2001年の後半に「blog」という言葉を聞くようになったと思ったら、アメリカでのウェブログの流行り方はここ数ヶ月なかなか尋常ではない。Weblog...略してblog。私の知ってる人たちもやたらblogに手を出している。なんでみんなこんなにハマってるのか? これは、以前日本で流行った日記サイト作りとどこが違うのか? はたまた2チャンネルとはどう違うのか?

 ウェブログをよく見ていくと、実は立ち上げてる人には二種類の傾向があることに気がつくはずだ。一つは、現役ジャーナリストたちで普段の仕事とは別に立ち上げているもの。もう一つは、プロのライターではないけれどいろいろなアイデアがあって、今までに自分のサイト構築もトライしてきた自己表現を求める人たちのもの。しかし両方に共通している点が一つある。「言いたいことがあったらその場ですぐ書く」ということだ。

 紙の世界では一度印刷されたらその記述から逃げられない。そこで現役ジャーナリストたちは、編集デスクとの交渉や干渉を気にせずダイレクトに自分の記事をアップでき、違うと思えば後でも変更できることに意義をたぶん見いだしている。
 そのひとりは、ウェブログを「Journalism 3.0」と呼ぶ、シリコンバレーのSan Jose Mercury News紙の記者 Dan Gillmor だろう。有名なのは、彼がEsther Dysonが主催するベンチャービジネスイベント「PC Forum」でのパネルディスカッション中に客席から無線LAN経由で自分ウェブログに記事をアップしていたら、それをステージ上で同じく無線LAN経由でチェックしていたパネリストから「その発言の要約は違う」と指摘され、その場でアップデートしたという話だ。
 また、SF作家Bruce Sterlingは「Hacker Crackdown」「Schismatrix」などのサイバーパンク作品で知られているが、blogデビューも果たしている。(Schism Matrix)

 自己表現を求める人たちは、bloggerやMovable TypeなどのXML化されたツールの出現のおかげで、今までのウェブの構築よりもHTMLいじりから解放されることで、ずっと内容に集中できることに意義をたぶん見いだしている。(http://www.blogger.com/, http://www.movabletype.org/)
 Justin Hallは、「Justin's Links from Underground」でウェブの生成期の94年ごろから注目されていたが、彼も最近はウェブログ・エバンジェリストになりつつあるようだ。 Justinはこのblog (http://joi.ito.com/) の立ち上げも手伝っている。

 「言いたいことがあったらその場ですぐ書く」というなら、実はアメリカにはウェブ以前からその下地があった。アメリカでは書店とは違った雑誌のみを扱うニューズ・スタンドがどこにでもある。その流通網には大出版社以外の自主制作誌も流れていて、それらのことを「Magazine」の後ろだけ残して「Zine」と呼ぶ。だが日本語で「自主出版雑誌」と言ってしまうと語感がかなり違ってしまう。なぜなら「Zine」とは発音的に「Gene」(遺伝子)との掛言葉だからだ。
 「bOING bOING」(http://www.boingboing.net/)は、その流れで非常に面白い立場にあるウェブログだ。これを始めたMark Frauenfelderは元US版ワイアード誌の編集者だが、それ以前89年から「bOING bOING」を出していて、一時は15000部くらい流れていた。MarkとCarlaのインタビューを読むとその歴史がわかる。(http://www.zinebook.com/interv/boing.html) 余談だが、Markは最近Appleの「Switcher (WindowsからMacOSへの乗り換え組)」のTVコマーシャルにも出ている。
 ただ当時からMarkの視点はgeekから見た世界の面白さを出していて、それが紙メディアに収まらず、かといって単純にウェブだけでも不十分といった感じがあった。しかしそれが、雑誌のように定期発行する必要もなくウェブのデザインの手間に労力を取られることもないウェブログだと、全開に出来ている印象がある。さらにJustin Hallの指摘するところでは、関連リンクをトピックスの最後に置くboingboing.netの形式には、紙の出版の経験が生かされているという分析もある。

