtokenを見るとあれは結構そのオープンソースコミュニティにお金が行くんだよね。だからBitcoinもEthereumもオープンソースじゃない?だからそういう意味で言うと今までは、そのプロトコルレイヤーにお金が行かなかったんだよね。だからW3C(world wide web consortium)もお金ないし、ICANNはちょっと変な構造でお金持ってるけど大体そういうスタンダードレイヤーではないんだけども。クリプトだってプロトコルの方がサービスする金持ってるから、もしかしたらオープンソースの新しい設計ができるかなと思うので。それもあってちょっと僕、最近気になってるんだけどね。で。明るい話で終わるとするとやっぱりやっぱりデジタル庁もこれ一生懸命言ってるんですけども、なんかこのテクノロジーとかデジタルとかこれからによって一番なんか日本にとっていいことって何だと思いますか?
関治之: 僕のスタンスからするとテクノロジー活用すると何がいいかって、多様な人たちが参加できることになることだと思うんですね。具体的な例で言えば、さっき言ったような、その東京都の感染症対策サイトにオープンにしたことで、何が起きたかというと、色弱の人たちがこの色だとグラフが見にくいからこの風に色を変えたいみたいなことを、要望するだけじゃなくて、自分たちはこういう色のがいいというふうに、プルリクエストが送れたわけですね。やっぱり自分たちが変えられたし、その方が他の人をとっても見やすいことにもつながったし。あとはUDトークっていうスピーチ・トゥー・テキストをやってる会社の人とかもいて。僕らのイベントには毎回そのUDトークとか入れて、文字情報も含めて提供したりしてるんですけど。そういうことをやることで、いろんな人がそのコミュニティに参加できるし、その僕らの先にある行政とかにもそのただ要望いうだけじゃなくてこの方がいいよねっていう、もっとこうコントリビューションしてできるわけですね。その姿がやっぱりすばらしいんじゃないかな。
伊藤穰一: で、今、(話題に)出ているプルリクエストをちょっと補足すると、GitHubとかGitっていうソフトウェアのバージョン管理のシステムがあって。そこはたくさんのプログラマーが一緒にコラボレーションするためなんだけども。プルリクエストっていうのはそのソフトウェアは、こういう風に書いたらいいじゃないかっていう提案をして。それが管理者が見てよかったらプルをすると、それが合流されるので。僕すごく、なんでプルリクエストが好きかっていうと「みんな、いろんなこと言うけどじゃあどうすればいいの。」って思うときがあるじゃない。で、プルリクエストはこうすればいいよっていう提案なので、すごく建設的なコミュニケーションの方法だから素晴らしいよね。
関治之: まさに。そういうのが今GitHubの中でそういうあれはもう本当にプロトコルが素晴らしいんだと思ってるんですけど。でもそういうのはもっと社会実装にもっと滲み出ていってるのがいいなと思うんですね。
伊藤穰一: そうですよね。だから本当にこうGitHubじゃないプルリクエストみたいな国に対して提案してよっていうのも何か定時性とか外も含めて何か作っていけるといいですよね。はい。今日はありがとうございましたまた今後ともよろしくお願いします。
関治之: 楽しかったです。ありがとうございます。
伊藤穰一: で、なんかある? 質問等あれば…
篠田佳奈: Code Blueのファウンダーやってます篠田佳奈と申します。先ほど関さんがおっしゃられてたCode for Japanでボランティア的にコードを書くっていうのが、どこかのタイミングで企業のお金が入って企業の中の事業になっていたりとかあるいは自治体の中の事業になっていてそのソフトが動いていくとか何かそういう柔軟な動きっていうのが今回生まれるためには、やっぱり情報交換というかお互いの活動が止めに見えてるっていうか。あこのここにこういう人がいてこういう活動をしてるんだっていうのを常に見えてる状態だったら手も差し出しやすいしっていうのは思ってて。ほんと自治体とかって数億単位とか数十億単位でお金持ってて。でもCode for Japanとかでやってるのって数十万数百万で動いてるじゃないですか。全然違うって。ここ情熱のある人とお金が結ばたらもっと回転良くなると思うし、ちゃんとお金も分配されていくと思うし、そんなことを想像しながら聞いてました。
