ドナ・ウェントワース@Copyfight
Your ISP Knows You're a Dog

インターネットにおける匿名性を維持する重要性について、フレッド・フォン・ローマンLaw.comのコラムで書いている。『覚えておいてほしい。(インターネットではあなたがたとえ犬だとしても誰もわからないと思っているかもしれないけど)あなたのインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)は、あなたが犬ではないと知っているのだということを。そしてあなたの敵は、裁判所の証拠提出命令書が1枚あれば、憲法で守られた匿名で吠え立てる権利を脅かすこともできるのだ』

匿名性は、テロリズムとインターネットを語る上でとても重要な問題だ。僕もオーガナイズに協力している『民主主義、テロリズムと開かれたインターネットに関する国際サミット』のインターネット部会でも議題になる予定。あと、プライバシーの重要性とwhoisデータベース(ドメイン名のオーナーと連絡先のデータベース)に関してICANNの立場はどうなのよという話の流れでも、重要な問題だ。匿名性を確保する上で払われねばならないコストというのは確かにあるけど、匿名発言の息の根を止めてしまうことは民主主義にとって甚大なコストとなる──そういう風に、僕は今でも考えている。

匿名で発言する権利を守ろうと思っているのは、EFFとか僕みたいな人間ばかりじゃない。米国科学振興協会も匿名性支持の立場で「現在、あるいは未来においても、(匿名性は)規制することで益のある領域ではない」と言っている。もちろんこれは1999年の話だけど。(この発言のある報告書に関するWiredの記事
フレッドのコラムにもあるように、米国建国の父たちは『フェデラリスト・ペーパー(岩波文庫『ザ・フェデラリスト』に収録)』を匿名で発表した。彼らは匿名での発言権を守ることの必要性を当時から痛切に感じていて、それを憲法にも組み込もうとした。そして今、僕たちは著作権の侵害やテロリズム、児童ポルノ、その他もろもろの悪だくみをしている悪鬼を恐れるあまり、その権利を骨抜きにしようとしているのだ。

訳注:オリジナルの方ではJohn Doe(行路病者みたいな名前のわからない患者に病院で仮に付けられる名前ですね)さんが「実際に自分が匿名の悪意にさらされてもそういうこと言えるわけ? 理想と現実は違う」と反論コメントを寄せています。それに対するJoiさんの考え方は「法律で制限しようとしても、悪いことする人は絶対抜け道を見つけるんだから、現実的にも匿名性の規制にあまり意味はない」というもののようです。詳しくは以下へ。