一般の人も政治家も、住民基本台帳ネットワークは8月5日から始まるものだと思ってきたはずだ。だが、毎日新聞社の19日のニュースは明らかに事実は違うことを示している。
22日から始まっている仮運用では、実際の住民の転入・転出データをネットワークに流している。また21日までには、全国サーバーには全国民の、また各都道府県のサーバーにはその都道府県の全住民の住民基本台帳データ(名前、住所、生年月日、性別)と住民票コードの11桁番号のコピーが転送され記録されているのだ。すでに日本の国民全員に番号を振る作業は終わっている。8月5日の前と後との違いは、「8月2日までの転出者のデータを削除すること」だけなのだ。エンジニアなら誰でも「これはすでに本運用だ」と言うだろう。
政治の世界ではレトリックが当然のように使われる。これもその一例だ。そして、怖いのは政治家と官僚が「言葉遊び」でやりあってる間に現実のデータベースが構築されてしまったことだ。東京都民1200万人の住基データはDVD-ROM2枚に収まるだろう。日本の全国民のデータも20枚あれば入ってしまうはずだ。これで住民基本台帳の個人情報流出は「今そこにある危機」になってしまった。そしてもし被害が出たら、この国の政府では誰がまともに責任を負うつもりなのか?