Shigeaki Saegusa and Mr. Shinozaki

昨年末、Mizuka と Sachikoママと僕とで、友人の三枝成彰氏がプロデュースした年越しスペシャルコンサートを聴きにいった。これは毎年、年越しにあたって、ベートーベンの交響曲を一日かけて第一から第九まで演奏するというテーマで行われてきたイベントで、今年で五年目になる。

コンサートは12月31日の午後2時に始まり、1月1日の午前1時に終了した。指揮者は小林研一郎氏、コンサートマスターは篠崎史紀氏が務めた。日本各地のオーケストラから選抜されたオールスターチームであるこのオーケストラには、他にも何人かのコンサートマスターがいて、それぞれ様々な役割を担っていた。休憩時間を何度かはさんだものの、基本的には同じオーケストラと指揮者で一日中演奏し続けていた。にもかかわらず、驚いたことに、終わりに近づくにつれてオーケストラも観客も活気づいていったように思えた。

これほど刺激的な演奏を聴いたのは相当久しぶりだった。小林氏もオーケストラの皆さんも素晴らしかった。そうそう、全交響曲を番号順に演奏するという発想は僕には妙に日本的に思えた。一丸となったオーケストラが交響曲を一曲一曲演奏していくのを目の当たりにしつつ、僕はドイツと日本の美意識の共通点に考えをめぐらせたりしていた。

上の写真にも写っている三枝氏と篠崎氏の談話に、彼らは今後もベートーベンを演奏し続ける大勢の人々のほんの一部なのであり、彼らと同じような人たちが百年後にもベートーベンを演奏し続けているだろう、というくだりがあった。