2004年、John Battelleが、セル・サイド・アドバタイジング(販売側発信広告)のアイデアを自身のブログに書いた。僕もまた、いいアイデアだと思ったので自分のブログでそれについて書いた。それは、広告主が広告の掲載者を選ぶのではなく、掲載者のほうが自分のウェブサイトで表示する広告を選択するというアイデアだった。それ後、その種のものを作り出そうと試みている人も何人かいるようだけれども、この形態を実現してうまくいっている例を僕は見ていない。(もしそのような成功例をご存知ならぜひ教えてほしい!)
我々(デジタルガレージ)は2006年、株式会社CGMマーケティングを設立した。CGMマーケティングは株式会社テクノラティジャパンと協力し、広告主へのユーザー生成コンテンツ上での広告発信についての説明と、テクノラティおよび他のユーザー生成メディアサイトの広告代理店業務を行うことを目的とする。
同年のうちに僕は、CGMマーケティング、デジタルガレージ、Reid Hoffmaと、アド・マーケットプレイスのEtology社に投資した。当時、CGMマーケティングとテクノラティジャパン、デジタルガレージの担当チーム、そして僕は、ブログ広告ネットワークがどのような形態になるかについてブレインストーミングしていたんだけど、そのときの販売側発信広告に関するディスカッションで出てきた考えをいくらか思い出した。
我々はこの販売側発信広告に関する話し合いにヒントを得、昨年9月、「アドバタフライ」を立ち上げた。6ヶ月後の今、我々のスクリーニングに合格した約5,500人のブロガーが登録されており、3,700人程が実際に広告を運用している。また、この数字は伸び続けている。そしてこれらのブログが、毎月約1億のインプレッションを叩き出している。現在はまだ枠が完売していないので自社広告をいくつか出しているけれど、大まかな予想によると、在庫分の枠が完売すると、インプレッション数が同じなら、運営しているブログの種類によってはAd Senseよりも我々のサービスの方が実入りがよくなるはずだ。事業規模的に見て、より多くの広告主を獲得するためのマジックナンバーは、ブログが10,000本、インプレッション数が2億だろうと考えている。その数字は早晩達成できる見通しだ。
サービスの仕組みはこうだ。
ブロガーはAd-Butterflyのサービスに登録し、自身のブログにAd-Butterflyのバッジを掲示する。一方の広告主は、自分の広告を掲載したいと思うブログを探して、そのサイトでの広告提示をリクエストする。広告についてコメントできる「評価スペース」が設けられており、広告主はオプションでブロガーに対してその使用を認めることができ、ブロガーもそれを使用するかどうか選択できる。
実際にシステムをテストして、ブロガー、広告主、ブログ読者の意見を聞いた結果、「信用」という点では、このシステムは相互にメリットがあることがわかった。ブロガーたちは広告を掲載するかどうか自分で選択できるという点を評価している。広告主は、有料のその広告スペースが自分たちを気に入っているブロガーのページ上にあるということを評価している。ブログの読者は、広告がブログの内容に関連があるか、あるいは少なくとも、何らかの形でブロガーが支持した広告であるという点を評価しており、そうでない広告の場合と比べると、より広告の内容を信用したり、よりクリックしたりすると述べている。
こういったことから、我々はNEC、東芝、NIKE、BMW、サントリー、ソフトバンクといった有名大手をクライアントとして獲得できており、これらのクライアントは少なくとも現時点では、従来のネットワークもしくはマシン対象のプレースメント方式の広告よりも、「友好的ネットワーク」型とでもいうべきこのプレースメント方式の広告のほうに割増のレートを払ってもよいという意向があるようだ。
まだ我々は、ネットワークを拡大中であり、また、ブロガー、広告主、ブログ読者にとってより使いやすく、より魅力的なサービスになるように機能を追加している最中ではあるけれども、まずは出だしは順調に行っていると思う。現在開発中の新機能についても、近いうちにここに書こうと思う。
そんな流れがあって、腰を下ろして「Ad Senseの次は何がくるのか」と考えたとき、このサービスが答えの一つになりそうな気がするわけだ。
この件についてブログに書くように勧めてくれたMartinに感謝したい。 ;-)