KMD Digital Journalism 2010  p2pu.png by joiito on Aviary

この3年間、僕は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)でデジタルジャーナリズムに関する講座を教えている。毎年そのフォーマットについて反芻して、僕の関わり方をより効果的に行い、より多くの人々に影響を与えられないだろうかと検討してきた。

今年はP2P University(P2PU)のPhilippに会った。P2PUの理念missionは以下の通りだ:

Peer 2 Peer Universityは施設の壁の外での教育を構築し、学習者の実績に対し承認を与える草の根的なオープン教育プロジェクトです。P2PUは従来の正式な高等教育と並行した生涯学習のモデルを提示します。P2PUはインターネットおよびオンラインでオープン提供されている教材を活用し、高品質で低コストの教育機会を実現させます。P2PUの本質とは万人による万人のための、ほぼあらゆる事項に関する教育なのです。
オンラインで行われる講座は、世話役担当者の支援下にある自己学習者のコミュニティ、といった表現のほうが的確です。コンテンツは全てクリエイティブ・コモンズのAttribution-Share-Alike(表示-継承)ライセンス下にあり、利用者自身が逆に共有しかえしさえすれば、誰でもがコンテンツを再利用できるようになっています。各講座はこれまでの積み重ねを活用していくわけです。

Philippといくつかのことについて話した後に、僕は、非公式で単位のためではないP2PUでの学習と、KMDの正式な単位取得のための講座とのマッシュアップを試みることにした。素材をクリエイティブ・コモンズのライセンス下で公開する点、およびピアツーピアでの学習である点に対し、当初は大学側に少々難色を示されたけれど、KMDでの委員会の会議を無事に通すことができ、実現に漕ぎつけた。(KMDの皆さんに感謝!)

我々はP2PUのウェブサイトおよびフォーラムをコミュニケーションの主幹として活用し、これをメーリングリスト、UStreamツイッター(#kmdp2puDJ)およびP2PUのウェブサイト上のインターフェースからもアクセス可能なIRCチャンネルで増強した。週ごとに課題を出し、リアルタイムのセミナーを実施した。物理的スペースは慶応の日吉キャンパスを使ったものの、僕が旅行中であればH.323経由でビデオカンファレンスをしたし、Skypeを通じてゲストスピーカーや遠隔地の学生に参加してもらった。それを今度はストリーミングしてUStream上で記録して、IRCチャンネルを議論および質疑の場とした。UStreamのセッションをツイッターで紹介して、リアルタイムで飛び入り参加者を集めた。セミナーの動画は東京で高解像度で録画して、後にアップロードした。(html/rss

技術面の複雑さゆえに参加者の何人かは戸惑ってしまったように思えるし、改善の余地はたくさんあるものの、その複雑さと、試行錯誤しながらの問題解決であったことを考慮すると、驚くほどうまくいったと言えるだろう。UStream経由では数十人、IRCチャンネルでも十数人の人が参加してくれるのが普通だった。

またアドリブがとても楽しく、うまくいったと思う。例えば、当初は視聴者で、UstreamのリツイートをしてくれていたNew York Timesの田淵寛子氏に、その次の週の講義で発表をしてくれるよう説得することもできた。その上で、グリーンピース・ジャパンの事務局長である星川淳氏にSkypeで参加してもらい、田淵氏および学生たちに、日本のメディアがグリーンピース・ジャパン裁判を追った報道がいかに失敗であったかについて話してもらえた。

課題やフォーラムでの議論、リアルタイムでの議論に加え、参加者にはプロジェクトを立ち上げるか、立ち上がったものに参加するよう求めた。いくつかの興味深いプロジェクトが発足した。Halaは東京でのイスラム教徒たちに関するブログを始めたし、GuerorguiとAlanとRichardは、非GDP/マーケットアセスメントを扱ったプロジェクトを始めた。GilmarとGustavoは現在のジャーナリストに与えられた新しい能力に関するブログを立ち上げ、LenaとNadhirは講座そのものについてのレポートに取り組んでおり、RichardとRickは東京におけるデジタルジャーナリズムに関するブログを始めた。

難点は、慶応の学生たちからの参加の度合いが比較的限られていたということだ。言語が英語であること、日程が月曜朝であることの他、求められる労力にひるんでしまった部分があったのではないかと思う。とはいえ、生き残った少数の学生たちは大いに貢献してくれた。

世界各地から参加してくれた人々については、セッションが日本時間の同一の時間に行なわれたことより、何人かはリアルタイムでの議論への参加がほぼ不可能になってしまっていたようだ。

最後に、コミュニケーションの手段があれだけ多かったため、それぞれの話のスレッドを追うのが難しくなっていたように思える。

とはいえ、僕はこの談話の効果と質の高さを本当に嬉しく思った。また計画性が相対的に低い、思いがけない発見(セレンディピティ)的な要素が最もうまく機能していた面が多数あったことに気づかされた。インスタントメッセンジャーのフレンドリストをざっと洗って、Skypeで講義に引き込むべき誰かを探す、というアプローチは非常に功を奏したように思えた。

我々はこの対話の形、およびオンラインジャーナリズムを学ぶ最良の方法について反復発展させていくために、メーリングリストを通じて何らかの持続的なコミュニティのようなものを維持していけないか、試してみるつもりだ。

追記:Andriaが講座についてよさげな投稿をしてくれた。

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