2008年2月 Archives

Larryより

この動画では試験的な二つのプロジェクトが始まったことを解説しています。一つめはアメリカ連邦議会改革運動のことで、二つめは私がカリフォルニア12区から下院議員に立候補するかどうかについての私自身の判断のことです。

私は決めました。私の可能な限りの労力を連邦議会改革運動に費やすつもりです。そして今後一週間ほどで、私が下院議員に立候補することが同運動に貢献することになるかどうか、判断するつもりです。

私のこの決断に関して、多くの友人から全面賛成と絶対反対の両方を含む意見をもらっています。さらに多くの人たちがdraftlessig.org、もしくは私に検討を呼びかけるFacebookのグループに参加してくれています。

動画を視聴してもらえれば、私の考え方の一部はわかってもらえると思います。意見や助言があれば遠慮なくlessig@lessig08.orgに送って下さい。(返事が遅くなってしまうかもしれないのであらかじめお詫びします。)

2008年2月19日
Larry Lessig

詳しくはLessig08を参照のこと

がんばれ Larry!

追記: Larry が出馬をやめた理由

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数週間前にStewart BrandからあるEメールが来た。僕がまだWorld of Warcraftをプレイしているか、そして小説「DAEMON」は読んだかを尋ねる内容だった。僕はWorld of Warcraftはまだやっていたものの「DAEMON」は読んでいなかった。これども、アマゾンのおかげで数日後にはもう読んでいた。

何年も前に、MUD(マルチ・ユーザー・ダンジョン)と、それが現実世界の人々に対して与える強い影響力について考えていたことを思い出した。MUDは最初のMMORPG(多人数参加型のオンラインのロール・プレイング・ゲーム)で、僕はそれにハマッている人を何人か知っていた。そして、僕もハマッた。(僕の名前がWiredに初めて登場したのも、1993年にHoward RheingoldがKevin Kellyと書いたMUDに関する記事で、僕の熱中ぶりに言及した時だったと思う。)人々はMUDの世界で結婚したり、離婚したり、仕事をクビになったり、アイディアを共有しあったりしていた。僕がプレイしたいくつかのMUDは、ゲーム内で出会う人々を介して、現実世界とつながっていた。

MUDというものはWorld of WarcraftよりもSecond Lifeに近く、プレイヤーは部屋やモンスターやオブジェクトを作り出すことができた。MUDに参加するということは、そのゲームをプレイしている人々の知性の凝集体に足を踏み入れるようなものだった。そこには参加者各自が現実世界の知識を駆使して作り出すクエストがあった。そうした彼らの世界でプレイすることは、彼らの脳内を歩きまわるようなものだった。いろいろなところから来た人々が、多種多様なテーマと目的を掲げたMUDを共作していく中で、これらの世界は融合しあい、衝突しあっていた。

MUDはその後MMORPGの進化経路上のどこかの時点で分岐し、オブジェクトや世界を創出することを好む人はほとんど、ゲームも作り出すことはできるものの主には世界の創出がその活動となるSecond Lifeのような場に移っていった。これに対して、いわゆるゲーマー層は、ゲームのプレイ面が高度に洗練される一方でプレイヤーによるコンテンツ作成がまったくできないWorld of Warcraftのようなゲームに移行した。(後者の開発陣は元熱狂的MUDプレイヤーだらけだったりするけれど。)

僕は今よりもMUDを活発にプレイしたり解析したりしていた頃に、次のようなイメージを抱いていた―。MUDの世界をちょいと裏返し、自分自身がそのMUDだと想像してみると、ゲームのプレイヤーたちは現実世界における自分の手駒やインターフェースのようなものにあたる。彼らはコンテンツを入力し、世界を創出し、現実世界を自分に教えてくれる。そして自分のことを友人たちに宣伝してくれる。彼らがゲームの経験値を稼ぐことに熱中し、よりのめり込んでくれることで、彼らは自分に糧となるものを提供し続け、生かし続けてくれる。彼らは彼ら自身ののめり込み先として、あるいはこれまでの投資を無駄にしないようにするために、サーバーを用意したり使用料を払ってくれたりもする。そしてMUDである自分が爆発的な人気を得ることができれば、プレイヤーの中には自分のDNAコードを使った新しいMUDを派生させる者が出てくる。自分の複製ともいえる存在が誕生するわけだ。

コアなプレイヤーたちはオープンソースである自分のソースコードを解析して、進化させ続けてくれる。コードの魔術師たちが自分のコードを使った個々のMUDを教育し、それぞれに個性を持たせてくれる。そしてそれをプレイするプレイヤーたちが、現実世界における自分の存在証明になるのだ。