関治之: ちょっとコメントさせていただくと、まずCode for Japanの活動の中にも結構グラデーションがあります。本当にボランタリーで活動している人達もいれば、実は我々も普通にお給料を払って働いてもらってる社員とかが7〜8人いるんですけど。そういう意味で普通にボランティア活動だけじゃないというのがまずあります。なので少しずつですね、こういうフィールドにもお金は回るようにはなってきているっていうところがあります。当然活動を始めて数年間は、全部活動持ち出ししたけど、今はそういう従業員を雇ってフルタイムが何人かいるぐらいにはなってきていて、やっぱりちゃんと価値を出してビジネスモデルがあればうまく回っていくみたいなのはそういう世の中にはなってきてるかなとは思いますね。はい。
篠田佳奈: 素晴らしい。そう応援したいし私も何かできることないかなってすごく聞いてて思いました
関治之: ありがとうございます。
石部: ポッドキャストを作ってる石部と申します。僕はすごい最近気になってるのがオープンソースってコスパいいのかってのもすごい考えてて。僕もエンジニアやってるのでオープンソースのライブラリーとかよく使ったりするんですけど。3年後なくなってたりとか。でさっきブロックチェーンの話もいましたけど、Bitcoinのマイニングのにかかる電気の量がアルゼンチンの年間総電気量より超えてしまったみたいのがあって。みんなで管理するって実はコスパ悪いんじゃないかっていうのをなんかすごい思っていて。その辺そのオープンソースであったりそのブロックチェーンを含めコスパっていう観点でどう思ってるのかなっ聞きたいなって思いました。
関治之: はい、めちゃくちゃいい質問ですね。コスパいいかっていったらやっぱ良くないとは思います。これ、いわゆるこうみんなで決めるみたいなガバナンスの問題でもそうだと思うんすけど。独裁者が決めた方がスピード早いし効率いいんですよ。ただしやっぱり、こう多様な多様な可能性みたいなものを潰してしまうので、それによって上手くいってるときはいいけど、やっぱその環境の変化とかに対応できなかったりとか言うことにもなってしまいますし、オープンソースの場合はやっぱその1つのライブラリーがうまくいかなかったら数年で無くなるみたいなもちろんあるんですけど。そこで、そのその部分すべてがゼロになるんじゃなくて、そこでそこからフォークされたプロジェクトとかがまた別の価値を生み出しているはずで。で、もちろんそのモノによっては全然誰にも使われずに埋もれていく。オープンにしたけど何も起きなかったみたいなことはいっぱいあるんですけど。その分、多様な生態系が生まれていくので。その中から最終的には独裁でやるよりもいいもの、生き延びるものが出てくると。ただしそれを手にするのは全然別の人かもしれないみたいなことにはなるので、どれだけ将来にコントリビューションしたいかみたいなそこの気持ちにもよるのかなとは思いますけどね。
伊藤穰一: よく議論されているのは、どういうものがオープンソースに置くとよくて、どういうものがよくないかって言うのは、だいたいDesign UI UXは絶対オープンソースじゃない方がいいんよね。でたぶんiPhoneの形なんてオープンソースで出てこないの。ただAndroidは出るんだよね。で、UNIXの元々は少ない人数で作ったけど、ある程度設計ができたら、やっぱりLinuxでもっといろんなでオープンソースだからあんだけのドライバもあったり。大体、最初のインベンションとかデザインいうのは、スモールグループか個人の方が速いって思うんですよね。だから、1つはね、さっき独裁ってだけどやっぱり民主主義と独裁主義は似てるんだけど、中国の方がバンバン決めてやった方が早いものがあるけれども。やっぱりResilienceとかDiversityは民主主義の方がよくてね。民主主義って効率悪いんだよね。コスパあんまりよくないんだけども、ただ民主主義ができるとコスパを超えた違うレイヤーのコスパって出るので。んでインターネットって多分オープンプロトコルとオープンソースのレイヤーとそれとそのコマーシャルベースなので。例えばシスコが使ったIPTCPIPはオープンだけども、シスコのルーターは会社がやって、その企業がやるガンガン動くレイヤーとオープンであれやる。レイヤーサンドイッチみたいになってるからよくて。でそれが間違ったものをオープンソースでやろうとするとダメだし、で間違ったものを独裁でやっちゃうと危ないと思うんですよね。
