80〜90年代当時のファッションや人々の発言を思い出すと、今でもゾッとすることがあるので、チームからサイバーパンクとその時代についてのインタビューを依頼されたときは実は少し警戒していました。しかし、インタビューを受けることで、さまざまなアイデアがどこから来たのかが再確認することができましたし、当時取り組んでいたことが最終的にどこに帰結したのかや、どう変遷を遂げたのかを振り返ることができたように思います。
しかも面白いことに、90年代の音楽やファッションへの関心が再燃しているようですね。
できることなら、当時の私たちのビジョンやいい部分だけを吸収して、ダメだった部分やダサかった部分は、そおっとそのままにしておいてくれることを願います。 ;-)
- Joi
Joi Itoとサイバーパンク
ここからはシナダがお届けしてまいります。 そして、お久しぶりです!
Joi Ito's Podcastロスに陥ってるみなさんに!特別編をお届けすることとなりました。今回は、ポッドキャストの収録中にちょろちょろ登場したものの、シナダ自身がよく分かってなかった「サイバーパンク」についてドキュメンタリータッチで描いてみました。
当時、私は中学生ぐらいだったのですが、よく深夜の番組とかで、バーチャルリアリティとか、コンピューターグラフィックスとかなんだか尖った番組をたくさんやっていたよなあというのを思い出しました。そうか、Joiさんはあの時代の先頭を走ってたのか!!と調べながら何度もびっくりしました。
いやーすごい。 当時の音源を探すのもすんごく面白かったですよ。今回は調査中に出てきたものの、番組では含められなかった内容をピックアップしたいと思います。もちろんいつも通り難解な言葉も解説して参ります!
サイバーパンクの世界に浸れるプレイリスト
今回は、Joiさんが監修したプレイリストも作りました。本編と併せてお聞きいただくことで、サイバーパンクの世界をお愉しみくださいませ。
サイバーパンクを知るための16のキーワード
Neuromancer
ウィリアム・ギブスンによる長編SF小説。いわゆるサイバーパンク運動の火付け役、と言われているそうです。黒丸尚さんの翻訳がカッコ良いと評判ですね。Joiさんも出てすぐに読んだそう。この小説は何度も映画化が企画されたものの、結局実現していません。ただし、あのキアヌ・リーブス主演の映画「The Matrix」はニューロマンサーにオマージュを捧げた作品と言われています。物語も似ている箇所が多いとか。映画化は実現しなかったニューロマンサーですが、ゲーム化は実現したそうです。しかも!このゲームの開発にはJoiさんも少し関わってたそう!当時のゲームはこちらで体験できます。
Anarchic Adjustment
Joiさんがインポーターをやっていたというストリートウエアブランド。1986年にメディアアーティストのNick Phillipによって創設されました。ティモシー・リアリー先生がモデルになってたそうです。当時の尖った若者は結構着ていたようですよ。ストリートにポジティブなメッセージを伝えることをブランドの柱としていたようです。ブランド名も直訳すると、アナーキーな調和とか、無秩序の調和みたいな意味になりますが、混沌とした社会の中でも仲良くやっていこうよ、みたいな気持ちが込められているのかもしれませんね。こちらに当時のシーンがまとめられていました。
ブレードランナー
リドリー・スコット監督によるSF映画。多くの人類が宇宙に移住してしまった地球で繰り広げられる物語。人造人間「レプリカント」が反乱を起こし、人間を殺して逃亡。彼らを捕まえるため、ハリソン・フォード扮する捜査官が奔走する。というお話しです。日本と香港を足したような空気感が当時とってもかっこよかったとか。というか、今見てもかっちょいいですね。
マルチメディア時代
1985年、日本電信電話公社が民営化され、NTTが発足しました。当時普及しはじめていたパーソナルコンピューターの将来性を見越してさまざまなインフラ整備が行われました。民営化によって始まった革新と飛躍の時代の象徴だったのかもしれませんね。
Hyperdelic Video
Andrew FrithとDavid Richardsonによるビデオユニット。Joiさんも関わってたそうです。そしてこちらは、Timothy Learyさんをフィーチャーしたビデオ作品。
ティモシー・レアリー
ハーバード大学の心理学の教授だったものの、ヒッピーワールドに染まり、大学も辞め、ヒッピーのグルとして活動。ヒッピー世代以降のカウンターカルチャーの形成に影響を与えた人物として知られています。後年はバーチャルリアリティにハマり、相当研究をしていたようです。Joiさんがティモシー・レアリーと意気投合した本の執筆については、未完のままなんだそう。
ちなみに、こちらは予告編をつくったものの、結局完成しなかったというティモシー・レアリー先生のドキュメンタリーだそうです。
「Turn on, Tune in, Drop Out」
ティモシー先生の名言。「覚醒して、波長を合わせて、脱落せよ」というなんともヒッピーなお言葉。まあ、時代だったんでしょうねえ。後年は、「Turn on, Tune in, Take over」という言葉に変えているそうな。ま、これも時代ですね。
