Joi Ito's Podcast - 変革への道

テクノロジーに精通しているだけでなく、サブカルチャーやネットカルチャーにも詳しい伊藤穰一。 かつて、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究所メディア・ラボの所長も務めた伊藤穰一がさまざまな人物を巻き込み、「これからのニッポン」を考え、どう変革していくべきなのかを議論する新しいポッドキャストがスタートします。 番組には、伊藤穰一のネットワークを通じて、世界中から様々なゲストが出演。 また、解説者として、メディア美学者である武邑光裕氏が登場し、デジタル社会の大局的な指針を伊藤穰一と共に掘り下げていきます。 議題となるテーマは毎回その時に注目されている話題や、伊藤穰一が気になっているテーマをピックアップ。 伊藤穰一の頭の中をそっくり丸ごとお届けしていきます。是非、お楽しみください。

 今週は現代アーティストで東京芸術大学デザイン科准教授のスプツニ子!さんにお越しいただきました。スプツニ子さんは今年10月、日本で初めて開催されたNFTアートのオークションに作品を出品し、最高額となる839万5000円で落札されています。そんなNFTアートという分野にも精力的に関わっているスプツニ子さんと、NFTについて考えていきました。題して、トークのテーマは「NFTは単なるバブルに過ぎないのか?それとも、世界を変えるツールとなるのか?」。今回はトークの前編部分をお届けします。

JOI ITO 変革への道 - Opinion Box】 番組では、リスナーの皆様からお便りを募集しています。番組に対する意見はもちろん、伊藤穰一への質問があればぜひ投函ください。先日からイーサリアムのアドレス記載欄も設けました。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFTをプレゼントしています。

編集ノート】 伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちらにまとめてあります。また、ETHアドレスの取得方法やNFTの確認方法についても、まとめています。ぜひご参照ください。

Voiced by CoeFont

Music by 坂本龍一、Orange Free Sounds

Podcast Transcript

伊藤穰一: こんにちは。伊藤穰一です。今日のゲストはスプツニ子さんです。最近のミーティングで、彼女にアーティストの立場から、NFTがただの流行なのか、それとも革命的に世の中を変えるツールとなるのか?この辺りの話をしました。お楽しみください。

*  *  *

伊藤穰一: こんにちは。伊藤穰一です。今日のゲストは、なんとスプツニ子さんです。彼女はスペキュラティヴデザインのでアーティストで今、芸大の准教授ですよね?

スプツニ子: そうです。

伊藤穰一: スプツニ子さんWelcome!

スプツニ子: はい、よろしくお願いします。なんか今日、すごくスーパープレゼンテーション感があって。今「こんにちは、スプツニ子です」って挨拶しそうになっちゃったんですけど。

伊藤穰一: 伊藤穰一です。なんか、懐かしいよね。

スプツニ子: 懐かしいですよ。よろしくお願いします。

伊藤穰一: よろしくお願いします。もうスプちゃんとは、実はすごい昔から、ちょっとつながっているんだよね。

スプツニ子: そう、意外なところでっていう感じで。私の13歳年上の兄が、当時私は子どもだったから兄が何をやってたかよくわからなかったんだけど、何かinfoseekとか?エコシスとか?Joiさんと一緒に何か立ち上げてたんですよね?

伊藤穰一: コンピュータープログラマーで。で、僕が最初に作ったインターネットの会社エコシスの彼は何か財務担当までやってて。そして、ででもすごい若かったよね、彼。そんとき二十歳か何か。もっと若かったのかなあ?

スプツニ子: 大学卒業直後で22〜23歳かな。

伊藤穰一: そうだよね。うん。で。彼の結婚式の時に、そう、多分、見た。前にもつながってたかもしれないけど、覚えてるのは、多分その結婚式で見たのを覚えてて。

スプツニ子: 私が13歳のときにうちの兄が結婚して、その時にJoiさんがスピーチをしてたっていうのが、私の一番最初のはっきりしたJoiさんの記憶ですね。

伊藤穰一: で、その後、メディアラボで、もう何かインタビュープロセスが結構進んでいたところで、「実は」っていう話聞いて、すごいびっくりしたよね。

スプツニ子: いや本当にそうで。結構私がJoiさんのことを13歳ぐらいから知ってると言うと、「Joiさんはスプツニ子をもともとすごくよく知ってて、一本釣りでメディアラボに入ったんじゃないの?」みたいに思われることもあるんだけど。全然そんなことなかったですよね。

