僕自身を含めた日本人は「日本のGDPは世界第2位」という文言を掲げることで、この国への興味をすっかり失ってしまっている世界に対して日本をアピールしたがる傾向にあるみたいだ。このことについて親しい友人であるマネックス証券 代表取締役社長CEOの松本大氏と話をした。ますます薄れつつある日本の存在意義について彼が慶応大学で行った講演の話を聞かせてくれた。以下のスライドは彼に見せてもらったもので、本人の許可を得てここに転載している。
上の1枚目のスライドは2004年度の世界各国のGDP、および2050年度の予測GDPを表したものだ。左端の米国は2004年には38.3%であり、2050年には減少してはいるものの20.3%と高い値を維持している。ところが日本は2004年の15.4%に対し2050年にはわずか4%にまで下がってしまっている。それでもイタリアの2倍ではあるが、我々が不動のものと考えがちな大国の印象とはかけ離れている。黄色で示されている国々の中では、1位が中国、2位がインドとなっている。この予測上、両国が大きな成長市場であることは明らかだ。
これを聞いて、そうは言うけれど2050年じゃだいぶ先の話だ、と反論する人がいるかもしれない。
2枚目の画像は1980年から2006年までの日本のGDPを表したものだ。かつて18%を誇った我が国のGDPは、2006年には9.1%という控えめな数値に下がっているのがわかる。さらに右側の注釈によれば、国民1人当たりのGDPはかつて世界第1位であったが、18位まで下がってしまっていることがわかる。
これでは正直、世界の目を日本に向けさせるのに我々が四苦八苦するのは不思議じゃない。老齢化する人口と、競争力不足の経済を抱えている以上、相応の身の振り方もあるには違いないが、事実に目を背けて日本の素晴らしさを声高に自慢しているだけじゃダメだろうと僕は思う。