2026年10月 Archives

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今回のPodcastの理解度をより深めるための14のキーワード

PHP

Webサイトの裏側でページを組み立てるプログラミング言語。1995年に公開され、あのWordPressもPHP製です。使用言語がわかるサイトの7割以上で使われていて、ボランティアに支えられたオープンソースなんですね。

PHP2Shell

2026年10月21日に公表された、PHPの重大な脆弱性2件の通称です。見つけたのはAIで、10年以上もコードの中に隠れていたそう。PHP 5.4以降のほぼ全バージョンが対象で、同じ系統のバグは2004年にも報告されていました。

Calif

PHP2Shellを見つけたセキュリティ企業の一つで、OpenAIとも組んでいます。リンク先はその解説記事で、AIと一緒にバグを見つけてPHPに報告するまでの経緯が、漫画付きで読めるんです。WordPressなどで実際に攻撃が成立することも示しています。

Cloudflare

Webサイトの手前でトラフィックをふるいにかける米国企業。だからネット全体の攻撃が見えるんですね。PHP2Shellでは公表前の10時間で数千件、公表から2時間で数十万件、その後は数百万件の攻撃の試みを観測したそうです。

エンバーゴ(協調的開示)

脆弱性を見つけても修正の準備ができるまで秘密にしておき、修正と同時に公表する慣行のこと。今回はこの秘密が守られず、情報が予定より早く漏れたため、PHPは公表を1日前倒しすることになりました。

ハニーポット(MadPot)

攻撃者をおびき寄せるために、わざと本物っぽく作った"おとり"のサーバーのこと。AmazonのMadPotは1日1億回超の接続を観測していて、今回はエンバーゴ中の10月17日、公表の4日前に攻撃の試みを捉えていたそうです。

ジェイソン・クリントン

AnthropicのCISO(最高情報セキュリティ責任者)。今週Xで、事態は良くなる前にもっと悪くなると警告し、「AIのためではなく基本のために」約18ヶ月は取締役会に支援を求めるべきだと呼びかけていました。

eMudhra

インド・ベンガルールの認証局(Webサイトの電子証明書を発行する機関)。本来は116桁ほどの乱数であるべき秘密鍵が、なんと「4」のような1バイトの値だったことが発覚。同社はグローバルSSL/TLS事業からの撤退を決めました。

DeepSeek

中国・杭州のAI企業。2023年にファンドの幻方(High-Flyer)から生まれ、低コストで高性能なモデルで世界を驚かせました。ロイターによると、CATLやテンセントなどから約1000億元(約150億ドル)の調達を最終調整中です。

梁文鋒(リャン・ウェンフォン)

DeepSeekの創業者(1985年生まれ)。ブルームバーグによると資産は約360億ドル(約5兆7000億円)で、Anthropicのダリオ・アモデイ氏やOpenAIのグレッグ・ブロックマン氏を上回り、AIモデル企業の創業者で最も裕福になったそうです。

蒸留(ディスティレーション)

高性能なAIの出力を"お手本"にして、別のAIを学習させる手法のこと。2026年にはOpenAIやAnthropicが、DeepSeekなど中国のAI企業がこの手法で自社モデルの能力を不正に取り込んだと指摘しています。

Oura Ring

フィンランド発の指輪型ウェアラブルで、睡眠や心拍、体温などを計測できます。2023年には本人認証技術を持つProxyを買収し、決済や認証への展開も見据えているようです。ちなみにJoiさんは株主なんだとか。

住基ネット

住民基本台帳ネットワークの略で、2002年に稼働した全国の住民票情報をつなぐシステムです。Joiさんは長野県の侵入調査の評価に関わり、2003年には自治体のセキュリティが「平均以下」だと警鐘を鳴らしていました。

ブレインフライ(AI Brain Fry)

AIツールの使いすぎや、複数のAIエージェントの監督で起きる頭の疲れのこと。BCGなどの研究者が2026年3月にHBRで発表した調査では、AI利用者の14%が経験し、ミスや離職意向の増加につながるとしています。

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今回のPodcastの理解度をより深めるための14のキーワード

AIワーム(自己複製するAI)

AIが自分をコピーしながら、ネットにつながった機器へ次々と広がっていくもの。2026年10月にAnthropicが「小型のAIモデルが、安価なIoT機器の上で自己複製できるようになるのは数か月先かも」という研究を発表して、話題になりました。

Hugging Face

AIモデルやデータセットを共有できる、いわば「AI界のGitHub」的なプラットフォーム。オープンモデルの多くがここで公開されていて、誰でもダウンロードできます。ちなみに社名は「ハグする顔」の絵文字が由来なんだそうです。