ゲーマー層のほとんどが、企業の管理下にある開発チームによってデザインされたクローズドソースのゲームに移行した時、僕はこのような夢を見るのをやめてしまった。このように進化するだろうと僕が想像していた「生きた」状態ではなくなってしまったからだ。

ところが「DAEMON」を読んだことで、その夢が舞い戻ってきた。著者Leinad Zeraus氏の描く物語では天才MMOデザイナーの死後、彼の作り出した巨大なコンピュータデーモンが世界を乗っ取っていくことになる。これはいろいろな意味で僕が想像していた構図に似ているけれど、著者は恐ろしげなひねりを加えたうえで、スケールを遥かに遥かに大きなものにしている。これだけ感銘を受けた本は久しぶりに読んだ気がする。著者は「Fortune 100社と取引のある独立系システムコンサルタントで、防衛、金融、エンターテイメントの各業界向けの企業用ソフトウェアのデザイン実績をもつ」そうだ。その経験を活かして著作に抜群のリアル感と説得力を持たせつつ、なおかつ強烈なインパクトを与えてくれる。

読んでいて非常に楽しめた本なので、ネットやゲームが好きな人なら誰にでもオススメしたい。でもって、それらが好きじゃない人たちにもオススメしたい。これを読めば、こういったことのすべてを理解しておくことが重要であるということがわかる。手遅れになる前にね。

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ハローキティのMMORPGのベータテストが始まった。

Sanrio Digitalの「ハローキティ・オンライン」がクローズドベータのプレーヤーを募集

香港発、2008年2月12日
Sanrio Digital(www.sanriodigital.com)は本日、Sanrioの人気キャラクターたちが登場する多人数参加型オンラインRPG「ハローキティ・オンライン」のクローズドベータ版の公開を発表しました。「ハローキティ・オンライン」ではプレーヤーはSanrioのファンタジー世界(つい最近、謎の邪悪な力の支配下に入ってしまった魔法の世界)で冒険することができます。

クローズドベータ版への参加を希望するプレーヤーは、公式ゲームサイト(www.hellokittyonline.com)またはコミュニティサイト(www.sanriotown.com)から応募して、2008年下期にリリース予定の「ハローキティ・オンライン」を一足早く体験できます。「ハローキティ・オンライン」はプレティーンから20代までの女性プレイヤーをターゲットとしており、この層に焦点を絞った初めてのインストール型MMORPGです。

やったね!すぐにでも参加したいよ。ゲーム内で「We Know」ギルドを作らなきゃ。

情報開示:僕はSanrio Digitalの役員で、この担当チームと一緒に仕事をすることがある。

「24/7:自作ビデオサミット」に参加するため、ロサンゼルスに向けて発つ予定だ。
妹のMimiのブログから抜粋すると:

私たちは今、動画の作成・共有・閲覧方法の根本的な変革の端緒にある。この変革によって、広くアマチュア層による動画作成とピアツーピアまたは多対多方式での、広狭を問わない視聴者層に対する配布が可能というメディア環境が整いつつある。ユーザー発のボトムアップのデジタル動画に対する需要が非常に大きいことは明白だが、これらの活動や創作プロジェクトをどのように支援するのが最良か、記録的・芸術的活動に対する影響がどのようなものであるのか、また、新旧のメディア間の橋渡しをどのように行うべきかといったことについては、いまだその見通しは立っていない。インターネットや自作の動画コミュニティ内の特定集団を対象としたイベントは数多く存在するものの、この部分で、様々な創作コミュニティ、技術開発者、学者、および政策決定者などの多岐に渡る人々を一同に介させようとするイベントは今までなかった。

本イベントの目標は、連携や対話の円滑化によりインターネットという動画空間に対する大衆の関心を高め、アマチュアと草の根系の創作コミュニティから生み出されつつある新しい形態の作品をお披露目する場を設けることである。企画としては、学術的なパネルディスカッション、ワークショップ、および各ジャンルの自作動画上映(自作ミュージックビデオの制作実演、活動家系メディア、マシニマ、動画ブログ、政治系リミックス、アニメミュージックビデオ、若者系オススメ動画、独立系アート動画などを含む)を予定している。講話者にはYochai Benkler、John Seely Brown、Joi Ito、Henry Jenkins、Lawrence Lessig、Howard Rheingoldらが名を連ねる。目指すところは、互いに共有できる場所を見出すことで、進化し続けるメディアの恩恵を、草の根とメインストリーム、アマとプロ、アーチストと視聴者層の皆が受けられる、そんな未来に向けた道筋作りである。詳しくはこちらから。