伊藤穰一: そうそう。そうそう。そうなの。「え、ウソ、繋がってんの?」っていうそんな不思議な。ただ、結局、さっきも話してたけど。何かこういう変わった人たちネットワークって結構人数が少ないから、どこかで結構みんなつながっちゃってるんだよね。

スプツニ子: たしかに何か不思議な縁で繋がってるみたいな事はよくある。だから、私もメディアラボで本当に久しぶりにJoiさんに会ったときに、「あの、どうも。ジョナの妹です!」って感じでした。

伊藤穰一: 「すっかり大きくなっちゃったね」みたいな。

スプツニ子: 「大人になって、アーティストやってます」みたいな。だから不思議で…。私にとっては、子供の頃にお兄ちゃんからいつも「Joiがこうしてた」とか「Joiがこう言ってた」みたいな話を聞いてたから、「あ、あの例の人がいるんだ」みたいな気持ちで。

伊藤穰一: ジョナって、すごく真面目で、シャイな人だから。妹だから同じかな、と思ったら、全然違ってて。

スプツニ子: いやいやいや。真面目ですよ。

伊藤穰一: 芯は真面目だよね。

スプツニ子: 真面目ですよ。とっても。はい。シャイかはわかんないけど。

伊藤穰一: はい。今、芸大で何をしてるの?

スプツニ子: 芸大のデザイン科で准教授やっていて。そこで学生たちを教えつつ、研究室でいろんなプロジェクトに取り組みつつ。ちなみに12月から、ちょうどミッドタウンのデザインサイトでFuture Insightsっていう展覧会があって。そこで、うちの研究室も新作を出します。

伊藤穰一: なるほど。メディアラボのインタビューの時に、スプちゃん確か、何か、「とりあえず何か、教授やってみるけど、ずっとやらないかも」って言ってたけど。その後東大行ったり芸大行ったりして、そのプロフェッサー職に着いているけど。それはもう落ち着いたって感じなの?

スプツニ子: 確かに。そして私、面接でそんなこと言ったんだ?「とりあえず、先生やってみる」なんて(笑)

伊藤穰一: だからなんかアメリカだとTenureって言って、7年間経って残ったら永久に入れるんだけども。「全く興味がない」とか言っててすごいみんなびっくりして。結構その教授会で議論になったのが、「そんなに教授をあんまりやりたくない人を入れてもいいのかな」みたいな話になって。ニコラスが「だから、いいんじゃないか」なんて言ってたの覚えてる。

スプツニ子: マジか…。いや、当時はだって、私はアーティスト一本として活動していくと思ってたのに。やっぱり突然、それこそニコラスと話していた時に、「ここで先生やってみるの興味ない?」みたいな話になって。当時は「私が先生?」みたいな感じだったから。それからいざ先生をやってみて、今も准教授を続けてるけど。やっぱりアカデミアの良さはあるなと分かって。学生たちも若くていろんなことを試したいっていう子が多いからいろんなアイデアを試すための土壌としていいなと思う。アカデミアだからこその面白さがあるよね。議論もちゃんとじっくりできる。

伊藤穰一: 長谷川愛さんみたいに立派な教え子も出てくるよね。

スプツニ子: そうですね。長谷川愛ちゃんも今アーティストとして活躍してますよね。彼女も以前メディアラボで私の研究室にいたけど、自分の学生や指導した人がどんどん活躍するのを見るのは面白い。

伊藤穰一: やっぱりDiversityのとこからも女性の何か。さっきも言ってたけどあんまり芸大には…

スプツニ子: そうそう。芸大のデザイン科は10人教授がいるんだけど、デザイン科の歴史の中で私が初めての女性教授だったっていう。しかもそれ、2019年で初の女性ってびっくりしちゃって。藝大デザイン科って学生たちが6割7割女の子なんですよ。なのに先生たちがずっと男の人だけだったので。特に日本は教授が男性ばかり、私は東京大学にもちょっといたけど、東大も同じく教授が男性ばかりだったから、アカデミアにもっと多様な視点を入れなきゃいけないなって思います。

伊藤穰一: 最初って大変だってよく聞くんだけど。うちの母親もNHKの300の子会社の唯一の女性社長で結構大変だって。あと女性でどうのこうのって「お前は、女性じゃなくて宇宙人だ」とか言われたり。なんか、あんまり真面目に聞いてもらえなかった時も結構あったとか言ってたけど。そういうのはPodcast言えないのかもしれないけど、苦労したりする?