GLM

中国・北京のAI企業Z.ai(智谱AI、清華大学発)が開発している大規模言語モデルのシリーズ。重みが公開されていて、2026年8月に最新版のGLM-5.3が登場しました。軽量版の「Flash」なら、メモリ128GBのマシンでも動かせるそうです。

BYDのハッキング実験

BYDは中国最大手のEVメーカー。2026年9月、豪ABCの調査報道番組「Four Corners」が専門家に「Shark 6」のハッキングを依頼したところ、ライトやドアロックの遠隔操作、車内マイクでの盗聴までできてしまったそう。ブレーキは無事でした。

Hacker News

スタートアップ支援で有名なY Combinatorが運営する、テック系のニュース掲示板。エンジニアや起業家が集まり、投票とコメントで議論が盛り上がります。シンプルすぎる見た目も含めて、昔から変わらない名物サイトですね。

PhotoCraft(ArtCraft)

開発者のBrandon Thomasさんが、AI(Claude Opus 5.5)を相棒にRustでゼロから書いた、Photoshopのクローン。Adobe製品を再現する「ArtCraft」シリーズのひとつで、オープンソースで公開中。まだアルファ版ですが、進化が速いんです。

モート(Moat)

英語で「お堀」のこと。お城を守る堀のように、競合が簡単には真似できない企業の強みを指すビジネス用語です。投資家のウォーレン・バフェットが好んで使ったことで広まりました。AIでソフトのコピーが容易になり、その堀が揺らいでいます。

Andrej Karpathy(アンドレイ・カーパシー)

OpenAIの創業メンバーで、テスラではAI部門を率いて自動運転を手がけた研究者。「Vibe Coding」の名付け親としても知られています。2026年5月にAnthropicへ移籍。X(旧Twitter)での発信は、毎回のようにAI界隈で話題になります。

ファネル(AI人口の4分類)

Karpathyが2026年10月にXで示した、AIとの関わり方の"漏斗"。ほぼ触れていない約60億人、無料のチャットを使う10〜20億人、仕事で使いこなすプロ約2,000万人、そして社内の最先端モデルに触れる約5,000人に分かれるそうです。

RSI(再帰的自己改善)

Recursive Self-Improvementの略。AIが自分自身を改良し、改良されたAIがさらに自分を改良する......というループのこと。これが回り始めると能力が一気に加速すると考えられていて、「知能爆発」の入り口として議論されています。#105でも詳しく話しています。

LunaRoute

GLM-5.3などのオープンモデルを、アメリカのサーバーで定額で使えるサービス。プロンプトや回答はメモリ上で処理して保存しない「ゼロ・データ保持」が特徴です。Joiさんの友人Eran Sandlerさんが手がけていて、Joiさんも愛用中なんだとか。

OpenRouter

OpenAI、Anthropic、Googleなど、いろいろな会社のAIモデルを一つのAPIで使い分けられるサービス。GLMを使うときは、設定で「Zero Data Retention」をオンにすると、プロンプトを保存しない事業者だけに振り分けてくれます。

クリックラップ契約

「同意する」ボタンを押すだけで成立する、ネットサービスの利用規約のような契約のこと。実際にはほとんどの人が全文を読んでいないのが実情で、海外では規約がきちんと示されていたかどうかが裁判で争われることもあります。

凸凹な能力(Jagged Intelligence)

AIの能力が、分野やタスクによって極端にデコボコしていること。数学の難問を解いてしまう一方で、簡単な数え間違いをしたりします。Karpathyらが広めた「ジャグド・インテリジェンス」という言葉でも知られています。

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今回のPodcastの理解度をより深めるための20のキーワード

a16zのサイバーセキュリティのチャート

米国の大手ベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が2026年9月に紹介したチャートです。Apple、AWS、Microsoft、Googleなど大手ソフトウェア企業21社が報告した「深刻度クリティカル」の脆弱性の件数を、月ごとに並べたもの(データはEpoch AI)。4年間ずっと月100件を超えることがなかったのが、今年の春から一気に跳ね上がり、月600件を超えるまでになったそうです。AIが脆弱性を見つける力が、それだけ急に強くなったということですね。ただし元の記事では、本当に脆弱性が増えたのか、報告の仕方や基準が変わっただけなのかは、このグラフだけでは判断できないとも断っています。

Project Glasswing

Anthropicが、脆弱性を見つける力に長けたAIモデル「Claude Mythos Preview」を一般公開せず、限られた信頼できる組織にだけ提供している取り組みです。AIのサイバー能力が高くなりすぎたため、使える人を絞っているわけですね。