僕はいろいろなパネルディスカッションとワークショップに参加する予定だ。スケジュールはここで確認できる。僕がぜひ参加したいと思っているパネルディスカッションの一つがこれ。
全体会議:自作動画の未来を思う
議長:Howard Rheingold.
パネリスト:Joi Ito、Yochai Benkler、Henry Jenkins、John Seely Brown、Lawrence Lessig
セッションの大半はウェブ上でそのまま放映されるみたいだけど、これについては技術的な理由でいったん録画されたものがアップロードされる予定だ。

とにかく、大勢の友人と再会し、皆さんと意見交換ができるのを楽しみにしている。

一昨年に完全菜食を始めてから、この食生活を表わす上手な表現を僕は探し続けていた。さらに僕と同様の食生活を始めたLawrence Lessig が「菜食」という言葉が(実際の彼の食事はまさにそうなのに)気に入らないなどと言ったので、僕のこのことば探しの気持ちは強まった。この言葉の問題点は、いくらか政治的な響きを持ってしまうことと、完全菜食の食生活と言った場合、精製されたでんぷんや油などの高カロリー低栄養食品も含んでしまうということだ。

例えば実際の問題として考えると、機内で完全菜食主義の献立をリクエストしたらトマトソースのパスタが山盛りで出てきてしまう--完全菜食主義とはそういうことではまったくない。我々の食生活のポイントは、できる限り健康的なホールフーズを食べるということ。精製されたでんぷんや、油、肉は、植物由来ホールフーズと比較して、1カロリーあたりの栄養分が遥かに少ない点が問題である。我々の食生活の効果としては、ひとつには動物性タンパクや「悪玉脂肪」を減らすということも挙げられるわけだけれども、そのことよりも遥かに重要なのが、「栄養が無くカロリーだけ」の食べ物の割合が減るということなのだ。

ともかく僕は、さしあたり、現在の僕の食生活を「植物由来ホールフーズ」(plant-based whole foods)と仮称することに決めた。もしこれよりいい表現を思いついたなら、どなたでも是非知らせていただきたい。とりあえず僕はまだ思いつかない。

追記:PMOG(The Passively Multiplayer Online Game)のプレイヤー向けの告知だけど、ミッションの一つとしてVeganism(完全菜食主義)を作ってみた。でも難点があってplant-based whole foods(植物由来ホールフーズ)の場合、「主義」の "ism"をつけると、plant-based whole foodsism...さすがに長くなりすぎる。...うーむ。

この前の週末、Preventive Medicine Research Institute(PMRI)が開いている静養プログラムに参加した。PMRIは、Dean Ornish氏が、予防医学に関する自分の研究を進めるために設立した組織だ。

このブログの読者ならご存知のように、僕は2006年12月に完全菜食主義の食生活を始め、運動と瞑想をするようになり、今では「Joi 2.0」にバージョンアップするに至っている。それ以来、僕の頭と体の中で起こっていることをこのブログの読者や友人たちに伝えようとしてきた。

その間に、TEDカンファレンスでDeanの講演を聴く機会があった。そこでは低脂肪な完全菜食の生活によって、心臓病の進行を遅らせることができるばかりか、その病状を改善できることが話されていた。そしてそのとき彼の名前は、僕の頭の中で、「クールな要チェック人物」の一人としてファイリングされた。

Lawrence Lessigは前回のTEDカンファレンスでDeanと出会い、その際に再会を約束していた。最近体調が戻りつつあるLarryは、僕が興味を示すことがわかっていて、一緒にDeanに会いに行かないかと誘ってくれた。そしてDeanに会った後、我々は近く開催される静養ウィークエンドに招待され、彼の新著「Spectrum」ももらった。

Larryはあいにく参加できなかったのだが、僕はどうにかスケジュールを合わせることで、参加することができた。

Deanの本を読み、静養ウィークエンドに参加して、僕は彼のプログラムが幸福と健康を増進するのに非常に効果的なものだという結論を下した。そのプログラムは、僕がそれまで取り組んできたすべての要素を一所にまとめてそれを確たる理論で結びつけた内容だった。このプログラムの様々な要素の効果を証明しようとする、彼のその研究への探求心と情熱が、このプログラムを他の代替医療系、ライフスタイル系のプログラムとはまったく異なるものにしている。彼は流行としてのウェルネスに最高水準の科学的基盤をもたらす人物であり、そういったことが、この手のものが本流として定着するのに不可欠な要素なのだと僕は思う。

