先週からポッドキャストの配信が始まりました。聴いてくださった皆さん、ありがとう!

さて、先週の配信からさまざまなご意見をいただいています。これを受けて、音楽やミックスに少し変更を加えてみました。今回と前回の武邑先生とのインタビュー使われている素材は、収録時にやや問題が発生したため、あまり音質がよくありません。来週からはもうすこしいい状態になることと思います。

そして、このポッドキャスト配信に際して様々な方々に協力いただいています。お手伝いしてくださった皆さんや、制作スタッフのメンバーに感謝!皆さんとワイワイ制作するのはとても楽しいです。

そして番組のゲストラインナップがちょっとずつ決まり始めています。かなり面白そうなメンバーが揃いつつありますのでこちらもお楽しみに。

もちろん、番組をお聞きの皆さんからの意見もお待ちしています。ご意見やリクエスト、質問など、などなんでもOKです。ぜひお便りをお寄せください。

<お便りはこちらから募集しています>

https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0

では、また来週もお楽しみに!

- Joi


10月15日から試験的にJoi Ito's Podcast 〜変革への道〜の配信がスタートしました。おかげさまで沢山の方々に聴いていただいていて、11月からは本格的に始動することとなりました。

今回から、私シナダがポッドキャスト制作の裏側をお伝えしていこうと思います。

今日は第2回目の配信から使用している音楽にまつわるちょっとしたエピソードをお届けします。

この音楽、実は坂本龍一さんご本人に直接作曲いただいた完全なオリジナル楽曲なんです。2017年、番組ホストの伊藤穰一ことJoiさんが当時運営していた別のポッドキャストのために特別に作っていただいたものなんだそう。

(坂本龍一さんと出会った経緯やエピソードなどはこちらに詳しく記載されています。気になる方は是非確認してみてください。) \

Joiさんがこの楽曲の存在をスタッフにカミングアウトしたのは、第1回目の配信が終わってしばらくたってからのこと。

「番組で使う音楽は、もうちょっと坂本龍一さんみたいなものがいいなあ」とぼそっと発言し、いそいそと音楽ファイルをslack上で披露。(※番組スタッフはJoiさん含め、全てSlackで意見や情報のやりとりをしています)世の中に、かの巨匠・坂本龍一が作曲したオリジナルソングを保有してる人間がいるなんて、全く想像もしてなかったスタッフは、大騒ぎとなり、「なんだ、こんな素晴らしい曲を持ってるなら、最初から言ってよ!」と誰もが心の中でツッコミを入れたのでした。

そこからが大騒動の始まり。スタッフ総動員で音楽を聴き込み、なんとか番組のジングルとして使えるようにならないか...と試行錯誤してみたものの、なかなかうまくいきません。そうこうしている内に2回目の配信期日は迫ってきている。どうしよう!

すると、Joiさんが古くからの友人という横尾実さんという人物を紹介してくれました。横尾さんは革ジャンと黒縁メガネが似合うロッケンロールなおじさま。70年代をイギリスで過ごした大の音楽好きで、現在は英語と日本語を駆使しながら、ローディー、音響エンジニア、録音やツアーのプロジェクト・マネージメント、プロデュースなどを行っているそうです。

スタッフが泣きながら「ごめんなさーい!助けて!」と横尾さんに泣きつくと、「僕の友人でZAKというのがいるからそいつとなんとか出来ないか考えてみるよ」と引き受けてくださいました。

聞くところによると、ZAKさんはスタジオ・ライブエンジニアを務めていて、坂本龍一さんの曲も多く手がけているそう。音楽に常に向き合っているので、音源を聴いただけで「音が見える」ほどのプロなのだそうです。そんなZAKさんと横尾さんがスタジオに急遽入り、「さあどうしよう」と作業開始。まずは、Joi Ito's Podcastの第一回目配信と坂本さんの曲を聴き比べ、Joiさんの話し方のテンポ感と音楽が相互に引き立てられるような箇所を抜き取りってくれました。また、Joiさんのタイトルコールに強めのリバーブをかけることで、坂本さんの音楽に上手く馴染むようになったとか。かかった時間は3時間程度とのことですが、その仕上がりにスタッフ全員が拍手喝采を送ったのでした。

早速、第2回目の配信から使用することになりました。もちろん坂本さん本人も使用を了承してくれたそう。どんなものか気になる方はここから是非聴いてみてください。

そして、ここからは第二回の配信で説明しきれなかった用語や人物などを解説していこうと思います。

【ドネラ・メドウズ】

ドネラ・メドウズは、アメリカの環境科学者。ベストセラーにまでなった「世界がもし100人の村だったら」の原案者としても知られています。メドウズの論文「世界はシステムで動く」(Thinking in Systems)では、自己適応型システムにどう介入したらいいかが論じられています。詳しい内容についてはJoiさんがここで解説しています。

【Landlord's Game】

1902年にゲームデザイナーのエリザベス・マギーが1902年に開発した「The Landlord's Game」というボードゲームのこと。このゲームは、改良されていない土地に単一の税を課すことを提唱するジョージ主義の経済原則に基づいたゲームで、家賃が不動産の所有者を豊かにし、賃借人を破壊することを示すためにデザインされたものでした。子供たちがこのゲームをプレイすることで、資本主義の不公平さを学んでもらうというのがそのねらい。その後、このボードゲームを米玩具メーカーのパーカー・ブラザーズ社が取得し、モノポリーというゲームに生まれ変わったのです。この内容についてはここでJoiさんが詳しく解説しています。

【隆慈欣(りゅう・じきん)】

全世界で累計2900万部を突破した中国SF小説『三体』シリーズの著者。発電所でエンジニアとして働くかたわら執筆した作品が、中国全土のみならず世界的で大ヒットに。2015年、アメリカで最も権威あるSFの賞の一つであるヒューゴー賞をアジア人作家として初めて受賞したというすごい方。

【カラクシー】

1974年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者のフリードリヒ・ハイエク(1899~1992年)が定義した「経済」という言葉の代替的な表現。「経済」がある一定の価値観や目標を持つ共同体での活動を指すのに対し、「カタラクシー」では参加者がそれぞれの多様な目的を自由に追求し目的はバラバラとなるそう。

【グリーンパーティー】

別名、緑の党。エコロジーに適合する社会を目ざす政党で、環境保護、反原発、反戦、男女平等といった社会運動がベースになっているそう。1970年代のオーストラリアで結成され、ヨーロッパでも拡大。ドイツでは、今年9月のドイツ連邦議会(下院)総選挙で第3党となりました。

【カオス・コンピューター・クラブ】

1981年に結成されたドイツのハッカー集団。頭文字をとってCCCとも呼ばれています。毎年開催されるカオス・コミュニケーション会議では、セキュリティ、アートと文化、倫理などに関連する講演やワークショップが開催され多くの人々が参加するそう。近年ではiphoneなどスマートフォンの指紋認証システムの脆弱性をCCC自身が発信し、それがメディアで取り上げられていますね。ちなみにJoiさんは2005年にアンバサダーを務めたそう。

文:シナダミホ

Credits

リサーチ、文:シナダミホ