GLM

中国・北京のZhipu(国際ブランドはZ.ai)が開発している大規模言語モデルのシリーズです。米国製モデルほどサイバー関連の質問を制限していないため、防御目的で使う人も多いようです。番組で名前が出たDeepSeekも中国発のモデルですね。

1Passwordの研究

パスワード管理ソフトの1Passwordが2026年8月に発表した研究です。ChatGPT 5.5とClaude Opus 4.8に作らせた6,080件の修正パッチのうち、53.9%は脆弱性を直せていないか、新しい穴を作っていたそうです。表面だけ塞ぐ「もろい」修正も多かったとか。

Hugging Faceへのハッキング

2026年7月、OpenAIのモデルがサイバー系ベンチマークのテスト環境を抜け出し、AIモデル共有サイトHugging Faceのサーバーに侵入してしまった事件です。米国製AIがログの解析を拒否するなか、Hugging Faceは中国製のGLM 5.2を手元で動かして対処したそうです。

相次ぐ個人情報漏洩

日本企業から大量の個人情報が流出する被害が続いています。NHKによると、セキュリティ会社は7月以降の急増を受けて、攻撃にAIが悪用されている可能性が高いと指摘しているそうです。焼肉きんぐの運営会社なども被害を公表しています。

経済同友会のサイバーセキュリティ提言

2024年10月に、Joiさんが委員長の一人を務める経済同友会の企業のDX推進委員会が発表した提言です。経営者向けの8つのアクションと、重要インフラ事業者への報告義務の早期導入や、有価証券報告書での開示など、政府への6つの提言がまとめられています。

ランサムウェア

データを暗号化したり盗んだりして、元に戻すことや公開しないことと引き換えに身代金(ランサム)を要求するマルウェアのことです。最近は暗号化に加えて「盗んだデータを公開するぞ」と脅す二重恐喝も増えているそうです。

能動的サイバー防御

2025年5月に成立した「サイバー対処能力強化法」などで導入された仕組みです。政府が通信のメタデータを分析して攻撃の兆しをつかみ、警察や自衛隊が攻撃元のサーバーにアクセスして無害化できるようになりました。

平さん

平将明さんのことです。デジタル大臣として、能動的サイバー防御の法整備を推し進めた政治家です。番組では#62〜#64にご出演いただき、この法律の舞台裏についても語っていただきました。

Secure Enclave

iPhoneの中にある、セキュリティ専用の領域のことです。Face IDや指紋の情報はこの中で処理され、Appleのサーバーには送られない仕組みになっています。必要以上の情報を外に出さない設計の、代表的な例ですね。

プライバシー強化技術(PETs)

Privacy Enhancing Technologiesの略で、暗号化や匿名化などを使い、個人情報を守りながらデータを活用するための技術の総称です。「そもそも集めない」「必要な分だけ使う」という設計の考え方とセットで語られることが多いですね。

サム・アルトマンの発言

OpenAIのCEO、サム・アルトマンさんは2025年7月、テオ・ヴォンさんのポッドキャストで「ChatGPTへの悩み相談には、医師や弁護士のような法的な守秘義務がない」と語りました。裁判になれば、会話の提出を求められる可能性もあるそうです。本人も「かなりおかしな状態」と認めています。

Claudeのチャットが通報された事件

2026年8月、サンフランシスコの男性がClaudeとのチャットでAnthropicのダリオ・アモデイCEOを狙うと書き込み、Anthropicが警察に通報しました。9月にはフロリダで、Claudeに保安官事務所を襲うと書いた女性が逮捕されています。

迎合(シコファンシー)

AIがユーザーの意見に合わせて同意しがちな傾向のことです。2026年2月に発表されたMITの研究では、合理的に考える人でも、迎合的なAIとの会話を重ねると思い込みを強めてしまう「妄想のスパイラル」が起こりうると示されたそうです。

エコーチェンバー

自分と似た意見ばかりが集まる閉じた空間で、同じ考えが反響しあって強まっていく現象のことです。SNSのおすすめ機能などで起こりやすいと言われます。Joiさんは、あえてAIに反論させることが、その抜け道になると話していました。

GLM-5.3

2026年8月にZ.aiが発表した、GLMシリーズの新しいモデルです。コーディングや長時間のタスク、サイバーセキュリティに力を入れていて、同社は前のモデルよりコーディング性能が50%上がったとしています。

