2003年12月 Archives

最近どうも「ブロガーの壁」に突き当たったみたいだ。自分のブログを読んでくれる人が増えるにつれ、より大勢の人に向けて書いているんだということを自覚するようになってきた。何か投稿する度に、いろんな視点からの、思慮深いコメントやメールが寄せられるんだから。
「素早く/頻繁な投稿」がブログの基本だという。それは確かに真実だと思うけど、自分が投稿したエントリーに関する議論の厳格さや、出会う人の中に占めるこのブログの読者の割合が増えていることを思うと、もっと面白くて「防御可能」なこと──自己弁護のために時間を費やさなくてもいいようなことを書くようにしないと、と構えてしまう。実際、何についてブログを書くかについては、ずいぶん保守的になってきていると思う。

デーナ・ボイドは、多面的なアイデンティティの決壊についてよく話をしている(僕はしょっちゅうリンクを張ることで彼女の言論のコンテクストを決壊させてます)。以前ダナが「お母さんにブログを見つかっちゃった」という記事を引用していた。これはアーヴィング・ゴッフマンが『行為と演技—日常生活における自己呈示』の中で言っていた「人間は相手によって言動を変え、異なるアイデンティティの一面を提示する」ということにも関連すると思う。
ウェブログで問題になるのは、読み手が多様なコミュニティに属するバラバラの人間であるがゆえに、書き手のアイデンティティの多面性は決壊し、結果として、公的なアイデンティティとしてはある意味「浅い」人格を選ばざるを得なくなるということだ。
シカゴでDJをやっていた頃からの友だちで米国国務省で働いている連中も、僕の会社の社員も、家族も、テキサスの思慮深い保守勢力も、サイファーパンク方面の友だちも、外交官も、日本で仕事のお付き合いがある方たちも、親しい友人たちも、みんな時々は僕のブログを読んでくれている。リアルの人生では、これらの人々に対する付き合い方はそれぞれかなり異なる。いろんなアイデンティティの一面を見せているわけだ。だけどブログでは、全員の反応のことを想像して書かなきゃいけない。それぞれに直接対話しているときのような「深み」に到達することは不可能だ。
だから、たとえば「お酒をやめた」というような個人的な話を露出することがあっても、ブログにおける僕のアイデンティティは浅くならざるを得ない。「深さ」の前提となるコンテクストがそこにはないからだ。僕の禁酒についてもらったコメントの中でも本当に思いやり深いものは僕(の酔態)をよく知っている人からのメールかIM(インスタント・メッセンジャー)経由のものだった。ブログって、自分の駄目さ加減を知るのに役立つようなものではないんだよね。

ハリーは「ヴァーチャルな親密さ」について書いている。どういうことだろう? 僕は彼女の言う「親密さ」はロビン・ダンバーの「魔法の数字150」に繋がる話だと思う。
さて、現時点で#joiitoのIRCチャネルにたむろしてる人間の数は87人。IMの友だちリストに入っているのは216人(同じ人が重複していることもある)。一方でLinkedInのサービスでは僕は490人の人と繋がっていて、携帯電話のメモリには510人分の登録があって、年賀状は約1000枚もいただく。ブログに関しては、1日に13,000のユニークアクセスがあり、ページビューは30,000。今日参加したとあるNPOの基金調達の会合で出会った政治運動家が言うには、選挙に当選するためにはだいたい50,000人と握手しなきゃいけないそうだ。

ロス・メイフィールドは、人間のネットワークを政治的、社会的、創造的という3つのレイヤーに分類している。政治的なネットワークは1,000人単位、社会的だと150人規模、創造的となると12人程度になる。僕の感触では、政治的なネットワークは10,000人単位で、次に来るのがビジネスのレイヤーでこれは500人規模、で、創造的なネットワークが12人くらいだということには異論はない。もちろん科学的な意見ではなくて、個人的な考えだけどね。
この仮説を前提にすると、このブログは政治的なレイヤーに近づきつつあることになる。そう考えると、仕事の連絡をLinkedInで済ませることが多くなった分、IRCやチャットで話をしている時間は気取らずにハッピーでいられることや、今でも何より夕食のおしゃべりが好きなのも肯ける気がする。もし、自分のブログの読み手の規模や人員構成を自分で決められるなら、それぞれのレイヤーに合わせて書き方を変えることもできるだろう。

ミーナは、ブログの本質は一部の評論家タイプの人間が「メディアに対抗する」みたいなものじゃなくて、むしろ普通の人たちが友人たちと一緒に楽しむところにあるんだ、と言う。僕もそう思うし、政治的なレベルに持ち込んでしまうよりは、気持ちとか感情のレベルでブログをやっている方が、よっぽどやりがいがあるのかもしれない。ただ、気をつけなきゃいけないのは、ある日突然有名になっちゃったり、母親に見つかったりして、それまで築いてきたコンテクストがいきなり瓦解しちゃうこともあるということ。
自分のブログのオーディエンス、およびアイデンティティの多面性を管理することはとても難しい。これを本気でやろうとすると、オンラインでも実生活でも、人生最大級の苦労を強いられる。

