このところ何度もテレビのインタビューを受けているのだけど、マスメディアは住基ネットのセキュリティのことにだけ注目してる。それは重要なことだとは思うけど、もっと大きなリスクは、11桁番号が行政のデータベースに使われたということで、リストを作るのがとても簡単になることと、いろいろマッチング出来ることと、情報が漏れることなんだ。
他にマスメディアがいろいろ取り上げていることには、ICカードの中の情報の蓄積についてというのがある。だけどこれは実際的には関係ない。何が問題かというと、ICカードが現実世界の処理とデータベースの間のリンクになることなんだ。
もうひとつの大きなリスクは、11桁の番号は書き残したり読んだり配ったりが簡単に出来ること。どうして人間には読めないような、デジタル署名やハッシュ関数を使わなかったのかな?
みんな住基ネットのセキュリティについて僕に話して欲しがるから、アイデンティティの基本的なことやプライバシーが民主主義の土台になっているというコンセプトについて話した部分は、収録の中からカットされてしまう。
住基ネットのセキュリティについて考えるなら、総務省が言っているファイアーウォールがあるとか専用線を使ってるから安全だという主張は間違いなのは、コンピューターネットワークについて知ってる人ならだれでもわかる。安全なネットワークなんて存在しない。そういう話をしていて思うのは、注視するべき大事なことは、ファイアーウォールのセキュリティなんかの技術的問題ではなくて、一番安全なネットワークは最小限の利用者とコンピューターしかない小さなネットワークだということ。それを理解して欲しい。
- Joi
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