私はこれまでずっと、オープンソースやフリーソフトウエア、さらに広い意味でコモンズをサポートする方法を90年代から模索してきました。Firefoxは、検索ボックスから検索エンジンに送ったトラフィックに対して報酬を得ることで持続可能になりました。Wikipediaは、ほとんどが寄付によって持続可能になりました。フリー&オープンソース・プロジェクトの大半は、ボランティアの参加によって存続しています。
大手テック系企業の中には、フリー・オープンソース・ソフトウェアを使用したり作成したりしているところもありますが、まだまだ企業や政府の支援は十分ではありません。これはまさに「コモンズの悲劇」と言える状態です。
web3のアイデアを使ってオープンソースの開発者を支援するというdev.protocolのアイデアを聞いたとき、素晴らしいアイデアだと思いましたし、どのようにアプローチしているのか非常に興味が湧き連絡を取ってみることにしたのです。
麻由美さんとAggreさんにお会いして、プロジェクトをより深く理解することができました。また、仕事を通じて世界をより良くしようとする前向きで積極的な2人の若者にお会いできて、とてもエキサイティングでした。
このポッドキャストを聴いているリスナーの皆さんに、フリーでオープンなソフトウェアの未来に希望を与える彼らのプロジェクトをお伝えすることができることを本当に嬉しく思います。
- Joi
OSS開発者によるOSS開発者のための新しい経済圏
さて、ここからは番組スタッフのシナダが今日のおさらいをして参ります。
今週は、オープンソースの分散型ミドルウェア「Dev Protocol」の開発会社、フレームダブルオー株式会社CEOの原麻由美さんと、CTOのAggreさんにご出演いただきました。
Dev ProtocolはDeFiと呼ばれる分散型金融のプロトコルで、オープンソースソフトウエア(OSS)の開発者支援を目的としています。
オープンソースソフトウエアはこれまで、ボランティアや僅かな寄付によって支えられてきました。しかし、資金が続かずソフトウエア開発が中断してしまうことも多く、サステナビリティに課題があるとされてきました。
Dev Protocolは「オープンソースの持続性問題を解決する大きな可能性を秘めている!」と、全世界から注目を集めているサービスなんです。
ここで注目したいのは、Dev ProtocolがTokenomicsと呼ばれる、暗号通貨を使った経済学を応用してオープンソースの開発者と支援者の両方をサポートしている点にあります。
簡単にいえば、独自の通貨をつくり、マネーサプライやインフレ率、他の通貨との為替などを利用して、通貨の価値を上げ、それをOSS開発者と支援者に還元するというもの。私シナダにはAggreさんや原麻由美さんたちが、OSS開発者によるOSS開発者のためのひとつの王国を作ってしまったように思えました。
「これって、暗号通貨やDefiを使えば誰もが中央銀行になれる。つまり、だれもが独自の経済を形成し、国を作れるってことなんですね。なんか、すごくないですか!!」と熱くJoiさんに話したのですが「ああ、そうね。」と返されてしまいました。きっとJoiさんにとってはシナダの理解度は5周ぐらい遅れだったのでしょう。Joiさん、シナダはこれが全速力です...。おバカなプロデューサーでごめんなさい...。
さて、番組にも登場したステーキングの仕組みについて少しご説明いたします。
ステーキングの仕組み
Dev ProtocolではDevトークンという暗号通貨を発行しています。このトークンは少しずつ供給量が増えている状態となります。つまり貨幣の供給量(マネーサプライ)が増えるということで、この結果インフレになります。 ステーキングとは、支援者がある一定の期間、この暗号資産をデポジットとして使えなくすることを指します。 ステーキングが増える→市場に出回るトークンが減る→インフレーション率が減る→Devトークンの価値が上がる となります。この仕組みを利用してステーキングした支援者にデポジット期間終了後に利息をつけることができるようになっています。
変革の道の基礎知識
今回は結構たくさん用語が出てきました。番組を聴きながらいろいろと確認してみてください。
Mozilla
オープンソースのウェブブラウザ「Firefox」の開発元。実は、Mozillaはあの懐かしのウェブブラウザー「ネットスケープ」がベースにあるそうです。というのもネットスケープがブラウザー戦争でインターネットエクスプローラーに敗北した後、同社はブラウザーのコードをオープンソースで公開。Mozillaがこれを引き継ぎ無償で公開したのがFirefoxとのこと。し、知りませんでした。ネットスケープって、本当に懐かしい!ブラウザーって案外移り変わりがありますよね。
Tokenomics
ざっくりいえば、暗号通貨をベースにした経済学のこと。トークンとは、暗号通貨のデジタル単位で、ブロックチェーン上で特定の用途を表すために使用されます。トークンは主に、セキュリティ、ユーティリティ、ガバナンスを目的として使用されます。例えば、ビットコインは徐々に供給量を減らしているそうです。こうすることで通貨の「希少性」を生み出し、価格の上昇圧力となるように設計されているそう。
OSS
