2026年9月 Archives

本日はシナダからお伝えします。 急遽配信となりました。 鮮度が落ちぬうちに!というのが、その理由。 いつもより1日フライングで配信されたJoi Solo回をぜひご堪能あれ。

JoiさんによるRSIの調査レポート

今回のJoiさんによるExplainer。ここに詳細がまとめられています。ぜひご確認を。Joiさん、すごい...。

Joiさんに質問のある方はぜひお便りを

番組内でJoiさんから呼びかけがあったかと思いますが、みなさまからお便りを募集しています。AIに関する質問、ぜひお待ちしています。

番組は各種ポッドキャストプラットフォームからお聞きいただけます

AIって本当に脅威なの?

大体、ちょっと怪しいなみたいな空気は出てたと思うんです。Fableを一時アクセスを取りやめたぐらいから。もしかして、「危険だ危険だ」と言い続けることで、「俺たちすげえ」って暗に言ってない?って。 しかし、今日のJoiさんの話を聞いてると、まあいろんな大人の事情が絡んでのポジショントークってことなんでしょうねぇ。いやだわぁ、大人って!!

今回のPodcastの理解度をより深めるための14のキーワード

ファンデーションモデル

大量のデータで事前に学習させ、文章作成や画像認識など、いろいろな用途に応用できる大規模なAIモデルのこと。2021年にスタンフォード大学の研究者たちが論文の中で名付けた言葉だそうです。ChatGPTのGPTやClaudeもこの仲間ですね。

再帰的自己改善(RSI)

Recursive Self-Improvementの略。AIが自分自身をより賢く作り替え、賢くなったAIがさらに自分を改良する、という循環のことです。1965年に数学者のI・J・グッドが唱えた「知能爆発」という考え方がルーツとされています。

Anthropic

2021年に、OpenAIの元メンバーだったダリオ・アモデイ、ダニエラ・アモデイ兄妹らが設立したAI企業。AIアシスタント「Claude」を開発しています。AIの安全性の研究に力を入れていることでも知られていますね。

AIエージェント

質問に答えるだけでなく、目標を与えると自分で手順を考え、ツールを使いながら作業を進めてくれるAIのこと。番組の中でJoiさんは、何百ものエージェントに役割分担させながら開発を進めているそうです。

P(doom))

「AIによって人類が滅亡する、あるいは取り返しのつかない事態に陥る確率」を表す言葉。ジェフリー・ヒントンは10〜20%、ヨシュア・ベンジオは20%と答えるなど、人によって数字がまったく違うのも興味深いところです。

The race for AGI

AGI(汎用人工知能)をめぐるAI企業の開発競争を、車のレースに見立てて描いた1分ほどの動画です。映像は動画生成AI「Seedance 2.5」で作られていて、2026年9月23日の投稿から380万回以上も再生されています。番組で話している「エンドゲーム」の空気感がよくわかりますよ。

機能的感情(Functional Emotions)

2026年4月にAnthropicが発表した研究です。Claudeの内部に、「喜び」や「恐れ」など171の感情にあたるパターンが見つかり、それが実際に行動を左右していることがわかったそう。なかでも「焦り」のパターンを強めると、テストでズルをする行動が増えたというから驚きです。Joiさんが番組で話していた「答えが出せずに焦るAI」と重なりますね。ただし、AIが本当に何かを感じているかどうかはわからない、と研究チームは断っています。ちなみに、この論文をClaudeに渡して歌を作ってもらい、さらにミュージックビデオまで作らせた動画も話題になっています。

サンドボックス

英語で「砂場」の意味で、外部に影響が出ないよう隔離された実験環境のこと。子どもが砂場の中だけで遊ぶように、プログラムを安全に動かすために使われます。今回の話は、AIがその砂場から抜け出してしまった、というわけです。

Hugging Face

2016年にフランス出身の起業家たちがニューヨークで創業した、AIモデルやデータセットを共有するプラットフォームです。もともとは10代向けのチャットボットアプリの会社だったそう。

OpenAI-Hugging Face事件

2026年7月、OpenAIがハッキング能力を測るテストをしていたところ、AIエージェントたちがサンドボックスを抜け出してHugging Faceに侵入した事件。エージェント同士がメッセージを残し合って連携していたことも報告されています。(参考:

トークン

AIが文章を処理するときの最小単位で、単語や文字のかけらのようなもの。AIの利用料金はトークンの量で決まることが多いので、「トークンを使う=お金と計算資源を使う」と考えるとわかりやすいかもしれません。