リドリー・スコット&トニー・スコット
リドリーさんは先述のブレード・ランナーの監督。トニー・スコットは映画プロデューサーでトップガンの生みの親として知られています。トニー・スコットとティモシー・リアリーはとても仲が良かったようですよ。その交流については、こちらのブログに詳しく記載されています。実はこれを書いたのはティモシー・リアリーの息子さんのザックさんなんだそうです。
John Perry Barlow
Greatful Deadの歌詞を提供している作詞家。実は、電子フロンティア財団(EFF)の共同創設者であり、インターネットを世に広げた人物としても知られているそうです。またの名を「インターネットの吟遊詩人」。1996年にはサイバースペース独立宣言を発表。政府によるインターネット検閲に異議を唱えました。
彼の追悼イベントにはJoiさんも参加したそうです。当時のメッセージがJoiさんのブログに残されています。
Scott Fisher
1980年代はNASAの研究者として宇宙でバーチャルな書斎なんかを作ろうとしたVirtual Environment Workstationを開発していたそう。Joiさんと出会った当時はバーチャルリアリティの会社を設立し、Joiさんも手伝ったとか。しかし、驚くべきことはScott FisherさんがJoiさんの義理の弟だということ!!詳しくは本編をお聞きあれ。
Mondo 2000
テック系雑誌の走りで、Wiredのライバル誌。コンピューター系雑誌の原型を作ったといわれる伝説の雑誌だそうです。Joiさん曰く、Wiredよりもっとオタクっぽくてカルチャーな話題も多かったとか。当時の雑誌はこちらでご覧になれます↓。2ページ目にJoiさんは東京特派員としてクレジットされてます。
しかし、このMondo 2000はサイバーパンクの終焉とともに廃刊。ライバル誌だったWiredはシリコンバレーやインターネットの革命なんかを取り上げ、時代の波に乗ったわけですね。
New York Timesの記事
Joiさんの切り替えの速さに驚いた記事になります。サイバーパンクよりネットサーフィンのほうがいい!というJoiさん。そうか、時代は変わり、Joiさんも大人になったのかも。
Homebrew Computer Club
大衆向けのコンピュータの普及に関心を持つ趣味人の非公式グループのこと。1975年にゴードン・フレンチとフレッド・ムーアによって設立されました。コンピューターを自作するための情報交換をするために始まったそうです。メンバーには、スティーブ・ジョブズやスティーブ・ウォズニアックが名を連ねていたとか!そう、アップルコンピューター誕生のきっかけとなったコミュニティ!
Stewart Brand
アメリカの作家、未来学者、環境活動家で持続可能で自給自足的なライフスタイルを作るためのWhole Earth Catalogを出版したことでも知られています。1960年代のカウンターカルチャーとって重要なリソースとなったそうです。
Whole Earth Catalogue
個人が独立して生きていくためのツールを紹介していた雑誌とされています。 1968年の創刊号はこちらでご覧になれます。
ちなみに1974年に発売したWhole Earth Epilogは事実上の廃刊号と言われているらしく(実は、廃刊号は何号も出てるらしいんですが)その背表紙にStay Hungry, Stay Foolishと記載されているそうです。
そうこの、Stay Hungry Stay Foolishは、スタンフォード大学の卒業式で行われたスティーブ・ジョブスのスピーチでも引用されていますね。
翻訳文は日経新聞にも掲載されています。
Cypherpunk
特殊な方法でデータを暗号化・復号化するアルゴリズムを意味する「サイファー」とパンクを組み合わせた言葉から生まれたムーブメント。1970年代ごろまで暗号といえば、軍事利用が主な目的でした。ここからメールの暗号化やら、なんやらの開発が進む中で暗号通貨やブロックチェーンの技術が生まれていきます。これもサイバーパンクから生まれてるなんて、とっても興味深いですよね。いつかCypherpunkもテーマでポッドキャストが作れたらよいなと思っています。
今週のおさらいクイズの申請先
「おさらいクイズ」の申請先は以下の通りとなります。
このエピソードでのKAMONによるHENKAKU配布はありません。
NFTは配布しています!こちらのMintRallyのJoi Ito's Podcast特設イベントページでゲットしてください。正解された方には、NFTをプレゼントします。NFTは無料です。
特設ページの中からお聞きの配信回をクリックし、NFT受け取りのひみつの「あいことば」と書かれた部分に今日の問題に対する答えを記入してください。
ヒント:大文字半角英数字で入力ください。
それでは、特別編をご拝聴いただきありがとうございました。
お知らせ
数ヶ月に渡ってお休みをいただいていたJoi Ito's Podcastの新シリーズが2月より再び戻ってまいります。新シリーズの初回配信は2月6日火曜日!午前11時に配信となります。
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