1990年代初め、僕はEccosysという小さなスタートアップを経営していた。 僕のアパートに来ていた友達を寄せ集めてスタートした小さな会社だ。 僕たちはインターネットのことをよく知っていたが、世間の人たちは知らなかった。 その後、マスコミがインターネットのことをだんだん取り上げるようになるにつれて、 多くの企業がインターネット関連製品を開発しそれを売り始めた。
Eccosysは、インターネットを実業につなげることに苦労していた。そのとき フロムガレージという会社のCEOだった林さんに出会った。フロムガレージは 広告の企画制作を請け負う小さな会社で、僕のアパートから歩いてすぐのところにオフィスがあった。
フロムガレージの最大の得意先は電通だった。フロムガレージとEccosysは手を組んで 当時としては珍しい、インターネットを利用したプロデュースを行うチームを作った。 そして、SunのJavaやIBMのOS2 Warp、Lotus NotesのMerchant Serverといった インターネット関連製品を手がけるさまざまな企業を助けた。そしてインターネットの 黎明期では、インターネットについて語る人々を助けるために使われるお金の方が インターネットを使って何かをすることで稼ぐお金よりも多いことを知った。
電通を初めとするさまざまなクライアントから請け負う仕事が「デジタル」になるにつれて 林さんと僕は、それぞれのリソースを一つにした方がいいと決断した。こうして1995年に 二つの会社を一つにしてデジタルガレージを作った。デジタルガレージでは広告代理店の 力を借りて、Infoseek Japanを立ち上げ、インターネット広告を日本で初めて CPM(インプレッション当たりのコスト)で販売することを始めた。
日本には、いくつもの大手広告代理店がある。それぞれの会社は、特定のメディアに 特化して始まった歴史を持っている。ラジオとテレビを出発点にした電通は、 これらのメディアが大きくなったことで、事業を大きく拡大することに成功した。 日本ならではの背景もあり、電通は広告だけでなく、彼らの変革と事業開発を支える メディア自体の開発でも大きな役割を果たした。
デジタルガレージと電通は、これまで長く一緒にビジネスをしてきた。電通がデジタルガレージに 資本参加し事業連携を図っていくという今回の発表によって、2社がファミリーのような関係になる ことに僕はとてもエキサイトしている。
資本参加をする、ということは、事業のリスクもリターンも引き受ける、ということ。
ファミリーのような関係になる、という表現、なるほど、と思います。
電通さんとデジタルガレージさんがファミリーのような関係になることで、
どんな子どもが生まれるのか(=新しいことが生み出されるのか)、とても楽しみにしています。
Joi, 1995年からこの記事まで、7年たっている。この間2社の間には、空白の時代もあった。しかし、林さんは、何時も、何度も、遠くから、近くから声を掛けてくれた。
その声を聞くたびに、新しい時代の扉を開く音が聞こえてきた。僕は、中々応えられなかった。時々、二人は直接会って語り合ってきた。そのたびに、林さんは今扉は開かれたよ、一緒に歩きましょう、と散歩に誘ってくれた。その散歩道の途中には、Joiが待っていた。散歩道の向こうには、想像も付かない未来があるように感じることが出来た。そして、2012年のJoiのこの投稿から2年が過ぎた。
今、Joiが2年前エキサイトしたように、ファミリーは『脱専門性』の世界観を共有出来ているだろうか?僕は、2014.10.2のJoiの投稿を読んで、さらに近未来のファミリーの歩む散歩道について、考え始めている。このファミリーは、もうある枠を超える新しいチームなのかもしれない。『脱専門性』の扉は重いけど、押さなければならない。
散歩道から、横道にそれて考えたこと。