参考文献:
K.J. アロウ,『組織の限界』
ロナルド・コース 『企業・市場・法』
チェスター・バーナード 『経営者の役割』
マーシャル・マクル-ハン 『グーテンベルクの銀河系:活字人間の形成』
討論会では、まず、アロウ、コース、バーナードが論ずる、組織の必然性と形成過
程をとりあげた。バーナードの論評は、同じ議論の繰り返しか重要度の低い論点が
大半だったが、組織について考えていくうち、知らぬ間に、バーナードの枠組みと
隠喩を使っていたことが度々あった。組織はいわゆる経済要因をより効率的にする
単なる手段なのではない。ヴィジョン、権限、責任といった多様な要素を機能させ
ることも組織の存在理由である、というのが議論の主点。この点については、バー
ナードの説明が最もわかりやすい。
さらに、組織の存在理由とは何かについてより深く考えていくことにした。國領氏
は、我々は協力するために協力することがないだろうか、という疑問を呈した。幸
福になるとはどういうことだろう? ただ組織に所属することで人は幸福になった
気がすることもある。これは、「そもそも実利とは何か」という問いにも通ずる。
経済の目的が社会の実利を最大化することで、より多くの実利を得て人は幸福にな
れるのだとすれば……
「生命、自由、幸福の追求」は、アメリカ合衆国憲法そのものだ。だからまず、実
利以前に、幸福とはなにかという議論からはじめなければならない。これは、アレ
ックス・ド・トクヴィルの「アメリカには平等はないが、機会と『自由』がある」
という考察につながる。人は自ら選んで幸福になるというが、自由は、実はひどく
奇妙な幸福のかたちをしている。なぜならば人は幸福になるためにあくなき向上心
を持ち続け、達成困難な目標をひたすら追い続けなければないから。サイモンは向
上心と充足感の実利効果について論じていたが、仮にこのように幸福を定義するな
ら、我々の幸福にかかわる多くのものが本当はお金では買えないものであり、実利
効果とは関係がないことは言を俟たない。
マルクスの表現でいえば、労働こそが主たる価値で、貨幣価値が労働価値にとって
かわることはない。ボールドリラードならば象徴的価値が幸福を呼ぶと、ゴールド
ハーバーならおそらく注目されることで人は幸せになれるというのかもしれない。
とはいえ……お金で買えるものは実に沢山ある。重要なもので、私たちを幸せにし
てくれるもので、本当にかえないものってあるんだろうか。それは何だろう?どう
すれば手に入るんだろう?興味は尽きない。

Translated by Yuki Watanabe

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