スプツニ子: いや、でも逆に宇宙人的な立ち位置で。うん。

伊藤穰一: あのーそもそも宇宙人…。

スプツニ子: いや、若干…。

スプツニ子: Sputniko!という名前からして宇宙人的な。まぁ、意外と声はちゃんと聞いてもらえるんだけれど、私一人で満足してほしくないなと思ってて。女性一人いるからオッケーじゃない。ジェンダーやフェミニズムに関心を持って作品を作りたいって学生もかなりいるし、今後のキャリアやライフプランについて悩む女子学生も多いんだけど、これまで男の先生しかいなくて、大学に女性の先輩アーティストやデザイナーの相談相手がいなかったって、全然よくないよね。もちろん男性に相談してもいいんだけど、やっぱりね。

スプツニ子: あとは・・・そうですね。まぁでも、ちょっと変わり者っていうのはいいこともあれば、「何だあいつ」みたいに言われることもありますよ。誤解されやすかったり。「あんなのチャラチャラして」って言われやすいですよね。

伊藤穰一: うんうん僕も、すごく昔チャラチャラしてるって言われて。

スプツニ子: だって、DJとかやってるし…

伊藤穰一: だから、ちょっと”welcome to the club”って感じ。

スプツニ子: そうだね。

伊藤穰一: で、だんだん年取ってくるとね。あんまり、チャラチャラに見えなくなってくるんじゃないかなっていう感じもするんだけども。

スプツニ子: 確かに。「あの人、本気でやってるんだ」って思われて、わかってもらえるのかも。

伊藤穰一: で、今さっきもちょっと出たけどexhibitとか何かアートを作ってるんだよね?どんなもの作ってるの?

スプツニ子: 例えば11月末に香港でオープンする新作があります。以前に運命の赤い糸をはく蚕っていうのを遺伝子組み換えで作って発表したんだけど、そのシルクを使ってファブリックを作って、Napp Studioという香港の建築事務所とコラボして大きい空間インスタレーションを作っていて。しかもいまコロナで行けないから、全部オンラインで作ってます。あとは、それこそさっき言ったFuture Insightsっていうデザインサイトの展覧会で、12月にはうちの研究室の学生の岩藤愛実が取り組んでいる「Happy Virus - 幸せになるウイルス」という作品を展示します。

伊藤穰一: そのHappy Virusとかそういうのってどうやって展示するの?

スプツニ子: 岩藤さんはもともと芸大に来る前は東大の小澤研究室でオプトジェネティクスみたいな、光で生体分子を操作する研究に関わってて。それで今回の作品で彼女が作ったのは脳のニューロンに感染するウイルスで、セロトニンの受容体を増やしてハッピーになる、という仕組みのウィルスのデザインです。セロトニンがあるからって本質的に幸せになるわけではないんだけど、もしかして将来的にこういったウイルスのデザインも起こり得るかもしれないよね?という議論をするためのスペキュラティブな作品を作っていて。もちろんウイルスをリアルで展示するのは展示会場での管理が難しいので、彼女は今このHappy Virusをテーマにした映像作品を作っていて、それを展示します。

伊藤穰一: そしてこないだスプちゃんのオークションでNFTを、確かオークション出してたよね?

スプツニ子: 出しました。

伊藤穰一: その話ちょっとしてもらえますか?

スプツニ子: もちろん。10月30日にSBIが、日本で初めてのNFTオークションを開催して。私も「参加しませんか」と声がかかってですね。それで「ムーンウォークマシン」という作品をNFT化して出品したところ、オークションの最高額の839万円で落札されてNFTデビューしました。私もNFT初心者だから、まだ勉強中ですが。

伊藤穰一: じゃ、向こうから入ってくれって?

