Souk Waqif
市場「スーク・ワキーフ」

ドーハで撮った写真のFlickrセット

いま僕は、とある空港のラウンジに座って、初のカタール行きとなったドーハへの旅について振り返っているところだ。カタールとアルジャジーラについて短期集中で学んだのに加え、クリエイティブ・コモンズなどのコミュニティのメンバーで、同地域一帯に在住する親交ある面々と大切な時間を過ごすことができた。学べば学ぶほど自分の無知を痛感し続けるのだけれど、我ながら、かなり前進できたと感じていて、この地域に関する種々の機微について、および中東の様々な人々や国々の間の関係性や違いについて、以前より少しわかるようになった気がする。

今回、アルジャジーラが、毎年開催しているフォーラムに、僕を含むコミュニティ・メンバーの何人かを招待してくれた。フォーラムの内容は政治専門のケーブルチャンネル「C-SPAN」のアルジャジーラ版といえる番組で生中継された。僕はクリエイティブ・コモンズに関するパネルの司会をした。会議には欧州放送連合(EBU)といくつかの欧州系放送局が来ており、アルジャジーラのクリエイティブ・コモンズ保管庫プロジェクトを説明し、欧州系放送局からのフィードバックを得られたのでとても有意義だった。欧州系放送局にクリエイティブ・コモンズを取り入れてもらう方向に確実に踏み出すことができた感触を持った。(ちなみにアルジャジーラは、保管庫の内容を近いうちにさらに拡充すると確約してくれた。よろしくよろしく。)

僕はこれ以外にも、ザ・ニューヨーカー誌のSeymour Hersh、有名コラムニスト・作家であるFahmi Howeidy、イギリスのガーディアン紙の副編集長であるSeumas Milne、およびアルジャジーラの英語チャンネル「Al Jazeera English」のマネージング・ディレクターであるTony Burmanとのパネルにも参加した。パネルメンバーの中では僕は「インターネット畑代表」的な位置づけで、ブログやウィキペディアの価値を守りながら、同時に「僕らは味方なんだよ」と彼らにアピールしていく役回りだった。コメントもいくつかしたものの、パネルの大部分がガザでのメディア報道に関する話になったので、自分の考えを吐き出すよりも勉強させてもらっている時間が多いセッションだった。

フォーラムに加え、Al Jazeera Englishの番組「Inside Story」でオンラインメディアについて話すよう招待もされた。前編・後編に分けてYouTubeにアップロードされている(12)。アラビア語のほうのアルジャジーラでも、電子レンジ・テレビ・自動車・インターネットに至るまでの技術的大発明を扱った番組にも出た。僕は少々偏った見方で、インターネットは彼らが列挙していた発明品の大半とは大きく異なる重要性をもつと主張し続けてしまった。インターネットは万人による参加、およびこれまでの発明の過程よりも低コストでの革新を可能にするため、革新と発明を行いやすくするものなのだ、と。テレビよりもインターネットのほうが重要だ、という僕の発言が先方に印象のいいものだったかどうかは怪しい。

僕はまた、オープン前日の「Qatar Science & Technology Park」を訪問し、改革担当ディレクターであるBowman Heiden氏に会った。彼はクリエイティブ・コモンズについて教えていて、Lessigの仕事も全て知っており、話していても新鮮で、彼が共有のあるべき姿を盛り込みつつ科学と技術の開発および起業家精神について教え、振興していこうとしていると聞いて、勇気づけられた。僕からはScience Commonsの近況について彼に説明した。

偶然も偶然、なんと森美術館館長である親しい友人の南條史生氏も、新しくできたMuseum of Islamic Artを訪問し、サザビーがドーハで開催する初の国際オークションに出席するために初のカタール来訪中だった。林千晶さんが僕のTwitterをたまたま読んでいて、僕に連絡をとるようにすすめてくれたそうだ。市場「スーク・ワキーフ」にあるとてもキッチュでかっこいいイラン料理のレストラン「Isfahan Gardens」で食事をすることになった。(ちなみに、カタールに関する情報を仕入れるならQatar Livingがオススメだ。)

カタールにおけるスタッフやサービスは総じて、ドバイのそれよりも組織的でこなれている印象だった。もっともこれは、アルジャジーラが素晴らしき魔法で周囲の混沌から我々を守ってくれていただけかもしれないけれど。また、全般的に率直で単刀直入な話し合いができたことはとても良かった。なかでもアルジャジーラのネットワークチームがクリエイティブ・コモンズについて深く理解してくれていること、構築の大半をオープンソースのソフトウェアで行なっていた点に感銘を受けた。

我々をドーハに招待してくれたアルジャジーラ、とりわけ、アルジャジーラにおけるクリエイティブ・コモンズ推進の立役者であり、この充実した週末を可能にしてくれたMohamed Nanabhay氏に大いに感謝したい。クリエイティブ・コモンズのスタッフおよび他の参加者の皆さんにも感謝したい。おかげさまで今回の会議は、僕が今まで中東で出席した中でも最も有意義なものになった。