 ということで無理やり結論に持ち込もう。アメリカでのblogの爆発は、実は「Zine」カルチャーの流れに乗っていたから起きたのだ。

(text modified and added for this weblog. originally writen for Books & Computer magazine but did not fit into 800 chracters limit for printing. )

4 Comments

「フラッシュ」や「ショックウェーブ」を製造する内のマクロメディア社は今年に入って、3億500万ドルの四半期損失を計上、従業員110人をレイオフし、米アドビシステムズ社との著作権侵害訴訟で280万ドルを失った。

だが、諸々の問題を抱えている様子にもかかわらず、このところのマクロメディアは、ウェブの新構造を正しく認識する数少ない企業であるとして、大いに好感を持たれていると思います。

マクロメディア社がウェブログの運営を始めたからだ。

同社は、ウェブログを運営する人々のニーズに応えるソフトウェアの作成に乗り出しただけでなく、今話題の「ブロゴ世界」[ウェブログの書き手が作りあげるサイバースペースを意味する造語]そのものにも果敢に進出し、顧客との関係をはぐくむための手段として、自社のウェブログを立ち上げた。

私達は、これを「ウェブログ戦略」と呼んでおり、一部にはMMがブームに火を付けるのではないかという見方も出ている。昨今、自尊心のあるウェブ愛好者が独自のウェブログを持っていないのは、時代遅れと言ってもいい。この戦略が何らかの兆しを意味するものであるなら、ウェブログを採用していないハイテク企業が時代遅れと感じられるようになるのも、まもなくかもしれない。

この前の4月後半、4つのアプリケーションについて新バージョンをリリースした際、利用方法についてユーザーから質問がたくさん寄せられるものと予想していた。

マクロメディア社のソフトウェア、「フラッシュ」、「ドリームウィーバー」、「ファイアーワークス」、「コールド・フュージョン」は、ウェブサイトを構築し維持するために使われる。こうした複雑なアプリケーションにたくさんの新機能が付加された場合、慣れるまである程度時間がかかるものだ。われわれは、ウェブ用に膨大な量のソフトウェアをリリースしており、これだけ多くのものを短期間にリリースする場合には、何が起こるか予測がつかない。

私達は、開発者が新製品を使ったときに抱く疑問に、迅速に答える方法を必要としていた。MMのサイトにウェブログを構築して質問に答えるという案も出たが、(第三者の形で)ウェブログを試すことに決めた。

これらのウェブログは、書き手である5人が新製品について論じたり、新機能の使い方を開発者に紹介したり、質問に答えたりするフォーラムになる。最も重要な点は、5人の担当者が一般のウェブログの書き手たちと同じ、「たった今こんなすごいアイディアが浮かんだよ」といった、くだけた調子で書くということだ。このノリこそが、読者をウェブログに病みつきにさせるのだから。

でも、企業ウェブログの弊害、すなわち、強引な売込みでコミュニティーを汚す、広告目的のウェブログを生んでしまうのではないだろう。ウェブログ・コミュニティーには自己管理作用が働くのだと思う。役に立たなければ、読む必要はない。下心が見え見えのサイトなど誰も読まないと思う。

マイク

Thanks for your note in Japanese Mike.
僕はフラッシュとドリームウィーヴァーのファンですが、マクロミディアはブログ機能をドリームウィーヴァーに入れたりしないの?

weblog略してblog・・・なんで?
WLならわかるんですが・・・
なんかPeter Merholzという人が略したらしいですが。
すごい気になる・・・

樋口と申します。

> weblog略してblog・・・なんで?

書かれている Peter Merholz と Blog で Google様にお伺いを立てるとたくさん出てくると思いますけど、Weblog を We Blog(われわれはblogする)と読んで、Blogという動詞に見立てたのが由来だと書かれていますね。

> WLならわかるんですが・・・
そうでなくても、英語の場合、こういう風に単語の最後や中の一部を取り出して略称にするのは多いですよ。たとえば、robotsをbotsと言ったり、refrigerator を fridge と呼んだり。
日本語だと、単語のアタマから2音節ずつ(「リモ」ート「コン」トロールとか)というのが定番ですけどね。

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