スプツニ子: そう。オークションはSBIとスタートバーンが企画していて、私はスタートバーン代表の施井さんを知っていたから、彼からある日「スプちゃん、こういう企画があるのだけど」みたいなメッセージをもらって。

スプツニ子: 「スプちゃんテクノロジー好きでアートもわかって、NFT絶対面白いから!」と以前から言われていて。私は私で、参加することで勉強できることもあるなと思って。実際すごく勉強になった。今回いくつかNFT用にデータも用意していて。日経新聞のニュースには、そのデータのことが書かれていないのだけど。具体的には、ムーンウォークマシンって作品の月面ローバーを3Dプリントできるようなデータも一緒にNFTにしました。あとその3Dモデルがあれば、今後メタバースにも置いてもらえると思って。これがどこまで日経新聞とかのニュースで伝わってるのかわからないけど、そういう実験をしましたね。

伊藤穰一: いや、僕もうん。パンフレットとメディアだけ見たら、書いてなかったから、何を売ったのかなと思ったら、そういうことだよね。それはそれはすごく大事。だけどたぶん僕はそのメタバースがだんだん出来てきて。そうすると、何かこれはメタバースができる前からで買った作品だよねみたいな。だから僕も例えばメールアドレスにito.comってあるんだけども。これは、ウェブができる前に登録したアドレスで。で、ウェブができる前にみんな何でインターネット使ってんだ。と思うのと同じで、メタバースがないのに、なんでみんなNFT買っだぞっていうのは出てくると思うけども。でも、メタバースがちゃんとできてくると、今みたいにね。いや、実は開くとこの作品が自分の部屋に置ける、っていうのがすごく活きてくる。

スプツニ子: そうですね! だから落札してくれた人には「データもちゃんと使ってね〜!」って伝えたい。(笑)

伊藤穰一: でもね。もう結構ね、NFT業界でも何か。ある話で、何か突然Moon Catsとかあがってくると「アレ?そういえば何年か前に買ったけどアレWalletってどこだっけ?」みたいな感じでよくあるんで。たぶん何か「お爺ちゃん、そういえば何か落札したけどあれどこ行っちゃったかね」みたいだって絶対あるよね。

**スプツニ子:絶対ありそう。

伊藤穰一: だから、だから本当に何か買ったものも、後で役に立ったりするから何かウォレットの鍵は絶対なくさない。

スプツニ子: いやウォレットの問題は大きいですよ。私もちょっとヒヤヒヤしてます。

伊藤穰一: 実際、今結構使いづらいからね。かなり。これからどんどんやってみないと分かんないよね。

スプツニ子: 本当にまだ勉強中なんですけど、たとえば私が二十二歳の時にRCA受験のときに撮ったビデオとか、色々なものをNFTにしてます。ただNFTに関して、アーティストとして「これは世界が変わるな」って実感はすごくあって。今日もJoiさんとそういう話もできたらなと思って。

伊藤穰一: でも本当に兄貴のジョナと、一緒に最初のホームページを作って、そこでBuffalo Daughtersの曲売ったりしてたのを思い出して。でもね、面白いのはeゴールドっていうデジタルキャッシュを使って音楽を買えるサイトを作って。そこもオンラインでその音楽を届けていたのね。で誰かがねやっぱりワンクリックのあれでAmazon訴えるっていうので、で僕らのサイトがAmazonよりも早くいろんなショッピングをやってたっていうのを、またエビデンスを出したりしてて。案外ガキンチョがただ遊んでいてBlinkタグをやってみようかみたいなHTMLの最初の頃と結構このNFTでみんな実験してるのが、実はそれがすごい大きなマーケットになっちゃったりする可能性あるから。遊びながら、何かそれをどういうビジネスになるかとか、どういうトレンドになるかっていうのを考えていくと、すごく面白いよね。

スプツニ子: すごく面白い。NFTは所有することや価値交換することのインフラになるなっていう感覚があります。私アーティストとして現代美術のギャラリーとかアートマーケットのありかたも一応すこし見て、思った事があるんですけど。

スプツニ子: スイスや香港のバーゼルに行って、そのコミュニティーの動き方を見ていて思うんだけど、やはり現代美術ってすごくクローズドで排他的な文化もあるし、アーティストとコレクターの間には大体ギャラリーが入る。だけどNFTってアーティストがコレクターに直接つながるから、アーティストにとってダイレクトに利益が入るのも違いますね。現代美術ってアートギャラリーで作品を売るとだいたい売値の50パーセントくらいはギャラリーの分なんです。ただそれは慣習として当たり前で、きちんとした理由もあって、それをなぜ取るかというとギャラリーがプロモーションしたり、エディションが何個あるか、作品を誰に売るべきか売らないべきか、みたいな事をしてるんです。でもNFTは、販売からエディション管理からプロモーションまで、作家がテクノロジーインフラで殆ど全て出来てしまう、というのは凄い事で。