オープンソースソフトウエアの略。オープンソースとは、ソフトウェアを構成しているプログラム「ソースコード」を無償で一般公開されたものになります。
分散型
政府や銀行といった中央集権的な機関を介さない独立した組織のこと。
ミドルウエア
2つのアプリケーションやサービスの間を仲介して、それらのコミュニケーションを促進するソフトウェアのこと。「ソフトウェアの接着剤」とも呼ばれるそう。位置的には、アプリケーションとOSの中間に存在します。
ステーキング
暗号資産をデポジット(一時的に使えない状態)することでネットワークに貢献し、報酬を得る仕組みになります。DEVプロトコルではクリエイターが発行したProperyトークン(後述)にDEVトークンをステーキングすると、ステーキング報酬がクリエイターとサポーターの両方に還元されるそうです。
ソーシャルトークン
ソーシャルトークンとは、パーソナルトークン、コミュニティコイン、クリエイターコインとも呼ばれ、ブロックチェーン上で管理されるコミュニティ内で流通する通貨のこと。共同プロジェクトへの貢献を奨励する方法でもあります。ソーシャルトークンは他の仮想通貨に交換したり、デジタル通貨と紐づけられたコミュニティ内の特別な権利と交換したりできる
プロパティトークン
Dev Protocol内で流通しているソーシャルトークンの名称。プロジェクトごとに異なるトークンを発行でき、プロジェクトのオーナーシップの証明、収益化、収益分配の全てをブロックチェーン上で自動化できるそうです。詳しくはこちらに記載されています。
プロトコル
当事者間の「取り決め」を指す言葉。二酸化炭素の削減を目指した京都議定書はKyoto Protocolと呼ばれています。ITでは、ネットワーク上でコンピューター同士がデータをやりとりするための通信規約を指します。
GitHubのレポジトリ
Githubとはソフトウェア開発プロジェクトのためのソースコードを管理できるオープンソースのサービスのこと。レポジトリとは、ファイルやディレクトリの状態を保存する場所を指します。
npm
JavaScriptの開発者がパッケージ化されたコードモジュールを簡単に共有できるようにするためのオープンソースプロジェクトとして、2009年に作成されたもの。npm レジストリは、Node.js、フロントエンドのウェブアプリ、モバイルアプリ、ロボット、ルーターなど、JavaScriptコミュニティのニーズに応えるオープンソースコードのパッケージを集めた公開コレクション。世界最大級の開発者エコシステムを支えているそう。そしてちょうど昨日、npmに変なバグあったようで、ライブラリが破損し大変なことになっているようです。ニュースにもなっていました。
オンチェーン
簡単にいえば、「ブロックチェーン上で行われる取引」のこと。つまり、取引は全てブロックチェーン上に記録されており、改ざんできず不可逆的なものになります。ちなみにオフチェーンはブロックチェーンの外で行われる取引を指します。
コンポーザビリティ
番組中、Aggreさんも「レゴブロックの様」と呼んだりされていましたが、様々なシステムをレゴのようにガッチャンコして組み立てることができる快適な状態のこと。
ガス代
イーサリアム・ブロックチェーン上での取引手数料のこと。燃料と呼ばれることもあります。ガス代は、ネットワーク上のマイナーと、処理能力を求めるユーザーとの間の需給バランスによって決定しているそうで、価格は変動します。ま、簡単にいうと取引の承認や記録を行うマイナーに対して支払う報酬となります。
Discord
グループチャットのソフト。誰でもサーバーを無料で立ち上げることができ、密なコミュニティを作ることができます。また、いろんなプログラミングを実装できるので、NFTやトークンなどを活用しながら、コミュニティ形成が可能。ま、いわばカジュアル版slackみたいなものですね。
アービトラム
近年高騰するイーサリアムのガス代問題を改善するため、米プリンストン大学の研究チームが主体となった企業Offchain Labsによって開発された、レイヤー2(後述)のプロジェクト。簡単に言うと、イーサリアム系の手数料が安い暗号通貨、と言った感じです。
レイヤー2
既存のブロックチェーンシステムの上に構築される二次的な暗号通貨をさします。実は、ビットコインやイーサリアムなど主要な暗号通貨は取引が集中すると結構速度が落ちたりするそうで。「こんなんじゃだめだ!もっと素早く簡単に取引できるものが欲しい!」ということでスタートしたものがレイヤー2になり、これらはオフチェーン(前述)で取引されるそうです。また、ガス代が安いものが多いのが特徴です。NFTでよく使われるPolygonなんかもレイヤー2の通貨になります。
Airdrop
暗号通貨のトークンやコインを(通常は大規模に)ユーザーに無料で配布すること。ギブアップと呼ばれることもあるそう。 ちなみにMacやiphoneなどappleのデバイス間で簡単にファイル取引できる仕組みもAirdropですが、ブロックチェーンでは意味が違うことに注意です。
Coinvise
コミュニティでソーシャルトークンが発行できるだけでなく、エアドロップやクエストなどが行えるツールを揃えたプラットフォーム。インドの会社が運営しています。
エルコ・フィオール
