マサチューセッツ工科大学の研究所「メディアラボ」で所長を務めた伊藤穰一が、14年ぶりにニッポンに帰国。かつての恩師であるメディア美学者の武邑光裕氏とタッグを組んで、デジタルDXを考える新しいプロジェクトをスタートしました。これから、テクノロジーの側面からだけでなく美学・哲学・文化の視点から、この国のデジタル改革の行く末について考えていきます。プロジェクト創設メンバーの二人が考える「日本のデジタルDX推進で決定的に欠けているもの」は果たして一体なんなのでしょうか...。 ★JOI ITO'S Podcastではプロジェクトに参加してくれるメンバーを順次拡充していく予定です。応募方法や今後の展開内容については、随時番組内で発表していきますので、是非番組を欠かさずチェックしてくださいね。
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今週のポッドキャスト配信について
Podcast Transcript
伊藤穰一: こんにちは伊藤穰一です。僕が一番答えにくい質問はあなたは何屋さんですかという質問で、クラブDJだとか、映画のプロデューサーだとか、通訳だとか、紅白のバシリだとかいろんなことをやって。一番やれなかったのは大学をちゃんと卒業しなかったということなんですけども。最近は会社の役員とかベンチャーキャピタルニューヨークタイムズの役員だとか。ソニーの役員とかもやって。メディアラボっていうMITの研究所の所長をやって、MITでProfessor of Practiceやったり。ハーバード法学部でもVisiting Professorで教えたり学術系のことをこの10年間結構やってきたんですけども。
伊藤穰一: 7月に日本のデジタル庁を助けてくれないかと言われて日本に戻ってきたら、何かいろいろあって。ちょっとは手伝って、今度は構想委員会っていう委員をやっているんですけども。ちょっと時間があるので、研究所を立ち上げたり、ポッドキャストをやったり、もう10年離れていたので「日本が今、何が面白くて、どういうふうに日本が変わっていくのか。それに対して私がどういう貢献ができるか?」っていうのを探りを始めていくので、こういうポッドキャストを実験的にやりたいと思ってます。基本的にはもう55になりましたので、自分が云々よりも周りでどんな面白いことをやっている人たちがいて、そういう人達を紹介して、プラットフォームになって社会に対して役に立つことができるといいかなっていうのが自分の希望です。
伊藤穰一: そして僕も本当に10年ぶりに日本に帰ってきて。そしてそういういろんな、今、どういう若い人たち、もちろん若い人たちだけじゃなくてもいるとは思うんですけど、みんながどんなことをしていて何を悩んで、これからどういう風に変わっていくか?ということを一生懸命考えていく中で、90年代からずっと仲良くやっていたある人物がたまたまドイツから戻ってきて、こないだばったり出会ったんで、僕のこの冒険とこれからの活動に一緒に参加してもらいたいと思って、今日呼びました。
伊藤穰一: 武邑光弘先生です。彼はメディア美学の先生でもともと彼が日芸で美学を教えてたときに僕が出会ったんですけれども。武邑先生は一言で言うと、世界で本当にマニアックなサブカルチャーを、日本人では一番知っていてそして哲学の本をものすごい読んでいて。そしてアートもわかっていて。そしてクラブイベントとかもオーガナイズできて、いろんな人が知っているけれども、実は知らない人もたくさんいるっていう。あの不思議な人で。彼は結構、マルチメディア時代の有名な人達は彼の教え子がたくさんいて。アイディアにはジェネラスなんで僕が日本に来て本当に最初にいろんなメディアで紹介してもらったりいろんなミーティングに引っ張り込んでくれた人の一人は武邑先生でしたので、本当に私の師匠です。
武邑光裕: はい武邑です。よろしくお願いします
伊藤穰一: 武邑先生は本当にもう何年前かなもう、僕が、ただのクラブ野郎の時から色々教えてもらっていて。今でも本当に大先生なんですけれども。
武邑光裕: いや、もうとんでもないです。僕をインターネットに導いてくれたのは、伊藤さん。昔からJoiって呼ばせてもらってるんですけど。1989年か90年にカウンターカルチャーのグルであるティモシー・リアリーという人がいるんですけど。彼から。Joiっていう、とにかくニューブリードでジーニアスがいるから絶対会ってくれって言われて。それで最初に会ったのがゴールドっていう東京の芝浦にあったクラブがあって、そこで最初に会ったのが最初だったと思いますけど。