スプツニ子: 他にもあるのが、コミュニティーの違いだと思っていて。海外の現代美術のコミュニティってすごく歴史があるから、買ってる人もアートギャラリーにいる人も、よくも悪くもトラディショナルな富裕層。もうヨーロッパだと「うちは代々、貴族です」とか、「お父さんがウクライナのガスパイプ持ってます」みたいな感じの人も結構いる。ただNFTってテクノロジー界隈の、もう少しIT起業家とか仮想通貨に関わっている若い世代がコレクターになっていることが多いので、彼らのカルチャーも、彼らが好きなアートも違いますね。どちらかというとパンクなものや新しいチャレンジが評価されやすいところがある。コンサバティブなカルチャーとは違う、イノベーティブな空気があるなって思います。

スプツニ子: とにかくNFTはアーティストに対するエンパワメントの可能性がすごいと思っていて。インターネットによって音楽業界が変わったじゃない? メジャーレーベルに所属してないと売れないような状況だったのにインディーでも全然OKになった面がある。NFTはFine Artにとってそういうパラダイム・シフトになりそうな予感がある。メジャーなアートギャラリーに所属していなくても若いアーティストに大きいチャンスがある。

伊藤穰一: でもでもね、ちょっとここで実は、次のエピソードのゲストが武邑光裕先生で。彼は結構サブカルチャーの専門家だし、アート業界のこともよくわかってるんで彼を交えてちょっとその話をしませんか?

スプツニ子: ぜひ話しましょう!

*  *  *

伊藤穰一: これから比較的にNFの話が立て続けで出てきますが、今かなりホットなので、集中してます。でもその後またいろんな話をしたいので、ぜひお便りの方で聞きたいトピックスや、インタビューしてほしい人たちの提案もください。そして今週から、少し新しいコーナーの実験をします。

*  *  *

ニュースアンカー: この時間は、伊藤穰一が今週ピックアップしたニュースをお届けします。

ニュースアンカー: 映画アイリッシュマンなどの大ヒット作を手がけたエグゼクティブプロデューサーが今月1日、NFTのみを資金源とするハリウッド初の長編映画を製作することを発表しました。

ニュースアンカー: Finders'が全世界20カ国のインターネットユーザーに行った調査によりますと、日本におけるNFC保有率は22パーセントとなり最下位であることがわかりました。最下位から2番目はアメリカとイギリスがランクイン。一方で世界で保有率が最も多い犬はフィリピンで32パーセント。次いでタイマレーシアなどが続きました。

伊藤穰一: 今週いろんなニュースが出てると思います。例えばオミクロン株の話とか地震だとかいろんなニュースが出てます。マーティン・スコセッシ監督の「アイリッシュマン」っていう映画をプロデュースしたエグゼクティブプロデューサーが、すべてNFTで映画の資金集めをするって発表していて。で、僕の勝手な想像なんですけども。やっぱりNFTを使って映画のファンドレイズは、すごく面白いと思うんですけど。僕も映画配給とか映画の投資にも関係してたんですけども。でもお金集める側、アーティストとか映画のプロデューサーとかはもうすごい面白そうでみんな知ってると思うんですけれども。もう世の中(NFTを)わかってる人達の間でも割れてますよね。完全にインチキだと思ってる人もいれば、もうこれがアーティストの未来だと思っている人たちもいるのでそういう意味で僕らもすごく実験的にこれから使っていこうと思いますが、本当にどういうふうになるかっていうのはまだわからないと思います。

伊藤穰一: ファインダーっていう団体、NFTについての世論調査したんですけども。その調査によると、ここに入ってる国の中で一番NFTのことなんだかわからないっていう国が日本だったんです。90パーセントの人はNFTがなんだかわからないって言っていて。で、さっきのマーティン・スコセッシの記事にも書いてあるんですけど、たぶんお金集める人たちとアーティストとかはどんどんNFTを使って世の中が良くなるのでみんな勉強していると思うんですけども、買い手側の9割が知らないっていうとやっぱりこれ本当にまだまだかなという気もします。

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伊藤穰一: 皆さんお便りをいろいろ送ってくれてありがとうございます。全部読んでます。今日はその一部を紹介させていただきたいと思います。