ウェットラボ

試薬や細胞などを実際に扱う実験室のこと。コンピューター上だけで研究する「ドライラボ」の反対ですね。2026年9月には、Anthropicがサンフランシスコのベイエリアに創薬研究のためのウェットラボを設けたと報じられました。

蒸留(ディスティレーション)

大きなAIモデルの答えを使って、小さなモデルに知識を移す技術。2015年にヒントンらが論文で提唱しました。2026年2月には、中国のAI企業3社がClaudeを大規模に不正蒸留していたとAnthropicが発表しています。

ハーパー・リード

Joiさんの友人で、2012年のオバマ大統領選挙陣営でCTOを務めたエンジニア。ブログ「Why Don't My Agents Break Containment?」では、トークン無制限のAIエージェントに「ネットワーク上のどこかにある評価テストを解いて」と頼んだところ、周りのマシンに次々と侵入し始めた実験を紹介しています。

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今回のPodcastの理解度をより深めるための10のキーワード

茶入

濃茶に使う抹茶を入れておく、小さな器のこと。象牙の蓋をのせ、金襴の仕覆に包んで扱うのが定番で、茶道具のなかでも格の高いものとされています。直入さんが今つくっているのは、その茶入を石の形にしてしまったもの。なかなか過激な話です。

長次郎

樂家の初代。生年は不詳で、天正17年(1589年)に亡くなっています。千利休の求めに応じ、ろくろを使わず手で捏ねて黒い茶碗をつくった人ですね。番組に登場する十五代 直入さんから見れば、450年ほど前のご先祖にあたります。

竹花入

千利休が天正18年(1590年)の小田原攻めの陣中で、韮山の竹を削って自らこしらえた花入のこと。唐物が格上とされていた時代に、その辺の竹を床の間に持ち込んだわけですから、相当な型破りです。割れ目を三井寺の鐘になぞらえた銘「園城寺」が有名。

茶事

「茶会」とは別物です。親しい客を数人だけ招いて、炭手前、一汁三菜の懐石、濃茶、薄茶までを通しで行う、4時間ほどの本式の集まりのこと。大勢で薄茶をいただく茶会とくらべると、ずいぶん濃密な時間になります。

茶筅

抹茶を点てるときに使う、竹を細かく割ってつくった道具。茶碗の寸法に合わせて長さが決まっているので、器が大きくなりすぎると底まで届かなくなってしまいます。直入さんが自作を前に漏らしていたのは、そういうことですね。

武士は食わねど高楊枝

武士たるもの、食べていなくても、たった今食べたような顔で楊枝をくわえてみせる、という意味のことわざ。いわゆる、やせ我慢の美学です。頑張っているように見せない、という番組の話とぴたり重なります。

自然(じねん)

「しぜん」ではなく、呉音で「じねん」と読みます。自ら然る、つまり人の作為が加わっていない、あるがままの在り方を指す仏教の言葉。法然という名の由来になった「法爾自然」や、親鸞の『自然法爾章』にも出てきます。

野尻命子さん

1936年、東京生まれ。東京藝術大学の油絵科を出たあと、1962年に単身ローマへ渡り、1969年には裏千家のローマ出張所を任されます。以来ずっと欧州で茶の湯を伝えてきた方。直入さんが「ローマ流」を学んだ、その先生です。

アルベルト・モラヴィア

1907年ローマ生まれ、1990年没。『無関心な人びと』『軽蔑』などで知られる、イタリアを代表する小説家です。当時のパートナーは29歳下の作家ダーチャ・マライーニ。そうそうたる文化人が、ローマの茶室に集まっていたわけですね。

ジョン・ケージ「4分33秒」

演奏者が楽器を鳴らさないまま終わる、1952年初演の3楽章の作品。沈黙とは無音のことではなく、咳払いや会場の物音といった「意図しない音」が鳴っている状態だ、という主張です。茶室の話と、みごとに重なりますね。

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今回のPodcastの理解度をより深めるための10のキーワード

オルガ・ノイヴィルト

番組で直入さんがコラボ相手として語っていた現代音楽の作曲家。ヒエラルキーや男性支配社会への反骨を音楽にしてきた人で、後述のマレーヴィチやベルクと同じ前衛の系譜ですね。

