2008年1月 Archives

Last.fmがこんな発表をした:

As of today, you can play full-length tracks and entire albums for free on the Last.fm website.

Something we've wanted for years--for people who visit Last.fm to be able to play any track for free--is now possible. With the support of the folks behind EMI, Sony BMG, Universal and Warner--and the artists they work with--plus thousands of independent artists and labels, we've made the biggest legal collection of music available to play online for free, the way we believe it should be.

これはとてもクールだね。でも、僕は次のことにも興奮したんだ:
Free full-length tracks are obviously great news for listeners, but also great for artists and labels, who get paid every time someone streams a song. Music on Last.fm is perpetually monetized. This is good because artists get paid based on how popular a song is with their fans, instead of a fixed amount.

We will be paying artists directly.

We already have licenses with the various royalty collection societies, but now unsigned artists can put their music on Last.fm and be paid directly for every song played. This helps to level the playing-field--now you can make music, upload it to Last.fm and earn money for each play. If you make music, you can sign up to participate for free.


これはすごいニュースだと思う。著作権管理をするいくつかの代理店は、Creative Commonsライセンスを禁止するといった、さまざまな制約を加えている。Last.fmによる今回の決断は、こうした領域のアーティストが自分の音楽でお金を稼ぐための新たな選択肢を与える。

とてもいい仕事をしたと思うよ。

情報開示: 僕は、CBSに買収されるまでLast.fmに投資をしていた。彼らとはいまでも友だちで、時々ビジネスに関するアドバイスをしている。

TCHO Beta

TCHOのベータ版が届いた。これは美味い! 非インターネット関連のものに僕が投資するのは珍しいが、TCHOはその一つ。話しは数年前。古い友人のTimothy Childs氏がチョコレート工場を設立すると言い出したところから始まる。そのときはすっかり彼はイカレてしまったのかと思った。そしてしばらくは知らないふりをしようとしたんだけど、彼はあきらめるどころかますます本気になっていった。そしてついには準備のメドが立ったといって、極秘のチョコレート工場に招待され、見学させてもらった。あのときは本気で感動した。秘密の計画を聞かされ、旧友のJaneとLouis(Wiredの創設者たち)も投資者だと知らされた。そして、自宅に持ち帰ってサラダにのせるようにと、チョコレートを何粒かもらって帰った。

僕はそのチョコレートをかじりつつ、チョコレート工場の運営に一役買うのはどんなにか楽しいだろうと考えた。そしてLouisがCEOに就任し、友人や家族に出資を募る際に僕にも声をかけてくれたときには喜び勇んでOKした。TCHOの投資家として一番辛かったのはプロジェクトの秘密を厳守することだった。

ウェブサイトからベータ版の「C Ghana 0.2x」が注文できるようになったので、ぜひ感想を聞かせてほしい。

ロンドンにいるときにCoryから新著「Little Brother」をもらい、大部分を機内とロンドン・香港・マカオの移動中、成田の通関手続き中に読んだ。小説の舞台は未来。サンフランシスコがテロ攻撃に遭い、米国のDHS(Department of Homeland Security=国土安全保障省)の行動が過熱し、職権を濫用し始めるというものだ。主人公はティーンエイジャーのハッカーで、自身の市民権を取り戻すためにDHSに戦いを仕掛ける決意をする。

ティーンエイジャー、ネット文化、セキュリティ、行動主義、政治を取り扱ったすばらしい物語で、読んでいてとても楽しかった。Xboxの改造や代替現実ゲームなど、現実社会の要素が出てきたりして、Coryテイスト満載の作品だった。

小説はまもなく発売のはず。この手の話が好きな人にはお勧めだし、我々のテロリズムとの今の対決姿勢が未だに多少とも合理的なものだと信じ込んでいる人たちに勧めたい。

発売のタイミングも選挙前となかなかよく、アメリカ国民が「安全保障か市民権か」の争点に関して誰に投票すべきかを迷った場合の参考になるかもしれない


この件については,Twitterには投稿したけれども、ブログに書くのを忘れていた。:-P

Twitter社のブログより:

Despite the fact that Twitter is in English, we continue to see exciting growth from all over the world. Japan, in particular shows a very strong and growing demand for Twitter services. Movatwitter and Twitterpod are great examples.

To support continued growth in Japan, Twitter has formed a partnership with Digital Garage to create the official Twitter Japan service. As part of this arrangement, Digital Garage has made an investment in Twitter, Inc and will commit engineering and other development resources to help us bring Twitter to Japan.

We're really excited about Twitter Japan because it's a big step towards our goal of becoming a worldwide communication network. We'll have more news for you about Twitter Japan and Twitter in other parts of the world as we make progress.