──以上、なんか最近うまくブログできないよ、ということをブログしてみました。

常に最新技術を用いた先鋭的な芸術表現の場であり続けてきたアルス・エレクトロニカが「デジタル・コミュニティー」というカテゴリーを新設した。僕も審査員として参加させてもらう予定。審査員団にはハワード・ラインゴールドやジェーン・メトカーフなど、会うのが楽しみな人が何人も名を連ねている。

「デジタル・コミュニティー」のカテゴリーにノミネート可能なプロジェクト、現象、活動分野は以下の通り:

ソーシャル・ソフトウェア
電子民主主義、電子政府、e-ガバナンス
創発民主制
集合的なウェブログ、社会ネットワーキングシステム
フィルタリングシステム、個人評価システム
社会的な自立支援グループ
学習およびナレッジコミュニティー
コンピューター支援による集団活動
ゲーマーのコミュニティー
デジタルなご近所付き合い、コミュニティー・ネットワーク
無料のネット環境整備の推進、無線LANプロジェクト
デジタルな都市開発のプロジェクト
市民運動、市民会議、
通信センター

賞金総額:40,000ユーロ

ゴールデンNicas賞(2名)
それぞれ10,000ユーロ

特別賞(4名)
それぞれ5,000ユーロ

表彰(14名まで)

詳しい情報はアルス・エレクトロニカのウェブページに。このページをきっかけに応募してくれる人がいることを楽しみにしてます。

ジョン・ペリー・バーロウがとうとうウェブログを始めた!

オリジナル:Joi Ito's Web: Barlow blog

The Meatrix。『マトリックス』のパロディのFlashアニメで、政治的なメッセージも入ってる。上手いね。

オリジナル:Joi Ito's Web: The Meatrix
訳注:食肉産業を風刺してます。日本でも一部で話題になってましたね。

長野県知事の田中康夫氏は、特に中央政府の住民基本台帳システムに重点をおいたネットワークのセキュリティ監査を行うよう指示を出した。僕はその監査結果について第三者的意見を求められていたんだけど、中央政府の基本台帳システムのセキュリティに関するパネルにも参加しているので、ちょっと問題になったみたいだ。中央政府はセキュリティ問題を否定しているので、日本に帰ったらこの問題に対処しないといけない。

セキュリティ監査はまだ進行中で、僕がやった「監査の監査」も、途中経過報告に基づくただの意見に過ぎない。東京に戻ったら両方のサイドに会って話をするつもりだし、最終的な監査結果が出た後で、中央政府側の意見も聞いた上で、もう一度意見書を書くことになると思う。

レポートの内容

この間、#joiito (IRC channel)にかなりハードな荒らし(troll)が現れた。面白かったのは、その場にいたみんなが「うわ! ナマの荒らしキター! 遊んであげよう」みたいな感じだったこと。その荒らし君(ちゃん?)は陽気なIRC仲間たちに完全に圧倒されちゃったみたいで、みんなが自分のことをネタに楽しんでるんだってことに気づくまでにかなり時間がかかったみたいだ。荒らしの対応をメタレベルでやってくれて、しかもそれを楽しんでくれるコミュニティがあるってほんとにいいもんだと思う。

クリエイティブ・コモンズの一周年記念パーティーでは彼らの活動主旨と最近の状況をわかりやすく説明する素晴らしいアニメーションが上映された(7MBのFlashファイル) 。クリエイティブ・コモンズのサイトには、これのもうちょっと小さなバージョンが掲載される予定。昨日のパーティーに来られなかった人のために、ちょっとお知らせしとこうと思って。

アニメーションのエンドロールには、関わった人の名前が連ねられている。みんな、ご苦労様、それからありがとう!

via ラリー

ゆうべのクリエイティブ・コモンズの記念日パーティーでアニルrebecca's pocketのレベッカ・ブラッドを紹介してくれた。僕がウェブログを始めるときにも彼女のよいウェブログのための10のTipsを読んだものだ。ここに書いてあることはずっと僕のブログの指針になっている。もし「ウェブログを始めようと思っているけど、どういう風に書けばいいのかわからない」という人がいたら、これを読むことから始めてみるといいと思うよ。

Tip #3
まずは自分の意図する読者層を決めること。友だち、仕事のお仲間、あるいは見知らぬ他人、顧客、さらにはお婆ちゃんに向けて書くのとでは、それぞれに当然書き方も変わってくるはずだから。
誰に向けて書くのかわかっていれば、それに適した文体で書けるようになるでしょう。