武邑: 武邑と申します。お話を伺って他の例えばボトムアップで市民参加ってよく言うと思うんですねそのときに、声を上げるのはある程度はパブリックオピニオンとか出てくると思うんですけど、実際手を動かして本当に市政に参加するとかそういうこと難しいなと思ったりしてて。で、何年か前にバルセロナに行ったときに、みんな市民の人があのセンサーを持ってるんですよ。むき出しの何て言うかな回路の。でどうしたの、と聞いたら、それ最初、国から1500戸ぐらい市民に配られて家のところに設置しておくんですがそうすると騒音とか車の騒音とか気温とかいろんなものが図れてそれその結果をパソコンから紙のサーバーにアップロードすると自分のデータが反映されるっていうのをみんなものすごく楽しんでいて。実際、最初は1500個ぐらいしか配られなかったのがその後またリクエストが多いんで配ったり今一万円ぐらいで売ってるんですね。それをわざわざ買って自分でそのデータをアップロードする。それによってその市のその情報が自分が本当に自分の小さなデータでもその市の役に立てばっていう、そのある種の公益性をみんなが参加してるっていう姿を見て。何かセンサー1つで、そういう風にこう市民の参加の形が変わるんだって思ったことがあるんですけど。何かそういうことに近いご経験ってありますか?
関治之: すごいいいですね。まさに何か義務感で参加するみたいなのってしんどいじゃないですか。僕自身もまあそんなに意識高い方じゃないんで、何かやっぱり楽しいこととか、僕らはよく「正しいことよりも、楽しいことやろう」って言うんですけど。その感覚で街づくりに参加できるのと本当に素晴らしいなと思いますし、僕らも日本でぜひやりたいなと思ってる活動の一つです。で、こう僕らの活動の中でどういうそういうのがあったかというと、例えばですね。BADオープンデータ供養寺っていうコンテンツがあります。これ何をやってるかというと、世の中のバットのオープンデータをクレンジングして供養したって言って、サイトに乗っけるっていう。時々こうオンラインでみんなでこう怪談話のようにですね、こんなオープンデータがあって後を供養した。チーン。みたいなことやったりしています。で、もう悪いデータをクレンジングするなんてもう作業的にはもう楽しくもなんともない作業なんですけど。そうやってこうコンテンツにしてしまうと何かむしろ供養として、こうなんかこういいことしたみたいな感じになるし。総務省がマイナンバーカードの交付状況っていうのをPDFで、毎月公開してるんですよ。で、そのデータがBADだったんで直して供養してブログ書いて、配信とかしたんですけど。そしたら2カ月後ぐらい、もうちょっと後かな?総務省が、そのフォーマット変えてくれてExcelデータで出してくれたみたいなのがあって。やっぱ何かクリエイティブにするってすごい大事だなと思います。
武邑: どうもありがとうございました。
伊藤穰一: 本当に話は面白くて。僕も14年ぶりに戻ってきたら、そもそも日本にCode for Japanなんてなかったし、そもそもCode for AmericaのJennもその頃からずっと付き合いがあるんだけども、アメリカも本当にこの10年間でずいぶんオープンソースとか地方と色んなこういうムーブメントの育成も始まって。だんだん伸びてきたところなんですけども。もう5000人のメンバーもいる構造自体が日本に存在してるってことが本当に、いい意味でびっくりでした。ただ、それにもかかわらず、なかなかトップのレベル国の話とかに聞くと、まだ関さんの話ってそんなにみんなに知られてないので、本当に、これからの課題もたくさんあると思うんですが、関さんみたいな人がデジ庁の中とかCode for Japanみたいなとこにいるっていうことが、本当に心強いと思います。オードリー・タンが台湾のデジタル大臣になるぐらい台湾は進んでいるので、今日の話にも出てきましたがオードリー・タンの話は来週、本当に楽しみです。皆さんも一緒に聞いてください。皆さんの方で、番組に質問や意見があったら、ぜひ送ってください。メールのフォームは番組の詳細のところにリンクがありますので、それを使って連絡ください。よろしくお願いします。それでは皆さん来週もJoi Ito’s Podcast - 変革への道-でお会いしましょう。