伊藤穰一: そうですね僕もいまだに覚えてるんだけども、あの時代って武邑先生はもうクラブの教祖様で。
武邑光裕: いや、とんでもない。
伊藤穰一: 武邑先生に声かけられた時も僕はもう本当にドキドキしたのを覚えてます。
武邑光裕: ええっ!そんなもう。今思えば本当に単に若かっただけなんで。
伊藤穰一: ちょうどそれで、武邑先生と出会って。あの頃はRAVEがメインだったんだけれども。確かにSTUDIO VOICEのNew Edgeという特集でなんかあの辺書いていただいて。
武邑光裕: そうJoiと対談させていただいて。すごく、もうあの時代に影響を受けた人たちがもう会社の重役とかなんかなってるんで。
伊藤穰一: ちょうどそこからインターネットが始まって、武邑先生と何だっけ。インターネットの7日間っていう本…
武邑光裕: 書いた!ありましたね、それ。韓国でも翻訳されて。
伊藤穰一: ですよね。だからまだそのウェブサイトをちょっと紹介するだけでも本が売れる時代だったんですよね。うん。
武邑光裕: 逆に言えば7日間あればひと通りのインターネットの世界は見ることができたという。非常に、こう1日のうちにいくつのウェブサイトが立ち上がったかということが何かすごくよく分かる時代でしたね。そのころは。
伊藤穰一: ですよね。随分それから変わったんですけどね。でもあのときやっぱり武邑先生が、美学・哲学・文化の視点でテクノロジーを見ていらっしゃったので、そこがとっても僕には刺激的だったと思うんですよね。
武邑光裕: メディアに対する哲学や新しいインターネットが生まれてもう20年30年経ちますけど、結局、僕らが今向かい合っているデジタル社会っていうものを、もう一度考え直していくということを迫られていて。その時にやっぱり新しい哲学やデジタルパラダイムそのものをどうやって把握できるかということが、問われているんだと思うんですよね。だから新しいツールがどんどん出てくるんだけど。そのツールがその後私たち人間自体を変えていく。人間の社会全体を変えていく、っていうことの意味をもう一度考えていく時代が今だと思いますね。
伊藤穰一: そういう意味で僕も日本に戻ってきちゃって。いろいろあってね。武邑先生のベルリンから戻ってきたんで、これからちょっとまだ全ては秘密な部分はたくさんあるんだけども、ちょっと武邑先生と一緒に、やっぱり学術の研究とかポッドキャストだとか、本とかで、この新しいネット時代の美学を、どうやって考えていくかそのためにはどういう風にいろいろ変えていかなきゃいけないかっていう文脈を作るプロジェクトを立ち上げたいので、ぜひいろいろ一緒にやっていただきたいなと思ってます。
武邑光裕: もう、こちらこそ、すごく楽しみです。
伊藤穰一: で、このポッドキャストでちょくちょくとネタを出していきながら発表していきたいと思うんですけども。でもこれはちょっと実験的に出して、それでそれによってちょっと、アレだよね、30年前のクラブ時代の学びも含めてどうやって面白くて役に立つこうメディアとか活動ができるかっていうのはいろいろ考えていきたいですね。
武邑光裕: そうですね。僕らのルーツがクラブだったりするんで、今でもクラブがどういう意味を持ってるのかとか、ベルリンにいるともう本当にそのクラブを求めて世界中から今でも多くの人たちが集まってくるんで。そのクラブの意味とかクラブが与えていく技術や文化や哲学への影響といったものも、Joiとだったら話ができるなって思いますよね。
伊藤穰一: そして武邑先生。「ポッドキャストでやるんだったらタイトルが必要だよね」と思ったんだけれども。すごく難しくて。で僕のこないだやった博士の論文の日本語訳、これ村井先生がつけてると思うんだけど。英語はPractice of Changeだったんだけど。日本語は変革論っていう、日本語だったんですけどもなんとなくイメージからするとデジタル化とかみんな後付けでなくそもそも根本的なところ変えたくないような姿勢があるので、やっぱりデジタルトランスフォーメーションには変革が必要だと思うんだけれども。どう思います?変革という言葉は。