Tezos財団(後述)CFOや、多くの著名プロジェクトのコンサルタントを務めたことで知られている方になります。投資管理および投資信託における役員へのリスクガバナンスを提供する国際信託サービスパートナーシップのAlpha Governance Partnersを2015年に共同設立。2017年よりブロックチェーンガバナンスに携わっており、現在、バルセロナ大学にてブロックチェーン技術の修士号取得に向けて研究をしています。バーゼル大学にて経済学の博士号を取得。ローザンヌ大学とヌーシャテル大学にて財務倫理学の兼任教授をしている。
Tezos
2014年に始まり、2017年7月にICO(新規通貨公開)を行った仮想通貨。略号はXTZ。ビットコインやイーサリアムの弱点をカバーすることを目的として公開されたものだそうです。
UniSwap
Ethereumのブロックチェーン上に存在する取引所で、通貨の自動取引が行われています。運営会社などが介在せず、投資家同士で取引を直接やり取りする分散型の取引所になります。
Defi
分散型金融(Decentralized Finance)の略で、暗号通貨で使用されている分散型台帳をベースにした新しい金融技術です。中央管理者のいない金融仲介アプリケーションで、銀行などを介さない金融取引が可能になります。
DAO
Decentralized Autonomous Organizationの略で、自律分散型組織のこと。選出されたメンバーによって作成された一連のルールによって統治され、仲介者を必要とせずに特定の行動を自動的に実行する、オープンソースのブロックチェーンプロトコルとも言えるそうです。
年賀状NFTをお送りしました。
年末までにイーサリアムアドレスを番組宛にお送りいただいたみなさまには、番組オリジナルの年賀状NFTをお送りしました。下記「お送りした番組オリジナルNFTの確認方法」を参考にしてぜひ確認してみてください。
おたよりを募集しています
番組では、リスナーの皆様からお便りを募集しています。番組に対する意見はもちろん、Joiさんへの質問があればぜひ投函ください。番組に貢献してくださったリスナーには番組オリジナルのNFTをプレゼントしています。メッセージはこちらよりお寄せください。
番組コミュニティ醸成実験を行っています
番組では、リスナーの方々とコミュニティを作る実験をしています。この実験に参加をご希望の方はこちらから参加メンバーの登録をお願いします。メンバーのダイバーシティを考慮しながら、徐々にメンバーを拡大していく予定です。参加時期がきましたら、スタッフから個別に連絡をさせていただきます。興味のある方、まずは登録だけでもしてみてはいかがでしょうか。
ETHアドレスの取得方法
ETH取得には、ウォレット(お財布)をインストールする必要があります。このウォレットはブラウザに拡張機能として導入したり、スマホにインストールすることで、仮想通貨やNFTの管理や送金、受け取りなどが可能になります。
代表的なウォレットはmetamaskと呼ばれるもので、使用料は無料です。もちろんこれ以外のウォレットを使用する場合も、もちろんOKです。
ここではmetamaskを例に登録方法を説明します。
1)まずは、metamaskにアクセスしてみましょう。
https://metamask.io/
2)サイト内に記載してあるdownloadをクリックし、インストールします。
downloadボタンをクリックした後は、インストール先を選択します。ios、andoroidへのインストールのほか、google chromeに拡張機能として導入することも可能です。
任意のInstallボタンを押して、必要事項を記入しインストールを進めてください。
また、登録の段階でパスワードとシークレットリカバリーフレーズをきちんとメモするのをお忘れなく!!
3)パブリックアドレスを確認
インストールが無事済むと、アカウントのホーム画面が表示されます。
赤枠で囲まれた暗号のような数字とアルファベットをクリックしてください。この暗号みたいなものが、あなたのパブリックアドレスとなります。銀行預金でいうところの、預金番号のようなものですね。
4)パブリックアドレスをコピーし、メールフォームにペーストしてください
ウォレットを登録したら、ETH アドレスをコピーし、メールフォームにペーストしたら完了です。
お送りした番組オリジナルNFTの確認方法
walletは、日本語にするとお財布なので、送られてきたNFTが見れる...、と思いきやそうではありません。NFTを見るには、OpenSeaなどのプラットフォームをwalletと連携させる必要があります。
ここではOpenSeaでwalletをリンクさせ、送られてきたNFTを確認する方法をお伝えいたします。
1)OpenSeaとWalletをリンクさせる
OpenSeaにアクセスいただき、一番右のお財布マークをクリック。 お使いのウォレットを選択し、同期させます。
2)コレクションを表示させる
お財布の隣にある丸いマークを押すことで、現在お持ちのNFTを確認することができます。
3)Hidden に入っているNFTをコレクションに移す
「Hidden」と記載された欄をクリックいただくと、送られてきたNFTが表示されます。ここで、3つ点が表示されているエリアをクリック。すると、Unhideという項目がでてくるので、これを選択してください。