以下はSethの新刊に寄稿したものだ。

ネオテニーとは成体において幼体的な性質が残る現象のことだ。人間は地球上の他のどの生物よりも未成熟な期間が長く、大人になるまでに20年近くを要する。大人になっても子供的性質を多く残すものの、我々の多くは遊ぶことをやめ、仕事に集中するようになる。

我々は若者時代に学び、社交し、遊び、試行錯誤し、好奇心をもち、物事に驚嘆し、喜びを感じ、自らを変化させ、成長し、想像し、希望を抱く。

大人になった我々は真面目で、生産をし、物事に集中し、争い、守り、強い信念を抱く。

これまで我々は、効率性を追求し、多くの物を生産したり自分の縄張りを守ったりしてきたが、そういったことよりも、この惑星の未来では、協力し合ったり変化を受け入れたり、創造したりすることに比重が移っていく。

我々の生きる時代とは、飽食の中にあっても人々が飢え、テストステロンによる縄張り争いや、環境を意のままに操りたいと思う衝動が最大の敵となっている、そんな時代なのだ。

子供たちの声に耳を貸し、ネオテニーの導きで、大人たちが作り出した凝り固まった枠組みや独断を超えていく、そうあるべき時代になっているのだ。

2 Comments

「生産」と「想像(創造)」。人類が存続するためには両者が必要なのでしょうが、今の世の中(私の会社?)では、いかに効率的に生産するかという視点に価値観があまりに偏っています。しかも、上司あるいは社会にうまく説明するために、もっともらしいストーリーをつくることを求められます。正直で既成概念の少ない子供の声に耳を貸すのは重要ですね。大人でも、個人が持つありのままの特性を尊重する、毎日のありのままの行動を正直にオープンにすることが、多様な価値の尊重に繋がり、現時点のまた今後変化する環境への適応性が、我々に身に付くのでは・・・と考えます。

ネオテニーにも良い要素と悪い要素とあって、最近は悪い要素がたくさん残っているような気がします。 その見極めがまずは一番大切かな、と。
そうしないと子供たちへ耳を傾けて・・・へ続けられないのではと心配になります。