Rocky、Minami、そしてこのディールに関わったみんな、おめでとう。

僕はデジタルガレージの共同創業者で現在も役員だ。デジタルガレージは、Creative Commonsを全面的に支援している。僕のラボのメインのスポンサーでもある。僕は個人的にも投資活動をしているけれど、日本展開の支援が必要なほとんどの案件についてはデジタルガレージのチームが関わっている。

ところで、僕のTwitterアカウントはJoiだよ。

僕自身を含めた日本人は「日本のGDPは世界第2位」という文言を掲げることで、この国への興味をすっかり失ってしまっている世界に対して日本をアピールしたがる傾向にあるみたいだ。このことについて親しい友人であるマネックス証券 代表取締役社長CEOの松本大氏と話をした。ますます薄れつつある日本の存在意義について彼が慶応大学で行った講演の話を聞かせてくれた。以下のスライドは彼に見せてもらったもので、本人の許可を得てここに転載している。

GDP.001.jpg
上の1枚目のスライドは2004年度の世界各国のGDP、および2050年度の予測GDPを表したものだ。左端の米国は2004年には38.3%であり、2050年には減少してはいるものの20.3%と高い値を維持している。ところが日本は2004年の15.4%に対し2050年にはわずか4%にまで下がってしまっている。それでもイタリアの2倍ではあるが、我々が不動のものと考えがちな大国の印象とはかけ離れている。黄色で示されている国々の中では、1位が中国、2位がインドとなっている。この予測上、両国が大きな成長市場であることは明らかだ。

これを聞いて、そうは言うけれど2050年じゃだいぶ先の話だ、と反論する人がいるかもしれない。

GDP.002.jpg

2枚目の画像は1980年から2006年までの日本のGDPを表したものだ。かつて18%を誇った我が国のGDPは、2006年には9.1%という控えめな数値に下がっているのがわかる。さらに右側の注釈によれば、国民1人当たりのGDPはかつて世界第1位であったが、18位まで下がってしまっていることがわかる。

これでは正直、世界の目を日本に向けさせるのに我々が四苦八苦するのは不思議じゃない。老齢化する人口と、競争力不足の経済を抱えている以上、相応の身の振り方もあるには違いないが、事実に目を背けて日本の素晴らしさを声高に自慢しているだけじゃダメだろうと僕は思う。

MozillaでのJohn Lillyの役割がCOOからCEOになる。Mitchellは,Mozilla Foundationnの会長 兼 Mozilla Corporationの会長, そしてChief Lizard Wrangler of the projectで,これまでと変わらない。この変化はひとえにMitchellの判断によるもので,とても友好的で組織が大きくなる上で自然なものだと思う。

ともかく,今回関わった皆におめでとうと言いたい。詳細についてはJohnのブログ記事Mitchellのブログ記事を読んで欲しい。

Shigeaki Saegusa and Mr. Shinozaki

昨年末、Mizuka と Sachikoママと僕とで、友人の三枝成彰氏がプロデュースした年越しスペシャルコンサートを聴きにいった。これは毎年、年越しにあたって、ベートーベンの交響曲を一日かけて第一から第九まで演奏するというテーマで行われてきたイベントで、今年で五年目になる。

コンサートは12月31日の午後2時に始まり、1月1日の午前1時に終了した。指揮者は小林研一郎氏、コンサートマスターは篠崎史紀氏が務めた。日本各地のオーケストラから選抜されたオールスターチームであるこのオーケストラには、他にも何人かのコンサートマスターがいて、それぞれ様々な役割を担っていた。休憩時間を何度かはさんだものの、基本的には同じオーケストラと指揮者で一日中演奏し続けていた。にもかかわらず、驚いたことに、終わりに近づくにつれてオーケストラも観客も活気づいていったように思えた。

これほど刺激的な演奏を聴いたのは相当久しぶりだった。小林氏もオーケストラの皆さんも素晴らしかった。そうそう、全交響曲を番号順に演奏するという発想は僕には妙に日本的に思えた。一丸となったオーケストラが交響曲を一曲一曲演奏していくのを目の当たりにしつつ、僕はドイツと日本の美意識の共通点に考えをめぐらせたりしていた。

上の写真にも写っている三枝氏と篠崎氏の談話に、彼らは今後もベートーベンを演奏し続ける大勢の人々のほんの一部なのであり、彼らと同じような人たちが百年後にもベートーベンを演奏し続けているだろう、というくだりがあった。

newyearjoi.jpg
Design: Loftwork / Photograph: Mizuka