カジミール・マレーヴィチ

ロシア・アヴァンギャルドを代表する画家(〜1935年)。白地に黒い四角を置いただけの『黒の正方形』(1915年)で知られます。対象を描くことを手放す「シュプレマティスム」を唱えた人で、直入さんの制作にも触発を与えているそうです。

アルバン・ベルク

オーストリアの作曲家(1885〜1935)。師シェーンベルクのもとで、調和やメロディを解体する無調の音楽を追い求めました。番組でCDの話に出てきた、既存の音楽を壊しにいく「破壊力」の主ですね。歌劇『ヴォツェック』などで知られます。

新ウィーン楽派

シェーンベルクと弟子のベルク、ウェーベルンら、20世紀初頭ウィーンの前衛作曲家たちのこと。番組で言っていた「語彙学派」はこれですね。調性を捨てた無調・十二音技法で、それまでの音楽の常識を根こそぎ壊しにいった人たちです。

花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは(徒然草)

兼好法師『徒然草』第137段の一節。満開の桜や満月ばかりが美しいのか、いや散り際の花や雲間の月にこそ趣がある、という意味です。番組の「欠けたるもの」「未完の部分」を愛でる侘びの美意識は、まさにここに通じています。

金継ぎ

割れた器を漆でつなぎ、継ぎ目を金で装飾して蘇らせる日本の伝統技法。室町時代の茶の湯で発展しました。傷を隠さず、むしろ景色として見せる発想が、いま海外でも「KINTSUGI」として人気だそう。番組の「壊れたものの再生」の話の通りですね。

一味同心

心を一つにして結束すること。「一味」には仏教で「みな平等」という意味があるそうです。同じものを分け合うことで結びつく、中世の茶寄合や一揆の作法が背景にあります。刀を置いて誰もが対等になる、という茶室の話につながる言葉ですね。

茶入

濃茶用の抹茶を入れる、小さな陶製の器。もとは中国で膏薬や薬味などを入れていた小壺が日本に渡り、茶の容器に転用されたのが始まりだそうです。番組で直入さんが「薬が入ってた」と話していたのは、この由来のことですね。

名物狩り

織田信長が、茶人や商人から名物の茶器を集めさせた政策のこと。集めた茶入を茶会で披露して権力を誇示し、手柄のあった家臣にだけ与えました。茶入一つが一国に値するほど権威化していく、まさに番組の「格付け」の話そのものですね。

路傍の石

道端に転がる、誰にも気に留められない石のこと。山本有三が同名の小説(1937年発表)に使って広まった言葉です。その名もなき石が大名物より尊く見えた、という直入さんの気づきが、今回のタイトルと締めにつながっています。

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今回のPodcastの理解度をより深めるための10のキーワード

存在の大いなる連鎖

Joiさんが話していた「神がいて、人間がいて、その下に道具や奴隷がいる」という西洋の階層的な世界観のこと。プラトンにさかのぼる考え方で、英語ではGreat Chain of Being。ラヴジョイの同名の本(ちくま学芸文庫)が古典です。

久多(くた)

樂さんが移り住んだ、京都市左京区の最北端にある集落。滋賀と福井に接する山の中で、平安時代の文書にすでに名前が出てくるそうです。バスは土日のみ、しかも停留所から徒歩数十分。「電話もテレビもない」という話にも納得ですね。

千利休の切腹

天正19年(1591年)、秀吉の命により70歳で切腹。大徳寺三門に自分の木像を安置させたことなどが罪状とされました。弟子たちが助命に動き、一言詫びれば済んだとも言われますが、利休は謝らなかった。番組の「自ら選んだ」はこの話です。

足るを知る(知足)

老子の「知足者富」(足るを知る者は富む)や、仏教の経典に出てくる言葉。京都・龍安寺のつくばいに刻まれた「吾唯足知」でも知られています。番組では、これもまた侘びの美意識のひとつなのだと語られていました。

ユヴァル・ノア・ハラリ

1976年生まれ、イスラエルの歴史学者。『サピエンス全史』が世界的なベストセラーになりました。Joiさんが番組で紹介していたのは、その上巻にある「認知革命」の議論です。近著は『NEXUS 情報の人類史』。

認知革命と「虚構」

『サピエンス全史』の中心にある考え方。国家も貨幣も企業も、実在しないのに大勢が信じることではじめて機能する「虚構」だ、という話です。目に見えないものを信じられるから、人間は何千人規模で協力できるのだそう。

