日付:1999 年10 月3 日 日曜日 15:37:04 -0400
差出人::「ウェイン・シルビー」
宛先:伊藤穰一
内容:Re: NPO 買収と持続可能なコミュニティーについて
ジョウイチ、君の「NPO 買収と持続可能なコミュニティー」のエッセイはよかっ
た。僕がネットついて懸念していることとも重なっているからね。基本的に、主だ
ったプレーヤーはほとんどが、何らかの形で金を儲けようとしている。そして、こ
のゴールド・ラッシュが続く間は、ストック・オプションにとりつかれた才能をひ
きつけることは不可能だという君の論点も的を射ている。
無論、君と僕は似たような状況にあって、高いリスクにみあう大きな見返りを求め
る投資家に囲まれているわけだが、僕には革新的な部分もあり、非営利市場にも注
目している。僕はアメリカのいくつかの財団にあたってみて、資金面の問題を克服
し、ツールを共有できる場で僕らの仕事を形にできればと思っているんだ。
ここに仕事をもってくることの価値は、非営利の世界では利益に焦点をあてるだけ
でなく、よいことを成し遂げようという共通のミッションがあることだ。従って、
これには反対意見もでるかもしれないが、知識を共有する結果を恐れることなく、
異なる組織間に適用できるナレッジ・マネジメントのツールとしても使える時期に
来ているんじゃないかと思う。その概念にそって僕たちは、GroupDOT の土台を使
い、人が連絡をとりあえるようなアプリケーションを開発中だ。
だが、僕には「統治」管理機能がどこにあるかがわからない。投資信託産業ではフ
ァンドは利用者のものだが、ファンド・マネージャーと契約を結ぶ。契約は毎年認
可されなければならない。同様に、君のいうコミュニティーでは、ある種のユーザ
ー団体の委員会が結成され、経営側からの代表も含めて、「マネージャー」との契
約が認可されるのだろう。利益率の説明なんかも含めてね。勿論、投資信託業界に
は標準モデルがあり、インターネット業界には適正にコミュニティーを運営してい
くための基準はまだない。ユーザー団体は、掲載広告の種類や頻度、基本料金、特
別手数料、情報の完全な開示、機密に関わる問題の調査などについて認可するとい
うことになるかもしれない。場合によっては、ユーザー団体は、グループへの新し
いサービスに対する追加の手数料の請求を認めることもあるかもしれない。
そうすれば、運営側が非営利団体のメンタリティーに侵されることもないはずだ。
運営していく人間には勝負し、価値を創造し、責任をとる場が必要だ。そして、彼
らにとっての大きな「利点」は、コミュニティーがこうした管理体制を敷くことで
信頼されるようになり、いずれより多くの質のいいユーザーをひきつけ、ひきとめ
ておくことができるようになるということだ。僕はカルバート信託の会長であると
同時にその運営会社の持株会社の役員でもある。面白い力学と平衡関係が働いてい
るよ。でも3 兆ドルが、ある意味こうして信頼関係が築かれているからこそ、信託
に預けられているんだ。無論SEC に監視されてはいるが、一般的に言って自律機能
2
が働く産業だ。
僕も意見が分かち合えてうれしいし、よかったらこのコメントをほかで使ってくれ
てもかまわないよ。重ねて、僕にとって一番重要なのは、ユーザー団体の監視委員
会が、コミュニティーから収入をうみだすためには何が適切なのかを決めていきな
がら、一定のレベルの誠実さを維持できる「基準」に焦点をあてることだ。
ウェイン・シルビー

Translated by Yuki Watanabe

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