メール: 現在本業とは別に仲間と政策提言プラットフォームサービスを開発しています。なかなか理想的な形にできてはいませんが、それでも意義を理解してくれた方から投資はいただいています。ただビジネス的な可能性が見えにくく、大きな出資を得るまでには至っていません。ベンチャーキャピタルや投資家がソーシャルグッドのために投資するという文化は日本に芽生えるでしょうか。

伊藤穰一: はい。私もアメリカでいろんな財団の理事をしたり、自分でも慈善事業にいろいろと参加してきてるんですけれども。まず、アメリカは寄付など、宗教から来ている部分はあるんですけど、寄付っていう文化はすごくしっかりできているので、まず慈善事業に対するお金はアメリカの方が圧倒的に多いというのが一つ。で、多分アメリカと日本の一番大きい違いは、日本は税金をとって国が配るという慈善事業の代わりのファンディングで。ややそういうのって例外はあるんですけれども、基本的に今まで昔からやってるようなチャンネル、古典的なコンサバティブなチャンネルにお金が流れるのが、たぶん日本はメインで。で、アメリカは逆に財団だとか自分の個人の寄付金も税金免除をして。それが個人が自分が好きなものに寄付するっていう、ちょっと個人ベースと国ベースで大きく違っていると思うんですよね。だから多分アメリカだったら財団に提案書を送るのは、日本だったら国に送らなきゃいけないっていうのが一つ慈善事業の方で。

伊藤穰一: そして慈善事業とベンチャーの間に今、パブリック・インタレストのカンパニーっていうのがあって。例えばKickstarterは僕も投資家なんですけどもKickstarterは絶対上場しないと。で、自分の理念で着々と会社を伸ばしていくんで、そういうのに付いて来たくない投資家はみんなバイアウトしますって宣言して。僕は続いてんですよね。彼らは配当は出してるけれどもベンチャーキャピタルが普通に慣れてるアップサイドはないって言っていて。彼らはこういう流れの走りだったんですけども、そういうケースは増えてきてるんです。が、やっぱりそういう会社はお金集めるは難しいし、あとはストックオプションとかを狙っている社員がなかなか集まりづらいので。どうしてもベンチャーキャピタルが集まる。そして最終的に上場したり買収される会社の方がお金も人もモノも集まりやすくて。で、これは多分変わってくると思うんですけども最近ESGだとかいろんなダイバーシティとかインクルージョンとか言ってそもそも営利目的の会社もだんだん理念が良くなっていくっていうのはひとつの流れとしてあるんですが。ただ、やっぱりシビックテックとかそういうあんまりスケーラブルじゃない、倍々で伸びない会社っていうのはそのベンチャーキャピタルがいつもみんなに約束してるすごいリターンっていうのは取れないので、どうしてもお金は集まりづらいと思うんですね。

伊藤穰一: 最近はソーシャル・インパクト・インベスティングとか特に、ある程度お金儲かった人たちがいろんなファンドに出して。そのファンドは普通のベンチャーキャピタルファンドほどリターンを狙わないっていうのも、最近出てはきてるんですが。ただ、やっぱりこれは日本とかアジアは比較的に少ないと思うんです。だからトレンドとしては増えてきてると思いますが、まだまだ時間がかかると思いますので、これも私も含めていろんな人たちが課題にしてます。で、ひとつの日本での改善のし方は、もう少しベンチャーみたいなところにも国のお金とかも出せるようにするとか、あとは例えば日本で税金を変えて税金免除された寄付をするとか。あとは例えばソーシャルインパクトの投資だったら、税金の免除があるとか。そういうインセンティブを考えるっていうのもひとつの提案のタイプだと思います。

伊藤穰一: 次はYFさんです。

メール: YouTubeなど数多くあるプラットフォームの中から、Podcastを選択された理由は何だったのでしょうか。

伊藤穰一: ポッドキャストはアメリカではめちゃくちゃ伸びていて、私の友人のリード・ホフマンもかなり人気があるポッドキャストやってるんですけども。ポッドキャストってYouTubeとかビデオと違って、車の中だとか立ってるときとか、いろんな聞ける場所がまたビデオと違うのと、何か他のことをしながらしやすいっていうのがひとつ。あと、日本ではまだそんなに伸びてないんで、最初から入るのが面白いんですね。僕がブログがあんまりなかった頃に、し始めたから楽しかったのと同じで新しいメディアの誕生に参加するっていう意味で、すごく面白いのが1つと。あとは実は僕は日本語の読み書きは、結構苦手で。しゃべるのは楽なので、ポッドキャストって比較的に日本語でブロギングするよりも僕に合ってるメディアでもあると思って実験してます。

