最近、Facebookの日本でのサービスインに関するJapan Timesの記事で、僕の発言が引用された。

The Japan Times
2008年6月25日(水)

Facebook日本版はモデルT的アプローチを採用
LISA KATAYAMA

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ベンチャーキャピタリストでクリエイティブ・コモンズのCEOであるJoi Ito氏は、謙虚さを忘れず、新興企業の心構えを保つことの重要性を指摘する。「たとえ米国ではブランド力があっても、日本では全く認知されていないと思ったほうがいい」と氏は語った。「加えて、Googleみたいに何年も何年もかけて浸透していくつもりでもなければ、持合株のある現地パートナーが必要になる」

現地パートナーなしで日本でサービスインするのは"本当に"難しい。理由は多々ある。海外のブランドは地元でのプロモーションをしない限り、日本国内ではほとんど価値をもたない。

全額出資の子会社に人材を雇い入れるのは非常に難しい。多くの海外企業は市場から撤退する。日本の企業は米国の企業よりも早く株式を公開する傾向にある。米国企業が株式公開を行う場合であっても、子会社のチームメンバーには特典がなかったり少なかったりすることが多い。現地パートナーならば、地元のチームにインセンティブを与え、現地での新規株式公開を目指すことが多い。これは誰でも知っていることだ。Googleでさえ四苦八苦して、ようやく定着しつつある。

日本でのビジネスはステレオタイプどおり、かなり閉鎖的だ。日本での市場開拓は現地パートナーなしでは非常に難しい。

eBayは単独でやろうとしてネットオークションでYahoo Japanと楽天に負け、撤退を余儀なくされて日本からいなくなってしまった。FriendsterおよびFacebookは「ローカライズ版」をサービスインしたものの、根づく気配がない。一方、Orkutに前後して登場したmixiは、いまやユーザー数1000万人を誇り、株式公開している。

Infoseek、Technorati、Twitter、Six Apart/TypePad/Vox/Movable Typeなど、我々がサービスインに手を貸したブランドはどれも日本国内ではそこそこ頑張っているように僕には思える。

現在、ジョイントベンチャーではないウェブ関連企業で日本国内で成功を収めているのは、僕に言わせればGoogleとAmazonの2社しかなく、どちらもそこまで辿り着くのに何年もの時間と多額の投資を要してきている。

下のグラフは、「facebook」というキーワードを含む日本語ブログの記事数の推移を示したものだ。

facebook.jpg
ローカライズ後、ブログでのFacebookへの言及数にスパイクが発生したが、その後は再び平坦な状態に戻ってしまっている。


僕は日本国内でのジョイントベンチャーの設立を仕事にしているので、自画自賛になってしまっているのは承知の上だけど、この文脈で上の表が興味深く思えわけだ。