これが、簡単なようでいて難しい。意図していなかった人を刺激しちゃったり、文脈を逸脱しちゃったりというようなことはよくあることで、みんな一度は頭を悩ませる問題だ。
こういう問題については、最近ダナとよく議論している。社会学者アーヴィング・ゴッフマンの言ってることとも関連するんだけど、アイデンティティって実はひとつじゃなくて、対する人によって変化するものだよね。多面体であるアイデンティティをどう自己管理していくのか──難しいところだと思う。

訳注:レベッカ・ブラッドの著作については邦訳が出ています(『ウェブログ・ハンドブック—ブログの作成と運用に関する実践的なアドバイス』)

以前にも書いたことがあるけど、ジョー・スパークスとは「あの時代」以来の古い友だちだ。あの頃、最高にクールなCD-ROMと言われた『スターシップ・ウォーロック』は彼の作品。最近ではFlashを使ったアニメーションの物語を手がけている。もちろん音楽付き。いちばん最近のRadiskull and Devil Dollはハンパなくすごい。Flashの新しいスタイルを確立した作品だと思う。

今、彼のサイトには、新しいシリーズDicky & Jackieの予告編がアップされている。

クリエイティブ・コモンズのパーティーに来てくれてありがとう、ジョー。これで君の作品もCCライセンス下で公開しなきゃいけないことになったわけだね ;-)

訳注:shockwave.comの日本版サイトで字幕付きラディスカルとデビルドールが見られますよ。Kick it!

最近、お酒の量を「減らす」ようにしてたんだけど、やっぱりそれでは駄目みたいだ。ゆうべ酔っぱらっちゃって、今は後悔の真っ最中。
というわけで、お酒をやめることにしました。もし僕のことを友だちだと思ってくれるなら、どうか協力して、僕にお酒を勧めないようにしてください。お願い。

よろしくお願い申し上げます。

銀座のアップルストアオープン初日のすごいQuickTimeムービー発見。

Via Markoff


J-WAVEのインタビュー、超いい感じでした。たぶん30分の間に50回は「ブログ」って言ったんじゃないかな。スタジオにいたのが最近ブログにハマった人ばかりだったので、余計に楽しかった。
Blogをやったことのない人にもわかりやすいように一生懸命説明したつもりなんだけど、何度か話がコアな方に行ってしまいましたね。でもまあ、とにかく僕たちの興奮だけは伝わったと思うし、聞いた人にもBlogについてもっと知りたいと思ってもらえたと思います。 J-WAVEは日本で3番目に大きいラジオ局なのでリーチも広いし、ある程度のインパクトがあったんじゃないかな、と期待してます。番組中にもたくさんのリスナーからメールをいただきました。

進行役のSachiさん野中さん、ありがとう!

番組のMP3をアップしておきました(32MB)。

今日の夜、J-WAVEでBlogの話をします。
ついさっき、今晩インタビューしてくれるパーソナリティーのサチコさんのサイトからリンクが張られたというTechnorati経由のIMを受け取りました。今日、僕に会うことについてBlogに書いてくれてる。すごい、インタビュアーもBlogやる人なんだ! クールすぎる。たのしそう。

ちなみに21:15からの放送予定です。でもこれを読んでくれてるくらいの人にはもの足りないかも。;-)

Googleで「miserable failure(みじめな失敗)」で検索すると、ホワイトハウスのサイトにあるジョージ・W・ブッシュの略歴がトップにくる。これはBloggerが仕掛けたGoogle爆弾だ。

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説明ありがとう、Kev


ウィレム=ダコタ・ノイエフィーンド・レッシグとお父さんのラリー、お母さんのベティーナと一緒にランチ。ウィレムはまだ3か月だけどかなり動き回るようになってきた。ちょうど東京を訪問中で、ご両親との昼食に僕を招いてくれたってわけ。どうやらウィレムとラリーの間ではお互いの言ったことをまねっこするゲームが流行ってるらしい。ラリーがズルして2度同じことを言ったときには、ウィレムは非常に気分を害した様子で、ゲームにはルール=法があるということを理解しているのかと難詰していた。


ご近所の犬に子犬が生まれたので、今日見に行ってきました。で、気づいたら1匹家に連れて帰ってきちゃってたという。まだ名前を付けてないんだけど(ちなみに女の子)、今のところかなり怖がってるし悲しそうな様子。かわいそうに。とりあえず、名前を考えなきゃ。あと、トイレのしつけも始めないと。ううう。

アップデート: やっとリラックスしてきたみたい……

オリジナル:Joi Ito's Web: Puppy
訳注:子犬の名前、どうも「Bo」になりそうです。


TypePadの技術を利用したニフティのココログがスタートしました。代表取締役社長の古河さんも自分のBlogを始められたようです。 期待してます、古河さん! Blog on!

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