伊藤穰一: そして最後のお便りはmiuraさんです。

メール: OpenSeaで番組オリジナルのNFTをのぞいてみました。ゲストのアカウントがわかるのはなんだか不思議な体験です。Thank you NFTを所有している人がうらやましくなりました。NFTを発行するのは、先週からとのことですが、第3回目の放送までさかのぼって発行するのは難しいのでしょうか。運良く以前、取り上げていただいたので少し足掻いています。

伊藤穰一: miuraさんがこういう指摘をしてくれたので、気がつきました。という訳で、遡ってアドレスを送ってくれた人でお便りを送ってくれた人にはみんなNFTを配りました。今まではお便りを送ってくれた人で、ETH私たちに送ってない人、ぜひアドレスができたら送ってください。そしたらNFTを送ります。

伊藤穰一: Walletはアドレスを管理してるツールで、Walletの中身を見るために子を見るためにはOpenSeaみたいなサイトに行ってを同期して自分のプロフィールを見ると、そのウォレットにつながってるNFTが見れます。それと自分のはOpenSeaで見ようとするときにたまに表示されません。Hiddenというタブがあって、それを開かなきゃいけない時もあります。これなぜかと言うと、スパムのようなNFTを勝手に送りつけてくる人もいるんですよね。そうすると、自分のプロフィールにゴミみたいなものがあって、それをまた捨てるのにもお金がかかるから、隠すっていう動きができてきて。で、そういう意味で自分が買ってないものが勝手に送りつけられた場合に、スパムフィルターみたいにHiddenに入っていっちゃうっていうのが今のOpenSeaの機能です。そしてHiddenのタブに行ったときにNFTの左下のとこにポチポチポチって3つ点がありますけど、そこをクリックするとUnhideっていうのがあります。だから自分のメインのプロフィールで表示したければUnhideしてください。そしてここで、もう1つすごく重要な指摘をしてもらってるんですけども、ブロックチェーンって何かプライバシーがあるように錯覚しているたちはいると思うんですけども。まったく逆で、ブロックチェーンで起きたことは消せないので、すべてみんなに見られてるっていうこともみんなに知ってもらう必要もあると思うんです。

伊藤穰一: で、たぶん人によってはパブリックなアドレス、僕のはもうENSというサービス使ってjoi.ethと僕のアドレスも見れて、僕が今まで買ったものと取引した人も全部見えるようになっているので、自分のパブリックチェーンでは人に見られたくないもの、人に見られたくない関係は一切しちゃいけない。そしてアドレスでもいくらでも作れるんでプライベートのことやりたいんだったらプライベートなアドレス作るとか。あとは例えばハードウェアのウォレットを使って普段動かさないものはそこに入れるとか。そういうことをちゃんとやる必要があると思います。それと自分のプライベートなアドレスをパブリックなアドレスとやり取りしちゃうと、繋がっちゃうので、そこでつなげないようにした方がいいと思います。

伊藤穰一: そしてここで質問と関係ないんですけども、皆さんにmetamaskを我々も紹介してたので、ひとつアドバイスなんですけども。最近いろんなインチキなサイトとか、例えばdiscordに行くと、インチキなボットとかがwalletにコネクトしてくれって言ってくるんですけども。変なものコネクトして変なものサインすると、NFTとかクリプトとか盗まれてしまうので、信用できない。それから知らないとことは絶対Walletはコネクトしない方がいいと思います。そしてもうひとつ、これはアドバイスなんすけどtwitterとかでmetamaskっていう言葉を書くとすごいscamのスパムがいっぱい来ちゃうので、あんまりソーシャルメディアでmetamaskとかOpenSeaの話をそのまんまの言葉では言わない。例えば「メタであるマスク」って書く人とかいるんですけども、ちょっと今多分セキュリティーが甘いところをずいぶん今悪い人達が間入ってきてるので。多分またセキュリティ良くなってくると思うんですけども、結構危険なので皆さん気をつけてください。

伊藤穰一: 実はこのポッドキャストが表だとすると、裏ではやや秘密なゲームが行われております。このゲームに参加するためにはブログでの書き込みとかポッドキャストの方でヒントを探してください。それでは今日はここまでです。聴いていただいてありがとうございます。また、来週まで!さようなら。