Deanのプログラムはただのダイエットではなく、食生活・運動・リラクゼーション・親交という4つの重要な要素を含んでいる。静養ウィークエンドで、我々は終始、素晴らしく健康的な食事をとり、ヨガとエクササイズ、瞑想に取り組んだ。医学と科学についてのディスカッションもした。個人個人が抱える課題についてとてもオープンかつ親密な雰囲気で話し合う、少人数のセッションも行なった。これらは僕が想像していたよりも遥かに効果的なものだった。

このグループセッション、心理療法やグループセラピーのようなものではなくて、少人数で互いに気持ちを分かちあう場だった。参加者は開始後すぐに親密になり、そのセッションは慈愛が湧き出すかのような場になっていった。僕がそれまでに取り組んでいた「健康の方程式」には、この「親交」という重要な要素が欠けていたのだ。Deanの研究とこれらのセッションは、僕にその重要性を確信させ、慈愛のような精神的な部分での僕の目標を完成させてくれた。

Deanは、親交・リラクゼーション・食生活・運動のいずれもが我々の健康に影響していることを研究している。特に動脈の閉塞や炎症全般が、これらの要素の影響を受けやすいそうだ。彼は、動脈の閉塞と炎症が、癌、糖尿病、心臓病、高血圧、そしてEDでさえもその原因になっているとする。

こういったことはほとんど彼の本の中で解説されている。この本でひとつ面白い切り口だなと思ったのは、食べ物というものはきわめて不健康な部類のものからきわめて健康的なものまで、あたかもスペクトルのように分布しているとしたところだ。最も健康的な食生活(例えば僕が去年やった完全菜食主義のスーパーダイエット)を選択すれば、心臓病の病状さえ改善できる。すでに十分に健康的かつ幸せなのであれば、すこし緩めの感じでもいい。Deanは、自分が何を食べたかについて決して罪悪感を抱くべきではないが食べたものがどれだけ健康的なのかは認識しておく必要がある、と提案する。彼は様々な食べ物についてその健康度を評定した表を作ったりもしている。自分に合った健康度の食生活を選択し、それに適度に調節を加え、時には好きなだけ食べればよい。彼はダイエットに罪悪感が伴うことを極力避けようと手を尽くしており、当人に苦痛ではなく幸福をもたらす持続可能な食生活を編み出そうとしているのだ。

僕自身はちょうど体重と健康の目標を達成してしまったから、これ以上健康のために努力を続けようという動機が薄れてしまっているところだった。現在の体重の「維持」は、目標体重に到達しようとするのに比べればずっとつまらない目標だ。そんなときに「Spectrum」を読んだことは、いかに自分の健康を維持するかについて考えを巡らせる助けとなった。そして静養ウィークエンドに参加したおかげで、すっかり気持ちも若返り、気力もまた充実し、今ではダイエットにヨガを取り入れ、瞑想もまた始めてみようかと意気込んでいる。またコンサルテーションを受けて、僕の場合、体重を維持するにはエアロビクス運動やカロリー管理に固執するよりも、筋肉量を増やす/取り戻すことで代謝量を高めた方がよさそうだということがわかった。(当初減量した20キロのうち7キロもリバウンドしてしまっていて、実はどうすべきか模索していた。)

静養ウィークエンドを企画してくれたDean以下、チームの全員にお礼を言いたい。そして思いを互いに分かち合った他の参加者の皆さんにも感謝したい。

Lawrence Lessig

Larryのブログから:

Last Free Culture lecture, first thought about what to do about political corruption

So this Thursday, January 31, at 1:00pm, at Memorial Auditorium on the Stanford Campus (directions) (map), I will be giving my last lecture about "Free Culture." The event is a bit staged (literally), as it is being sponsored by an entity making a film about these issues, and they want the lecture to use in the film. But the venue is beautiful, and I will also use the opportunity to map out one plan for addressing the problem of "corruption" (as I've described it) in politics. I've now finished a draft of the talk; for those who have seen me speak before, it is new (almost completely new -- maybe 1% are must have slides from the past). For those who haven't seen me speak before, it will be a nice map of where this debate has been, and where I think I want to go. Any questions about logistics, send an email here.

僕はその講義を聞く。君がもし近くにいるなら参加してほしい。とても重要ですばらしい講義になるはずだ。

Daily Kosは、Larryが下院議員選に出馬することを予想している。 そのブログで行った投票によると83%が出馬に好意的だった。 ;-)