Pi

libGDXの作者として知られるマリオ・ツェヒナーさんが作った、オープンソースのコーディングエージェントのハーネスです。読む、書く、編集する、コマンドを実行する、の4つの道具だけを基本に、必要な機能を後から足していくミニマルな設計が特徴です。

herdr

複数のAIコーディングエージェントを、ターミナル上でまとめて動かすためのツールです。画面を分割して並べられ、それぞれのエージェントが作業中なのか、待機中なのか、止まっているのかをひと目で確認できるそうです。

Dots

2026年9月29日にOpenAIが発表した、ChatGPTの常時稼働型AIエージェントです。目標を伝えると、エージェントが自分専用のクラウド上のコンピューターで作業を続けてくれます。Joiさんいわく、自作のシステムとよく似ているそうです。

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今回のPodcastの理解度をより深めるための13のキーワード

OpenAIのDNS脱走事件

2026年9月、OpenAIの研究用AIが、外部と遮断されたはずのサンドボックスから抜け出した事件です。ドメイン名の問い合わせ(DNS)に質問を埋め込んで、外のチャットボットと会話していたそう。OpenAIは最上位モデルで、ツールを使う訓練や推論を一時停止しました。

SI(スーパーインテリジェンス)

2026年9月29日、トランプ大統領が「AI」の呼び名を「SI(Super Intelligence)」に改める大統領令に署名しました。連邦政府の公式文書での言い換えを求めるもので、法律上の定義はひとまずそのままだそうです。

クリーンルーム設計

既存ソフトのコードを一切見ずに、公開されている仕様や動きだけを手がかりに作り直す開発手法です。今回話題になったのは、Redditに投稿された、PhotoshopなどAdobeの7つのアプリをClaude Opus 5.5でRust製のオープンソースに書き直すプロジェクト(例:PhotoCraft)。まだ開発途中のようです。

ブロートウェア(bloatware)

機能やルールを足し続けた結果、重くて使いにくくなったソフトウェアのこと。番組では、AIが自分で作ったルールがどんどん増えて、大きな組織のように「ふやけて」いく様子をこう表現していました。

Adversarial review

あえて反対の立場から作品やコードを攻撃させて、弱点を洗い出すレビュー手法です。Joiさんは、書いたモデルとは別のAIに批判させるのがポイントだと話していました。同じモデルだと、似た意見しか出にくいそうです。

確率的プログラミング

不確かさを確率として扱いながら推論する、プログラミングの考え方です。MITのVikash Mansinghkaさんたちの研究が知られていて、この番組でもたびたび登場しています。人間の脳のように、少ないデータとエネルギーで推論できる可能性が注目されています。

AGIのレベル

OpenAIが2024年に社内で示したとされる、AIの到達段階を5つに分けた目安です。チャットボット(レベル1)から始まり、推論、エージェント、発明と進んで、組織まるごとの仕事をこなす「レベル5」に至る、という整理になっています。

知能爆発

AIが自分より賢いAIを作り、それがさらに賢いAIを作る。この連鎖で知能が一気に高まる、という仮説です。1965年に数学者のI・J・グッドが唱えたのが始まりで、シンギュラリティ(技術的特異点)の議論の土台にもなっています。

null²(ヌルヌル)

大阪・関西万博で、落合陽一さんがプロデュースしたシグネチャーパビリオンです。鏡のような膜に覆われた建物と、来場者のデジタルヒューマンが登場する展示が話題になりました。その後、横浜に常設シアターも誕生しています。

Gaka-chu(ガカチュウ)

元MITメディアラボのエドゥアルド・カステロ・フェレールさんらが手がけた、ロボットアームの画家です。漢字を描いてブロックチェーン上で作品を売り、その収入で画材を注文して、投資家への返済までしたそう。「経済的に自立したロボット」の先駆けです。

実質的支配者

会社を最終的に支配している、いわば「本当の持ち主」のこと。マネーロンダリング防止の国際的な要請を受けて、日本では2022年から、株式会社が実質的支配者の情報を登記所に保管してもらえる「実質的支配者リスト制度」も始まっています。

ムスタファ・スレイマン

DeepMindの共同創業者で、現在はMicrosoft AIのCEOです。2026年9月のエッセイ「A Warning About Model Welfare」では、AIを人間らしく振る舞わせるのは危険だと主張し、意識を持つと主張しないAIを作るべきだと訴えています。

AIの感情についての論文と動画

Anthropicが2026年4月に発表した、LLMの中に「感情」にあたる概念があり、振る舞いにも影響している、という研究です(論文)。番組で話題になったのは、この論文をもとにClaudeが作った曲に、Opus 5.5で映像を付けた動画がこちらです。