武邑光裕: すごく重要な言葉だと思います。変化だけだと革(かく)が生まれない。革っていうのは漢字で言うと皮のことを言うんですね。動物の皮でこれを伸ばして全く新しいものに作り替える、刷新するということなんですよね。だから変化を生み出して、新しいゴールを実現するっていう。そこが非常に重要なポイントだと思うんですよ。だからDXDXとか言ってるけど、結局どこにそのゴールがあるんだ、何を変えていくのかということの議論がやっぱり不足していると、却ってDXがいろんな問題を生み出すことにもなりかねないと思うんで。僕はこの日本語読みで変革という言葉がいいかなとは思っていますし、何か変化を生み出して、それを刷新していくベクトルが今日本にはどうしても必要なんじゃないかなと思いました。
伊藤穰一: あと僕の論文で一生懸命書いてまだ結論が出なかったのは、やっぱりぶち壊すだけじゃなくて、やっぱりその後立て直さなきゃいけなくて。だから僕がアラブスプリング(アラブの春)とかには随分参加して期待はしたんだけどもぶち壊したけど次が来なかったんで、だからやっぱり、次の変革をする文化もそうだけども変革された後に、ちゃんとこう「やすらぎ」と「ゆとり」と「ハピネス」がある未来が見えなきゃいけなくて。そこがね何かね、僕もまだ日本に戻ってきて間もないんだけど。なんかみんなあんまり未来に対する期待とかワクワクもないので、その変革というとなんとなく革命っていうとこだけに焦点がいくかもしれないけど、それだけじゃないと思うですね。考え方が変わったことによって未来のハピネスはどこにあるかっていうのもすごく重要だと思うんですよね。
武邑光裕: 変革によって繁栄をどうやって手に入れるかっていう。そこがすごく何かつながってないんですよね、今ね。何か壊す破壊的なイノベーションとか当然そのいろんな古いレガシーが壊れていくのは必然的にそうなっていく部分もあるし意識的にやっぱり変化を生み出していくいうことが必要なんだけど、それがやっぱり僕らの繁栄につながっていくっていうか。日本で繁栄っていうトラフィックが非常にそんなことがまたこれから先あるのかっていうふうに言われそうだけど、やっぱりどこかでそういうゴールとかウェルネスっていうものを考えていかないと、人々の心はどんどんどんどん荒んでてしまうし。
伊藤穰一: そこで僕もちょっと例えばハピネスのことを考えると、例えば環境問題だと「消費は少なくしてほしい」っていうとみんな苦しみを思うんだけど、例えばGregThurberg(グレタ・トゥーンベリ)は「もう買い物やめよう」って言ってて。そうすると普通の産業革命の人たちは「そんなのできない!」とか思うけど。そんな買い物しない人のハピネスってまた美学としてあるかもしれないし、例えばその発展がないのにハッピーになれるわけがないと思っているけども、伊勢神宮なんて発展しないでもう何百年も建て直してるのに、全然その人たちはハッピーだと思っているし。実はもともとない原住民でも発展もなくてハッピーな人がいるので。今、苦しまなきゃいけないと生き残れないっていうことてる暗いストーリーがあるんだけども。やっぱりそのどこでハピネスを感じるかによって変わると思うんでだから僕はだからそういう意味でいうと環境問題もデジタルもそうなんだけど哲学が変わると自然に良くなるものが、今哲学変えないと苦しみが出るっていう。ちょっとなんか、イマジネーションがないリアクションも何か全部は答えが出ないかもしれないけど何かヒントが出てくるといいなと思ってるんですよね。
伊藤穰一: またタイトルの話なんですけど。何がいいと思いますか?変革への道とか変革へのヒントなんかどういったタグラインがいいと思いますか?
武邑光裕: サブタイトルはやっぱり何だろう。変革への道でもいいし。変革論というのもちょっとアレだけど1つの道筋を毎回毎回何かJoiが見つけていくということがすごく、聞いてる人たちにとっても興味深いと思いますね。
伊藤穰一: 実は、これからまだ発表してないんですけども、とある大学でセンターを作ろうとしているので、そこに武邑先生も入ってもらうっていうこと。とあと今後デジタル長この新しい構想委員会の委員としていろいろアイデア出して手伝っていきたいと思いますので、その辺のアドバイス構想づくりと。そして、やっぱりクリエイティブコモンズの代表もずっとやっていて、クリエイティブコモンズとかオープンソースとかはすごくまだまだまだやることがたくさんあるので、それの考え方とか進め方も一緒にやっていきたいと思いますし、でこの今聞いていただいているポッドキャストをパイロットからレギュラーにしたいと思いますのでぜひJoi Ito's Podcast - 変革への道-を聴いてくださいね。
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