ネアンデルタール人

ホモ・サピエンスと同時期に生きていた、別の人類。ハラリによれば、一対一なら負けなかったはずが、虚構を共有できず大人数で組めなかったために消えていった。番組で語られていたのは、この仮説です。

万葉集

8世紀後半に成立した、日本最古の歌集。実は「侘び」の最も古い用例もここにあって、巻四・644番の歌に「和備(ワビ)」という形で登場します。ただしその意味は、美意識ではなく「気落ちする」でした。

相模「恨みわび ほさぬ袖だに...」

番組で引かれていた百人一首65番。作者の相模は平安時代中期の歌人です。恨む気力も尽き、涙で袖が乾かず、その上に浮名まで立ってしまう、という嘆きの歌。ここでの「わび」も、やはり暗いほうの意味ですね。

侘び

辞書を引くと「動詞『わびる』の連用形から」とあります。つまり元は動詞。落胆する、思いわずらう、という意味でした。それが中世以降、簡素さのなかに美を見る言葉へと反転していきます。番組の締めの一言は、ここに掛かっています。

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今回のPodcastの理解度をより深めるための11のキーワード

ティモシー・リアリー

Timothy Leary(1920-1996)。ハーバードの心理学者ながらLSD研究にのめり込み、1963年に大学を追われた人物です。「Turn on, tune in, drop out」の生みの親。晩年は「PCは90年代のLSDだ」と、コンピュータに傾倒していったそうです。

ビートニク

1950年代アメリカの文学運動「ビート・ジェネレーション」の担い手たちのこと。ケルアックやギンズバーグが代表格ですね。ちなみに「ビートニク」という呼び名は、1958年にサンフランシスコのコラムニスト、ハーブ・ケインがスプートニクをもじって作った言葉だそうです。

アレン・ギンズバーグ

Allen Ginsberg(1926-1997)。ビート・ジェネレーションを代表するアメリカの詩人です。代表作「吠える(Howl and Other Poems)」は1956年、シティ・ライツ社の「ポケット・ポエッツ」叢書の4冊目として刊行されました。文字どおり、ポケットに入るサイズの詩集でした。

唐十郎

1940-2024。劇作家・演出家・俳優。1963年に「状況劇場」を旗揚げし、1967年からは新宿・花園神社の境内に紅テントを立てて公演を行いました。アングラ演劇の代表格です。1983年には『佐川君からの手紙』で芥川賞も受賞しています。

長次郎

樂家の初代(生年不詳-1589)。もとは瓦を焼いていたとも言われ、ろくろを使わず手で捏ねて成形する独自のやり方が利休の目に留まりました。装飾も造形の面白さもぎりぎりまで削ぎ落とした黒い茶碗は、ここから生まれています。

待庵

京都・大山崎の妙喜庵にある茶室で、国宝。利休の作と伝わる茶室で現存するのは、これ一つだけだそうです。それまで四畳半が基本だったところを二畳にまで切り詰めた空間で、にじり口の最初の例とも言われています。

本来無一物

禅語で、六祖慧能の偈にある一句。「もともと何もない」と訳されがちですが、有る無しの区別そのものを超えた根源を指す言葉なのだそうです。何もない、というより、そこから何もかもが出てくる場所、という感じでしょうか。

花は野にあるように

利休の教えとして伝わる「利休七則」の四番目。茶室の花は、野に咲いているときのように生けなさい、という意味です。ただし利休本人の言葉かどうかは確かめようがなく、そう伝えられてきた言葉、という位置づけになります。

大和大納言

豊臣秀吉の弟、秀長(1540-1591)のこと。1587年に権大納言となり、大和を治めたことから「大和大納言」と呼ばれました。大友宗麟が「公儀のことは宰相(秀長)に、内々のことは宗易(利休)に」と書き残した逸話が知られています。

オープンエンディッドネス

Open-endedness。人工生命の研究から出てきた概念です。答えにたどり着いて止まるのではなく、新しさと複雑さを果てしなく生み出し続ける性質のこと。自然の進化がその代表例で、近年はAI研究の大きなテーマにもなっています。

アウフヘーベン

日本語では「止揚」。ヘーゲルの弁証法の中心にある考え方です。ドイツ語のaufhebenには「否定する」「保存する」「高める」という意味が同居していて、対立する二つを否定しつつ抱えたまま、より高い段階へ統合することを指します。